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アルマゲドンするな!
JUGEMテーマ:ニュース
アルマゲドンは、メギドの丘、ハル・メギドから来ている言葉らしいです。
この場所で、激しい侵略と虐殺がおこなわれたという言い伝えがあり、それを後世の人が最終戦争の意味で使って今日に至っています。
最近のバイデン氏の発言で、ロシアの戦術核使用の脅威に対して使われだしました。
こんな言葉が流行ったのは世紀末のノストラダムスの大予言以来かなと思い、ブルース・ウィルスの映画まで思い出しました。
キューバ危機にしろ、北朝鮮危機にしろ、核兵器使用を前提に語られていたわけですから、今回の〇〇危機も相当危ないということでしょう。
都市を破壊するのではなく、ウクライナに奪還されたスネーク島をなきものにするという噂も飛んでいます。
ザポリージャ原発もろとも破壊してしまうということも考えられます。
アメリカがヒロシマ・ナガサキで実験した原爆が太平洋戦争を終結させたという総括が反省されない限り、この核の脅しはどの国からも突き付けられるでしょう。
ロシアが北極海に核ミサイルのポセイドンを配備し、国境付近に核部隊を移動・準備させる生々しいニュースを聞くと、ロシア内外でもっと反戦活動を大きくし、プーチンを追い詰めないと、バイデンの言う「ハルマゲドン」は訪れるの必至です。
私たちには、歴史的に見て今世紀に感染症に負けない社会、核兵器を廃絶する世界、気候危機をストップする社会を構築する使命があるのです。
それがためには、地球が太陽の周りを回転し、地球が丸いことを発見するくらいの発想の転換を求められています。
ミサイルが「舞いあがれ」だった
JUGEMテーマ:ニュース
朝ドラを見るのが楽しみな人は、Jアラートのニュースに驚いたと思います。
今日は二回目の「舞いあがれ」だったというのに、8時40分ころにこの黒いニュースが画面いっぱいを覆ってなにごとかと思いました。北海道と東北がまるで津波のときの警報のように光り輝いて、北朝鮮の弾道ミサイルが通過したというのですから。
それにしても、北朝鮮は何を狙っているのか。日米韓の軍事演習に対抗したのだというのが通常の解釈でしょう。
朝ドラも、夜ドラ(「あなたのブツがここに」)のように現実密着型で型にはまらない内容にすればもっと視聴率が上がると思います。
たとえば。。。
このミサイルにおびえた少女が自衛隊に入り「国を守る」理想を掲げて活動していたにも関わらず、パワハラとセクハラで退職を余儀なくされ上官を訴え勝利。さらに元自衛官のお笑いピン芸人(やす子をイメージする)になって自衛隊を笑いものにする、というストーリーにすれば面白いのに、と思いますね。
芸術の本質はギリシャ語のミーメーシス(本質の模倣)にあるといいますが、そんなストーリーなら芸術的になるでしょう。
P.S.
そんなことより、昨日、電話で解散総選挙についてのアンケートが来ました!
もう水面下では、解散を意識しているということでしょうか。
あまり実効性のないことばとして、「北朝鮮を非難する」のも聞き飽きましたが、岸田総理自身が批判・非難されていることはわかっているのでしょうか。小さな声を聞くどころか、空気も読めなさそうですが。
バルス! 自民党政治
JUGEMテーマ:ニュース
8月12日、金曜ロードショーでジブリ作品「天空の城ラピュタ」が放映されました。
この城の破壊のための最後の呪文が「バルス」です。
先祖が作った歴史的な城をその子孫が破壊していく・・・。歴史の弁証法とでも言いましょうか。
新生のための破壊。
これを見ていて、思い出すのは「自民党をぶっ壊せ」と言った小泉元総理の言葉です。
彼の肝いりで政界にのし上がったのが安部元総理。
その安部政治、「アベ政治」は元統一教会で出来上がった政治であることを銃撃事件で証明されました。
「アベ政治」とは集団的自衛権(侵略戦争の別名)を容認し、それを積極的に進めていく「平和主義」(別名、戦争)を旨とした政治のことでした。その後の内閣はアベ政治の継続ともいわれています。だから、その首領をあがめるたの「国葬」の発想も排他的なのです。
先日の共同通信の調査(8月13日公表)では、全国会議員712人(一人欠員)のうち106人が元統一教会や関連団体と何らかの接点があると回答しています。
106人のうち82人が自民党議員であることを見ても、元統一教会の支配ぶりとその利用が分かります(これは表に出た部分だけです。自主的に応援したというのは数に入っていないのです。関係者が自民党員だったら逆に統計に出もしないのです)。
してみると、ぶっ壊せ(バルス)、と言った本当の意味は、支持母体の劇的交代、統一教会などの反共主義団体への入れ替えだったようにも思えます。
元統一教会会長の不遜傲慢なしたり顔はまだ、国会議員を動かす超大物との縁が切れていない証拠です。
北朝鮮が文鮮明10周忌に弔電を送りたたえているのは反共主義者としての共感であり、南北統一への遺志の尊敬でしょう。
そのうち、北朝鮮と元統一教会との「接点」も暴かれ、結局、自民党「アベ政治」は北朝鮮にコントールされていたという事態も見えてきました。ははぁ、道理で、拉致被害問題に精通しているんだ、ということも透けています。
今回の岸田政権は自ら「有事のための内閣」と言っています。まさに、コロナに引っかけて有事(戦争)に向かう内閣と宣言しました!
ここで、国民はその事実を掴んだなら、次の言葉を欲するはずです。
バルス!
平野啓一郎「ある男」を読む
JUGEMテーマ:読書
映画になりそうな本を読むとなんだかワクワクします。
「ある男」は芥川賞作家の平野啓一郎氏の著作です。
これは、戸籍交換という犯罪に想を得て、壮絶な過去の人生を捨て別の人生を生きる悲喜を描いています。
何を悲しい人生かと考えるかは自由です。
生まれ変わったようになって、殺人犯の息子、ヤクザの息子になって他人を平服させれば過激な楽しさを得ることができるのかもしれません。
逆に、平々凡々と人生を終わらせることも興味の対象ともなります。
この著では、イギリスの未成年殺人犯が、戸籍を変えた案件を真似して、日本でも商売になると考えた無法者がでてきます。
その無法者を仲介してどんどん名前・戸籍を売買して自分が気に入る「人生」を手に入れるのです。
日本では、サカキバラ事件の犯人が戸籍を変えてどこかで生きていることが話題になりましたが、これは一個人がそれまでの人生を戸籍的にチャラにする方法でした。
この本の戸籍交換は、人生交換と言った大人の方法なのです。
それにしても、振り返って考えてみると、社会的にも恵まれた日本国籍を取得している弁護士・在日三世の主人公も戸籍交換に少しく「憧れ」をもって見ているシーンがあります。
私たちも嫌なことがあったら、良い人生を送った他人の人生を歩んでみたいと思うこともあるとおもいます。
不法は不法行為ですが、社会的にも救われなかった酷い人生から、ちゃんとした人生に代われるならと思うことはあるのです。
そう、この社会的に救われたならこうならなかった、というところが大切です。
死刑廃止論も「社会の責任」論を背景にしていると同時に、私たちの存在も「社会の責任」のもとに生きているので、自己責任唯一論という「自己責任論」に立つ政治・社会を批判しているのです、この書籍は。
そして、これが「日本国憲法」の寄って立つ思想なのです。
コロナ禍で読もう 4
JUGEMテーマ:読書
1.「ペスト」(アルベール・カミュ)
フランスの植民地アルジェリアの地方都市でペストが流行。都市封鎖で人心が変わるなか自主的救援隊も組織されていく。現在、日本でも新型コロナで同じことが起こっている。執筆当時はファシズムとの類似で読まれた世界的ベストセラー。「異邦人」や「シューシュポスの神話」も名高い。「ここは地の果てアルジェリア・・♬」古いね。
2.「山椒大夫」(森鴎外)
民話では「安寿と厨子王」で名高い伝承を、森鴎外がアレンジした作品。兵庫県北部の地域が物語の一部をなしていて、興味深い。医者として伝承の歴史から学んでいこうとする温故知新の気概を読み取れる。
3.「歌集 滑走路」(荻原慎一郎)
俵万智の「サラダ記念日」以来の大ヒットとなった歌集。社会になじめない若者や非正規労働者の気持ちを代弁しているが、本人は20代で夭逝する。若者を手軽に理解し深く知りたいなら、この歌集で十分。
4.「前線」(犬養楓)
現役医師で歌人の犬養氏が、まさにコロナの前線で医療を詠む。こんなにコロナに近い歌集は未だ見たことはない。この体験の歌集こそがほんとうの「短歌」なのだろうと、自らも反省した。短歌の力がいかに強いか、長い歴史をもち庶民に愛されてきたかを体現する。
5.「フランダースの犬」(ウィーダ)
アニメの印象が強いが、それはアニメ作家・高畑勲の影響が強いから。本国、ベルギーではあまり取り上げられないが、児童文学としてはよく知られる。見方によっては、児童労働を告発した文学であり、画家を志した少年の苦労物語である。巨匠ルーベンスの宗教絵画に憧れるベルギーをもっと知りたいと思った作品。
6.「ワーニャ叔父さん」(アントン・チェーホフ)
最近はあまり読まれないチェーホフだが、ひと昔の文学好きは「カモメ」、「三人姉妹」と同じくらい議論した代表三作の一つ。翻訳が悪いのか、悲劇にしか思えないが、チェーホフによるとこれは喜劇らしい。よく小劇場で演じられるロシア演劇の典型。今に通じる森林破壊、環境破壊に対する鋭い観察がある。
7.「檸檬(レモン)」(梶井基次郎)
結核を病むことの多かった戦前、何かもやもやした気持ちを晴らしたいという思いで、書店にそっと檸檬を置いて帰り、それが爆発して香りが充満したらどうなるか想像する。
現在も、コロナで鬱屈した気分が晴れないが、想像たくましくするとストレスも晴れるかもしれない。病気がちの人には読んでほしい一品。
8.「潮騒(しおさい)」(三島由紀夫)
「来てよ その火を乗り越えて・・♬」。NHK朝ドラ「あまちゃん」の劇中歌の歌詞はこの小説から採られている。三島は、漁猟の島、初島を舞台とした荒々しい海女たちの生活に人間の野獣性を表現した。ハラハラする若い男女のやり取りの場面が欲情を刺激する。
9.「博士の愛した数式」(小川洋子)
芦屋在住の芥川賞作家・小川洋子氏の作品。すぐに記憶が無くなる天才数学博士がシングルマザーの介護士の息子に数学を丁寧に教えるシーンが微笑ましい。数学の定数であるπ(パイ)、ネイピア数e、虚数単位iの不思議な関係と人間関係を重ねている。
10.「黒い雨」(井伏鱒二)
戦前の知識人の狭さとファシズムの抑圧を、穴にもぐりこんだまま成長して出てこられないサンショウウオになぞらえて描いた作品「山椒魚」が有名。こちらも読んでほしい。原爆の後に降った「黒い雨」は放射能を含んでいたため被爆した。最近、国家賠償請求の対象となった。その最初の告発的小説。キャンディーズを解散したあと、田中好子が女優デビューし同名映画に。監督は新藤兼人。
コロナ禍で読もう 3
JUGEMテーマ:読書
1.「千曲川のスケッチ」(島崎藤村)
作家が、故郷の長野県小諸を流れる千曲川を背景にしてその生活を縷々活写する。詩集「若菜集」のみずみずしさから、成長し成功した自らを生んだ故郷を、時には荒れながらも滔々と流れる千曲川に託した。近年、氾濫したと聞く。
2.「痴人の愛」(谷崎潤一郎)
最近、シンガポールの若い女性がネットで学びたいと言っていた谷崎潤一郎の作品。同時代のサマセット・モームの「人間の絆」と同じようなテーマ。妖艶な悪女に騙されつつも、脚や腰など、その姿かたちのみに催眠されてしまうバカなインテリを暗に批判している。
3.「春琴抄」(谷崎潤一郎)
山口百恵主演・三浦友和助演の映画になったこともある谷崎畢生の作品。大阪の上流階級の絶世の美女で盲目の娘が琴の師匠「春琴」を名乗り、丁稚を厳しく修行させるも、妬みをもつ者に熱湯で美顔を潰されたため、春琴を敬愛する丁稚はそれを見ないように自身の眼を針で突いて盲目となる。谷崎の芸術至上主義の骨頂を見らしい。で、芸術至上主義って何。
4.「蟹工船」(小林多喜二)
最近、ロングセラーになり、横須賀線で高校生も電車の中で読んでいる。非正規労働者が増える中、雇用主が雇用者を、また雇用者が雇用者を差別し、パワハラ・セクハラが横行。会社上部が不正を隠し腐敗している現在、情勢は古いが荒々しい言葉遣いや奴隷的状態をリアルに表現して現在にも通じると、若者の間で話題となる。
5.「カラマーゾフ兄弟」(ドストエフスキー)
15年ほど前、新訳が出て日本のベストセラーになった。鎌倉の居酒屋で知り合ったロシア人は「ほんとうか」と言わざるを得なかったほど。地主のカラマーゾフには3人の子どもと一人の私生児がいた。それぞれに旧ロシアの腐敗、肉欲、知性、理性、反抗を表現させる。人間は法だけで裁けないことを訴えて、世界文学史上の金字塔を立てる。日本にも当てはまる。
6.「十二夜」(シェイクスピア)
40あるシェイクスピアの作品のうちの喜劇の一つ。難破船で離ればなれになって育った双子姉妹が、仕える貴族を廻ってややこしい三角関係になって笑わせる。シェイクスピアの喜劇で有名なのは「ベニスの商人」や「恋の骨折り損」だが、前者は中学の時、英語で習い、後者は明石家さんまの番組がオマージュした作品。シェイクスピアはすべて深刻で面白い。
7.「金閣寺」(三島由紀夫)
外国人に金閣寺の歴史を説明するとき、この小説も合わせて解説することにしている。金閣寺が美しいのは何故か。それは周囲との調和が絶妙だから。三島由紀夫は小説の主人公(障害を持った見習い僧)が金閣寺の美しさに嫉妬して放火したと解析。春琴を妬んで熱湯をかけたのと同じ論理でもある。
8.「父と暮らせば」(井上ひさし)
原爆で失った父とのことを思いつめ、精神病になっても自分が生き残ったことを責め続ける娘の姿を演劇の形で表現する。戦争反対、原爆なくせという言葉は一つも出てこないが、結果として主人公の立場に立つことが、それを体現することだと悟る。山田洋次監督がタイトルと主人公を反対にした映画「母と暮らせば」を撮り、嵐の二宮君と吉永小百合がW主演。
9.「円生と志ん生」(井上ひさし)
戦後、中国から引き揚げる前に落語家2人が出会って帰国後の話をする。そこに救済ボランティアでキリスト教団シスターが来て、円生を降臨した救世主と間違える大爆笑喜劇。古今亭志ん生はNHK大河ドラマ「いだてん」でたけしが演じた大師匠。こまつ座演目の十八番と言ってもいい。最近、志ん生を演じた俳優・辻萬長さんが亡くなられた。圓生は角野卓三(文学座)。
10.「勧進帳」(歌舞伎脚本)
歌舞伎脚本の中でもわかりやすい内容。子分でもある弁慶が主人である義経を敵方(富樫)から守るのがメインストーリーではある。勧進とは今だとカンパ集めのようなもの。源頼朝が義経を討つため封鎖した関所を通るため「勧進」を装い諸国をめぐる僧一行になりすますが、ばれそうになると弁慶は家来に扮する義経を叩く。主従のつらさを描く感涙もの。来年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見る前の予習として。ちなみに、歌舞伎の演目に鎌倉を舞台にしたものも多く、東京オリンピック開会式で市川海老蔵が演じた「暫」もその一つ。
コロナ禍で読もう 2
JUGEMテーマ:読書
1.「港町の肉子ちゃん」(西加奈子)
芥川賞作家の感性的な作品。明石家さんまプロデュース、大竹しのぶ主演声優でアニメ映画となり話題に。虐げられた女性の境遇やその”子ども”の生き辛さを描く。出産シーンはつらくて読めなかった。
2.「いのちの停車場」(南杏子)
現役医師が現代医療問題を問う作品。映画「八日目の蝉」の監督が、吉永小百合主演の同名映画に仕上げ今年(2021年)の話題に。
最後のどんでん返しに読み応えあり。
3.「レ・ミゼラブル」(ビクトル・ユゴー)
3年後のオリンピックの土地、パリを舞台に1800年代初期のフランスの政治状況に加え、当時としての最高の人道主義を余すところなく描く。何度も映画化され、ミュージカルにもなった。パリの地下にはこの物語の博物館がある。
4.「ジェルミナール」(エミール・ゾラ)
ユダヤ人差別反対に立ち上がったゾラが渾身の力を込めて労働者と資本家の対立を描いた20世紀初頭の作品。自由主義のフランスが1989年のフランス革命200年に際して映画化。「ピアノ・レッスン」のジェラール・ドパルデューが主演。フランスのたたかいの精神がよく分かる。
5.「李陵」(中島敦)
漢文調の流れる文章が美しい。中国人主人公・李陵が敵・匈奴の捕虜になって心境が変化するさまを小気味よく描いている。中国古代に題材を求めても、日本人の精神性を探る知力を示す作品。収録されている「名人」も、最高の人間を観察する上で洞察力を得られる作品。
6.「偸盗(ちゅうとう)」(芥川龍之介)
珍しく女性の盗賊を主人公にした大正時代の作品。盗賊の沈潜し鬱屈した内心を抉り出す。「ワンピース」「パイレーツ・オブ・カリビアン」など良心的海賊流行の昨今、「羅生門」の老女とともに、「盗む」ことがどういう社会経済的意味をもつのか、考えることができる。
7.「女の平和」(アリストパネス)
ギリシャ喜劇。男に戦争を終わらせる能力がないと見限った女性たちが取った手段が、非武装的で、笑わせる。さもありなんと納得する。2000年以上前の作品なのに、今も魅力を失わない。「オイディプス王」などギリシャ悲劇は読むのも辛いが、こちらは面白い。好戦的アメリカやタリバンに読ませたい作品。
8.「女の一生」(ギイ・ド・モーパッサン)
修道院から出たフランス女性の一途で無知な生涯を描く。男女平等も権利も享受できない19世紀にあって、旦那にも息子にも裏切られてしまう。こんな時代もあって今があることを教えてくれる。おなじフランスの作家ゾラとは180°違う時代翻弄の作品。
9.「ダーバヴィル家のテス」(トマス・ハーディ)
「名家」という家系にあこがれ、一文字だけ違う名家の「家名」で、翻弄される美しい女性の人生を描く。ポランスキー監督の映画「テス」主演のなんとも艶めかしい女優にあこがれたことがある。「家系」などというバカらしさを批判するイギリスの作品。
10.「沈まぬ太陽」(山崎豊子)
日航機墜落事故の責任を問う社会派作品。事故後、日航社長が遺族宅に直接謝罪しに行くシーンで遺族の怒りがリアル。主人公が、ストライキの責任を取らされて日航機のフライトのないナイロビに左遷させられ性格が変わっていく場面は、涙する。
コロナ禍で読もう 1
JUGEMテーマ:読書
1.「マイケル・K」(クッツェー)
南アフリカのノーベル賞作家の作品。西洋的・文明的な感覚とはズレた人間と社会の混乱を、意表を突いた形で描く。最近、大阪のジュンク堂・丸善でふと見つけ読んだもの。梅田ジュンク堂・丸善は建築家・安藤忠雄の設計した日本最大の書店。
2.「真珠」(スタインベック)
アメリカのノーベル賞作家、スタインベックによって、メキシコの逸話をもとに書かれた小品。この作品は子どもの大切さを表現している。ちなみに、彼は「怒りの葡萄」で1930年代の大恐慌下のカリフォルニア農民の惨状を描き受賞した。こちらもできたら読んでほしい大作。女性に本をプレゼントするときはこの本にしている。
3.「イル・ポスティーノ」(スカルメタ)
チリのノーベル賞作家、詩人パブロ・ネルーダがイタリア亡命中に接した郵便配達員(イル・ポスティーノ)に影響を与え、単なる配達員が詩と韻律で難航不落の彼女にプロポーズする。1998年映画化され東京・日比谷の映画館は列をなした。
4.「茨木のり子詩集」(谷川俊太郎選)
現在最も有名な詩人が、現在最も有名な女流詩を選んだ、爆笑問題の太田も好きな名品。生と死を余すところなく描いた詩の一連は見逃せない。京都の丸善で買った。丸善は現在「バル」の地下。欲しい本を徹底的に探してくれる店員が素晴らしい。梶井基次郎の書いた「檸檬」の舞台はここ。
5.「ヴェルヘルム・テル」(シラー)
ゲーテと並ぶドイツの詩人・戯曲家の作品。スイスの独立とその英雄ウィリアム・テルを描いた。作曲家ロッシーニがこれに触発されて「ウィリアム・テル序曲」を作った。日本では1980年代「風雲たけし城」に使われ大衆化した。シラーはベートーベン第9交響曲の最後「歓喜の歌」の作詞家でもある。「群盗」がもっとも文学史上知られている。
6.「復活」上下(トルストイ)
日本では「カチューシャ可愛や」で知られている。ヘアバンドの「カチューシャ」はこの小説を舞台化し、主人公カチューシャを演じた松井須磨子がつけていたもの。AKB48も「カチューシャをはずしながら」を歌っている。本の内容はかなりロシア調人道主義、貴族の一方的な考えが強い。「アンナ・カレーニナ」に出てくる理想主義者よりは実態に即している。「戦争と平和」、「アンナ」、「復活」の順に読むのがいい。人道主義を乗り越えるための一歩。
7.「コンビニ人間」(村田紗耶香)
芥川賞受賞作。世界中にあるコンビニ店員の感覚に受け入れられる作品。一つの歯車となって社会の一員になれるが、人並みの生活は送れない賃金しかない、という社会批判があって世界に共感を呼び、14ヵ国語に翻訳されている。簡単に読めて、しかも、世界性と社会性を秘めている。この作家は、柳美里に相当するくらいの大作家になるとひそかに思っている。近くのコンビニで見つけた文庫になった大作。ツバメに教えられた砂の中の銀河。
8.「無私の日本人」(磯田道史)
歴史研究家としてテレビにもよく出てくる磯田道史氏。インテリなのに大衆性あふれる語り口が受けている。これは映画「殿、利息でござる」にもなり、歴史史料を駆使して画一的歴史観を排除する内容となっている。民衆が藩主にお金を貸し付けるという史実を面白おかしく描き、封建制から資本主義に移り変わる経済的発想がある。渋沢栄一もそういう流れにあったのかもしれない。
9.「鉄の骨」(池井戸潤)
テレビドラマ「半沢直樹」の原作者・池井戸潤が建設業界の談合問題に挑み、暴いた作品である。談合の構造やそれがなぜ無くならないのかという問題が描かれている。「談合」をなくすことは、資本主義を正常にすることだと主人公の上司は破壊的方法(内部通報)で教えている。建設談合にかかわるヤクザなどの裏社会や下請け末端の惨状が見えてこないのが、この作品の限界。
10.「中国小史 黄河の水」(鳥山喜一)
現在、伸び盛りの中国の歴史を物語的に縦覧できる良い小品。現代中国の部分がないが、その道徳や倫理となった歴史を見ると、これからも中国には激動がやってくることに気づく。中国人と接する機会が多くなってきたので、知識として読む。ただし、中国人は文化大革命以降、歴史を軽視しているように思う。「日本人は歴史や古いものを大切にする」とは、とある中国人(新疆ウイグル自治区出身)の言葉。
「肉子ちゃん」の蟹工船
JUGEMテーマ:読書
明石家さんまプロデュースで西加奈子の「漁港の肉子ちゃん」をアニメ化していることが話題になり、文庫本も出ているので、読んでいます。
これを読むと、最近は外国の古典ばかり読んでいたため、日本に戻ってきた感があります。
ちょっと前に読んだのが南アフリカのクッツェー(ノーベル文学者)の『マイケル・K』だったので、扱う題材の格差に慣れながら、それはそれ、これはこれとして読んでいます。この本の主人公はどの世界の人間なのか、考えさせられます。こんな飢えたる者が西洋文明とは隔絶してまた搾取されながら生きるのはどういう意味があるのか、考えながら読んできたので、貧しくも逞しく生きている「肉子ちゃん」たちを見ると現実世界に引き戻されます。
ペンギンの「かんこ」ちゃんはおそらく南アフリカで重油に汚染された海から連れてこられた動物らしく、その関連でクッツェーも思い出しました。
西加奈子さんの感性的な書きぶりにユニークさを感じながら読み進めると、船に乗るから船に関する本を読んでおこうとして、主人公の「きくりん」が小林多喜二の「蟹工船」やヘミングウェイの「老人と海」を読もうとしますが、感性的に不安を感じてやめるというシーンがあります。
ここでこれが出てくるか、と思いましたが、その本は自分の母(肉子ちゃん)が以前付き合っていた小説家志望の男性のものだったはずです。
ほかにどのような本が出てくるかまだ分かりませんが、このあたりは伏線かな、と思い読み進めています。
Melvilleの「白鯨」がもしかしたら出てくるかな。
世界環境とのつながりや格差社会の子供への影響などすんなりと心に落ちる書きぶりです。
資本主義を徹底「鉄の骨」
JUGEMテーマ:読書
友達に紹介され池井戸潤の「鉄の骨」を読んでみました。
池井戸潤といえば「半沢直樹」の原作者です。
「鉄の骨」はゼネコンの談合問題に切り込む内容です。
主人公は「半沢」とは違い若手の社員。
社会正義と会社の存続とは狭間で呻吟することになるのです。
詳しく書きませんが、談合が無くならない理由は、日本が偽の「社会主義」だからだとつくづく思いました。
あるグループ内の「調整」というギルドのような掟が、建設業界にはあるのです。
検察が巨悪を逮捕していく上で、入札談合と資金ルートの解明が必要です。
池井戸氏は、迂回ルートを詳しく書き込んでマネーロンダリングをする大物政治家を暴いていきます。
しかし、その解明のキーパーソンになるのは、ゼネコンの内部告発者なのです。
その告発は、しかし、「正義」は言い難いゼネコン業界の熾烈な闘いだということが、じわじわ感じられます。
「談合」が資本主義経済を守るのではなく、その告発こそ資本主義の発達を促す点を描き切っています。
大手ゼネコンの談合担当者は、建設不況や不正経理で作った穴を埋めるために、大型公共事業を盥回ししないと、会社や下請け、その家族が路頭に迷うと嘯きます。実は違う。
この本を読めばわかります。
- アルマゲドンするな! (10/07)
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- バルス! 自民党政治 (08/14)
- 平野啓一郎「ある男」を読む (10/25)
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