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トップガンと低空飛行
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「トップガン」は俳優トム・クルーズの出世作と言われます。
米軍賛美に終始する映画なのであまり見たくはなかったのですが、中間管理職になったトム・クルーズがどんな演技をしているのかそこには興味深々だったので、観てしまいました。
ところが、同僚は司令官になるなど出世コースを歩んでいるのに、トム・クルーズ扮するピット(コールネーム=マーベリック)は現役キャプテンのまま。どうなるのだろうと思っていたところ、トップガンの教官に抜擢される。
同僚が殉死するのをいやというほど見てきたピットは、戦闘機の実践を若者に教えることなどできない気持ちでいっぱい。
さらに、事故死した同僚の息子まで教えるとなると到底できない・・・・・。
この後はネタバレなので書きません。
しかも、私が注目したのはそこではなく、ごろつき国家に対する攻撃で、低空飛行で敵のレーダーをかいくぐり、対象物を爆撃して生還するというミッションなのです。
この低空飛行について。
日本にも数々の低空飛行訓練のルートで設定され、住民に目撃・撮影されています。四国や中国地方の険しい山間や近畿でも目撃談や轟音があるのです。在日米軍の訓練は非公開のため問い合わせには答えてくれないのが現実です。
この映画は、この低空飛行をパイロットの側から見るような映画でした。
まさに命がけの訓練をして、たびたび墜落している。ドッグファイトの訓練もしている。
しかし、ミサイル性能向上の現在、命がけの戦闘機の意味が失われつつあるのです。
F14で死闘した時代は、1000年も前にも感じる歴史的遺物であり、F18でさえもその意義が失われつつあります。
最後に古い恋人とセスナで遊覧飛行するシーンでは、「戦闘機よさらば」を宣言していました。
シン・ウルトラマンを観て
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ウクライナの悲惨なニュースばかり見て、悲嘆に暮れていました。
人が人を相互に殺しあう場面ではなく、ロケット弾や対戦車砲を撃ち合う映像だったからです。
これでは何をしているのかわからない。練習かもしれないのです。
現実は何万人もの「死」や「負傷」があるのですから、皮相なニュース映像にうんざりしています。
アメリカのウクライナへの援助は、ウクライナ国内で使用する新兵器の試し打ちのように見えます。
インドと中国は、ロシアに協力的なのに批判的な報道が見当たらず、欧米からロシア本土へ及ぶ兵器の供与については頑なな姿勢を貫いています。それについては、ネットでは少し出ているものの、報道さえも控えられているようにも見えます。
前回のブログで「戦争はゲーム」ではないと書いたのも、ゲーム感覚で双方に武器を与えているように見えるからです。
映画「シン・ウルトラマン」は、悪と戦う半地球人・半宇宙人で、最終的には寿命の短い人間として、悪と戦うことを選びます。
庵野脚本になると、核兵器使用をちらつかせて戦いを挑むことへの怒りがよくわかりました。
ウェストサイド・ストーリー感想
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今日公開されたスピルバーグ版「ウエストサイド・ストーリー」。
誰もが一度は聞いたことがありそうな曲のオンパレード。
「まん延防止」対策の中、「マンボ」を聞くのは不思議な気持ちでした。
ミュージカル映画のすばらしさはこの曲の選曲とストーリーに沿った街中のダンスです。
最初の方で、警部補が、白人系不良団に向かって、アメリカで成功したヨーロッパ人が酒に酔って生ませた子らがお前らだ、と言ってはばかりません。
それが全部を尽くしているような内容でした。
それは、もともと移民の国で、古い移民の子孫と新しい移民の子供たちの勢力争いをシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」のプロットを組み合わせたストーリー展開となっています。
しかも、相互の闘いにスピルバーグらしいスペクタクルと激しいダンスを組み合わせ、160分を飽きさせません。
相互の敵の男女が恋に落ちる(しかもダンスパーティーで一目ぼれ)してしまう展開に、人類普遍の法則を感じました。
プエルトリコ人なのに、白人系の不良の世話をしていた女性は、1961年版のマリア役をやっていた女優を配置したところは、アメリカ国内の民族融和とその永遠性を表現したかったのではないかと思います。
日本なら中国残留孤児の子孫で半グレ集団になっている「ドラゴン」と日本人の半グレ集団の闘いということかもしれないのです。でも、こちらは片手を切り落としたり、脳漿が飛び出るほど鉄パイプでなぐったり、という血まみれ闘いですから、この映画のようなラブストーリーにはならないと思います。
この映画では、白人系対ヒスパニックという闘いの構図をモチーフにしつつ、もっと複雑な経済関係や抑圧関係を考えさせられるのです。昔のことではなく、今のアメリカを反映して。
岩波ホールの思ひで
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このブログのカテゴリーである「映画談義のパラディソ」という発想は、この岩波ホールから来ていました。
それが、コロナ禍の不況で閉鎖するニュースが流れ、衝撃が走りました。
東京の文化の灯の一つであったこのホール。
大企業系列の大きい映画館、シネコンにかからない問題作を多く発信してきました。
私が印象に残っているのはフィリピンの英雄を描いた「ホセ・リサール」。
スペインの占領下にあったフィリピン生まれで、差別されながらスペインで学んだ医者ホセ・リサールが主人公。
今の独立を勝ち取った長い苦しい戦いの始まりでした。
欧米の圧倒的な情報量のせいで、フィリピンの情報などはあまり入らない世の中、世界に目を向ける一助となったのは間違いありません。もちろん、アキノ政権後だったこともあり注目を浴び、民族主義的高揚もあったこともこの映画の人気に拍車がかかったと思います。
また、支配人であった高野悦子さんという人の発言も日本文化に一撃があった記憶があります。
コロナ禍が去ったら何とかならないか、気持ちを奮い立たせている今日この頃です。
DVD「The Young Marx」鑑賞
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先日の総選挙の総括を間違えて、国民民主党が日本共産党と距離を置き、立憲民主党は定期的な国対委員長会談をしないことを決めました。また、毎日新聞のコラムも「野党共闘」前進の事実を理解してないようで、残念でなりません。
これを反共主義というかどうかは別として、世論調査をはじめとして政治を科学する態度は忘れないでいただきたいと思います。
こんな時に、もう一度、「共産党宣言」がどうしてできてきたか、という情勢や人間模様を描いたこのDVDを鑑賞するとやはり、反共主義が間違っていることがよくわかります。
また、連合が「反共」である理由も、奥深い労働運動の潮流や不理解があることも歴史的にあるのです(もちろん、ソ連の反共主義も直接は効いているのですが)。
いずれにせよ、空想であった社会主義・共産主義の思想を、科学で解明しようとした情熱が、このDVDには表れています。
この映画では、マルクスとエンゲルスが反動政府と闘い、また、先輩を批判することでも前進してきました。
ヴァイトリングとの言い争い、プルードンの哲学批判、「正義者同盟」との厳しい話し合いなど、全集では味わえない映像化があり、妻イェニーやエンゲルスの恋人メアリーの姿など生々しい姿がとらえられています。
いつも見る写真や肖像画などからは想像しえないマルクスとエンゲルスの若い頃の詳細も、こうだったかもしれないとワクワクして見ました(ガリーナ・セリャブリャコワの「プロメテウス」からでも想像できませんでした。)。
エンゲルスが「ヘーゲル法哲学批判序説」を読んだというと、「イギリスにおける労働者階級」をマルクスが素晴らしいと言い合い、意気投合してフランスの官憲から逃亡するなど、正義のギャング映画さながら。若者らしい突破力で「共産党宣言」を仕上げていくのです。
こんな最高の理論家たちが、ほんものの労働者の中に入って、演説もし理論に基づいて組織をもするという姿勢が心を揺さぶります。
今はどうでしょうか。
若い頃のマルクスは評価するが、晩年の「資本論」は間違っているという言い方をする人もいますが、あの大著を詳細に読んでから言ってほしいものです。この若さの科学的情熱が「資本論」に入っていますからね。
P.S.
この映画のもう一つの醍醐味は、英語、フランス語、ドイツ語が飛び交うところです。「宣言」の後のパリ・コンミューンを見たマルクスとエンゲルスの顔も見てみたいと思いました。
DVD「サムジン・カンパニー」鑑賞
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この映画は、1995年当時を対象としており風俗からその香りが分かります。
ところが、映画公開自体は2021年7月となっているので最近作成された映画なのです。
今や飛ぶ鳥を落とす韓国のIT会社・サムソン(三星)電子の実話をもとに脚色された映画で、日本の映画で作成されない取材対象を扱っています。
「グローバル化」を目標にした会社なのに、その会社の工場から猛毒(フェノール)が基準値の何百倍も排出していたことを、一社員の告発から解決の筋道をつけていく物語です。
その過程がいばらの道。
学歴で昇進、差別される会社風土で、内部告発するなど首を覚悟する必要がありました。
まして、儒教の影響の強い韓国で、高卒女性が大卒女性を差し置いてモノをいうのは差別との闘いなのでした。
「エリン・プロコビッチ」では、シングルマザー・失業者への偏見を乗り越えて、大企業の不正を告発し虐げられた市民と闘い公害汚染の賠償を勝ち取る痛快さを描いています。
「ワシントン協奏曲」では、エディー・マフィーが政治家を告発します。
日本には何故こういう映画ができないのか、嘆いています。
映画「すばらしき世界」を鑑賞
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コロナのせいで映画館に足を運ぶことがめっきり減りました。
一方、DVDを観ることが増えて、ゴロゴロしています。
最近見た中で、目が覚めた映画はこの「すばらしき世界」
人生の半分近くを刑務所で過ごした男の出所後を描く映画でした。理由
解説を読むと、直木賞作家の佐木隆三氏が書いた本を原作としています。
実在の人物に取材した「正義感」あふれる人物像が描かれています。
自分の「正義」通すため、大声を含む「暴力」で解決しようとするところが、悲しい雰囲気を醸し出しています。
その暴力以外の解決方法を「学習」してこなかったという理由と社会的欠陥を深めてほしかった。
少年院でケーキを三等分できない子らは、矯正教育を受けても話の内容が右から左に抜けていくという調査もあり、その指摘も受けてその矯正内容を改めていく時代になっています。
いかついのに可愛らしい一面や正義感があり、娑婆と刑務所のどちらが「すばらし」いのか、鑑賞者の判断に任されています。
娑婆に生きている我々は、「結構適当に生きて」、正義もなにもあったものではないのかもしれないと感じました。
映画「ショーシャンクの空」では、長く刑期を務め、現実社会に踏み出したときが最大の地獄だという主張もあって、まさにその通りなのです。前科者に対して社会の助けと温かい目がないと生きていけないのです。
「者」とは悪者に使う言葉で、「良い者」とは言えない日本語のゆがみも訂正していく必要もありますね。
映画「トキワ荘の青春」を観る
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最近、外に出ることが少ないためDVDばかり見ています、
映画「トキワ荘の青春」はデジタルリマスター版が出ていたので、観てみました。
手塚治虫をはじめとした日本漫画の巨匠が、このアパートに住んで切磋琢磨して成長していく物語です。
このアパートに集住した理由は出版社の都合によるらしいですが、今もこんなことをしているのでしょうか。
この物語は赤塚不二夫、藤子不二雄A・B、石ノ森章太郎などの下積みが詳しいと思います。
1995年の映画ということは、もう26年前の映画。
出ている俳優が本木雅弘氏は分かりますが、古田新太、アベサダヲ、生瀬勝久など当時は新進の俳優。
本木さんはあまり変化は感じませんが、古田新太さんが瘦せていて、関西弁を弄しているところに、時代の変化を感じるのです。
市川準監督の撮影方法が独特で、俳優のしゃべり方が、日常会話に近いボソボソとした喋りになっていて、ドキュメンタリーなのかと思わせる部分があります。
今は世界に冠たる日本漫画ですが、その草創期は辛く悲しい現実と明暗のあったことを哀愁をこめて描いています。
映画「ミナリ」を観る
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「ミナリ」とは韓国セリのこと。
韓国からアメリカに移住して農業で身を立てようと努力する悲劇。
アメリカの広大な土地を買って、ヒヨコの雌雄分別作業のアルバイトをしながら韓国野菜で大成功する夢を見る。
母親を韓国から呼び寄せたものの、子どもたちは馴染まず、心臓病を抱えた子どもの病院も遠い。
思い通りに行かない現実で夫婦もケンカが絶えない中、教会で癒されなんとか保っている。
そんなん時、母親が脳卒中で倒れるも一命をとりとめる。
遠いカリフォルニアでの心臓病検査を終えて帰ってきたとき、病気の母親の不始末で作業小屋が全焼、途方に暮れる。
妻との別れを考えていた先のことだった。
亡き母が残してくれたのは、韓国から持ってきたミナリだけだったが、これが後に大きな成功の助けになる?
そこまでは描いていない。
韓国人の一つの夢と挫折の物語でした。
韓国の国際進出の一つの物語。韓国に対する見方が大分変わります。多様性の一つ。
前に紹介した映画「国際市場で会いましょう」もその一つです。
映画「The Father」を観る
JUGEMテーマ:映画
これは、認知症の父親から見た世界を描く画期的な映画でした。
なので、最初の説明を読んでからでないと、分かりづらいこともありました。
何故なら、自分の娘が誰で、その夫がどの人なのかが、分からなくなるのです。
それは、認知症の人が自分の娘を認知できなくなることを表現しているからです。
介護者を受け入れず、自分のからに籠ることは認知症患者の普通の行動でしょう。
娘の言っていることがほんとうかどうか、介護者が自分のものを盗んだかどうかも分からなくなる。
映画では、アンソニー・ホプキンスが演じる認知症の主人公の目線が、映画を観る人の目線と同じになります。
娘と介護者を混同したり、娘の夫を他人扱いしたり、同じことを何度もフラッシュバックしたり、自分の居場所が分からなくなったりします。
その結果、映画を観る人も混乱するようになり、はたとそれが認知症の感覚なんだと自覚するのです。
一度見てみれば、認知症体験することになる、不思議な映画でした。
オスカー俳優(ホプキンスとコールマン)の二人もさすが自然な名演でした。
- トップガンと低空飛行 (06/12)
- シン・ウルトラマンを観て (05/28)
- ウェストサイド・ストーリー感想 (02/11)
- 岩波ホールの思ひで (01/12)
- DVD「The Young Marx」鑑賞 (12/09)
- DVD「サムジン・カンパニー」鑑賞 (11/23)
- 映画「すばらしき世界」を鑑賞 (11/16)
- 映画「トキワ荘の青春」を観る (10/20)
- 映画「ミナリ」を観る (10/18)
- 映画「The Father」を観る (10/18)
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