図書館経営論 ノート

2010.10.31 Sunday
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    JUGEMテーマ:学問・学校

     1. 公共図書館の崇高な意義・使命
    公共図書館の意義・使命は、図書館法の主旨(注1)やユネスコ公共図書館宣言の理想(注2)から考えるならば、‐霾鷁充匆颪篝験恭惱に対応するために、その推進力になることが公共図書館の役割である。⊃佑鼎り・街づくり・“時代を創る”役割の中心の一つとしての公共図書館が重要な役割を果たす(注3)。自ら考え判断し行動する市民の民主主義のため、地域の情報拠点となる公共図書館が絶対に必要である。

    2. 競合する施設・サービスにも“公共性”があるが、部分的である。
     逆に、以上の役割を果たさないならば、公共図書館とは言えない。
    ところが、この意義・使命を果たすのは公共図書館だけか?というとそうではない。公共図書館はそのための必要条件であって十分条件ではない。競合する施設・サービスがあるからである。ともすれば、図書館の未利用者はこちらに流れることもあり、その意味では市民の税金で運営している以上、公共図書館の自己アピール、批判に耐えうる説明責任(アカウンタビリティー)を果たす必要がある。
     競合する施設との違い
    「国立国会図書館」は基本的に国会及び図書館の図書館であり、「学校図書館」、「大学図書館」、「専門図書館」、「病院図書館」、「刑務所図書館」は、大半は対象者が構成員関係者であり対象が限られている。
    出版社は約4300社、書店は全国に約15000店(2009年10月現在 注4)あるが、新刊書を取り扱うことが重点で、当然、有料である。これに対して、公共図書館は約3144館ある(注5)が、著作権上の制約があって新刊本・CDに即応できない(複本問題があるがここでは扱わない)。
    古書店、インターネット通販専門店は在庫100万冊を超える在庫を抱える店もあるが、有料であり閲覧・コピーは基本的にできない。ネット書店(Amazonなど)も注文・即配達の利便性が高いが書店と同じである。
    図書館類似施設(情報館など)は、図書館法にかかわりなく指定管理者に全面的な委託を行うことができ、法律的には公共図書館の使命を果たす必要はないが、館数が少ないため全域サービスにならない。
     競合するサービスとの違い
    電子図書館(「青空文庫」など)は、著作権が終了した書籍等を公開しているが、著作権のあるものについては対応できない。新聞横断検索(G-searchなど)、検索エンジン(Google、Yahoo!など)、フィルム・アーカイヴスなどは、情報サービスやレファレンスに即応できるが、自宅・会社で物理的にネット環境にない大半の市民や障害者・高齢者等に対応できないため、生涯学習の使命に全面的に耐えず、資料の信ぴょう性に問題があるものもある。また、情報サービスとして中小企業振興センター、医療相談センター、子ども電話相談もあるが、全市民に対する総合性はなく、逆に資金貸付、悩み相談などは図書館とは違う目的が生じる。
    これらに対して、一般的に、図書館サービスの種類は、閲覧、貸出、レファレンス・サービス、予約・リクエストサービス、読書案内、デジタル情報サービス、カレントアウェアネスサービスなどがあり、かつ、公共図書館の公的意義は先にあげたもので、生涯学習での施設としても位置づけられるのだから、これを満たす施設・サービスは公共図書館以外にない。つまり、競合する施設・サービス、いわば図書館サービスの「専門店」にも“公共性”はあるとしても、部分的であると言える。公共図書館は知恵のコンシェルジェなのである。

    3. 経営的視点に立った公共図書館の「意義・使命」への変革
    そこで、公共図書館は「量」または「質の専門性」「新刊入手速度」で、これらの「専門店」には勝てないとしても、全市民的・全域的「サービス」の窓口という視点から考えると、競合とは言っても、競争ではなく共生と協力が必要となってくる。ある部分は図書館のアウトソーシングにも使える。また、予算的に、経営的に、政策的にうまくいっている図書館ばかりではない。
    これらが示すことは、情報化社会、生涯学習社会の時代になって「1.」の公共図書館の「意義・使命」の経営的視点からの変革が迫られているということでもある。
    そこで、公共図書館の意義・使命を経営的観点から再定義する。
    (1)まず、生涯学習の支援の観点から、著作権法など守備範囲を法的にも明確しつつ、インターネット端末の増設で情報入手方法を増やすことや、司書やコンピュータに詳しい専門家の配置をすることが大切である。また、高額のコンピュータやネットワーク、維持費、電子情報入手のための予算措置等をすることが求められる。この予算獲得の際にはPR(宣伝とパブリシティ)が必要であり、関係者が納得できうる理論の構築、費用対効果の説明などが求められる。そこに、「『思想、価値観』を売り物の対象にする社会的マーケティング」(注6)が不可欠の要素と言われる。
    では、図書館におけるマーケティングとはどのようなものか。ビジネス支援サービスを事例として考えると、‐霾鵐機璽咼垢亮鑪爐梁燭機△匹譴世韻諒幻イ検索対象となるか、ビジネスマンへの書斎機能の提供など、▲機璽咼溝于舛悗糧駘冑蘆瓦療正化と公正さ、C鷦崗譟▲機璽咼校間、サービス提供時間など、ぅ機璽咼慌礎佑離拭璽殴奪函淵咼献優校抉腓魑瓩瓩訖諭砲紡个垢訶礎、という4つの仕事があげられる(注7)。NPOへの支援も同様に考えられる。
    (2)また、人づくり・街づくり・時代創りの観点からの協力は、館種の違う図書館とのネットワーク、情報交換が必要である。特にビジネス支援は最新の情報が必要とされるため、電子情報の検索方法などの知識・技術も必要になってくる。サービスは、本に限らず音・映像もあるため著作権処理についての専門的知識も図書館員には求められる。
    この点では、ビジネス支援で街づくりを成功させた浦安市立図書館のように図書館“管理”から図書館“経営”の手法が求められ、その一つの典型がNPM(New Public Management)である。NPMは、仝共サービスに市場メカニズムを導入(民営化、民間委託、指定管理者制度、PFI導入)、∈睫害餬彑度と公務員人事制度の改革(発生主義会計や貸借対照表の導入、業績評価主義の導入、任期付職員登用など)、6叛喇床措衙,粒発、じ楜匱腟舛良顧屐紛ゝ襯汽ぅ匹ら顧客サイドのサービス評価)をいう(注8)。
    PFI(Private Finance Initiative)の意味は、「民間の資金や経営手法のノウハウ等を活用して、社会資本を整備する手法」(『図書館情報学用語辞典 第3版』)であり、この手法を2004年日本で初めて取り入れて三重県桑名市立中央図書館が開館した。市と業務受託業者との役割を明確にし、「業務要求水準書」で市が提案、管理運営は業者、講座などは市の仕事となっている。VFM(Value for Money)が高まること、競争でアイデアや工夫が生まれるといわれている(注9)。
       指定管理者の実践としては、高山市図書館・煥章館(新図書館)など多数の例が報告されているが、行政と違うのは予算主義でなく決算主義であり、「事業の硬直化・マンネリ化・事業効果の軽視」ではなく、つねに結果を視野に入れた小回りの利く運営が可能とされる。次年度の業務のために利用者の満足度の把握が不可欠であり、顧客主義が徹底される(注10)。
    (3)さらに、民主主義や「公共性」のためには、以上のサービスを全面的に展開する図書館政策及び図書館情報政策が必要なので、議会や図書館協議会などへのアプローチ・説明手法の研究が欠かせない。「無料原則」という分野は、書店やネットではできない違う次元のものであるが(フリーペーパーとネット検索は別)、この思想の維持のための住民への説明は絶対怠ってはならない公共図書館の重要な任務でもある。それは(1)で述べた「社会的マーケティング」と重なる。
    ただし、この分野は法律で明確な根拠がすでにある。|亙自治法第1条の2では、「住民の福祉の増進を図る」と規定され(注11)、⊆匆餠軌號‖3条では、「社会教育の奨励に必要な施設の設置及び運営、集会の開催、資料の作製、頒布その他の方法」で、「すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成する」ことを目標として、8共図書館は、図書館法第1条で、「図書館の設置及び運営に関して必要な事項を定め、その健全な発達を図り、もつて国民の教育と文化の発展に寄与することを目的」として、第17条で「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と定められている非営利組織の分野である。
    しかし、これらの難しい条文の意味・真意を広報誌等で全市民的に解説し、ある部分は「タダ」で情報を与えることにたいする利害関係者との調整や選書をめぐる圧力団体からの危機管理も必要であろう。
                                     (以上3569字)

    (注1)図書館法第1条
    (注2)ユネスコ公共図書館宣言 1994年「公共図書館のサービスは、年齢、人種、性別、宗教、国籍、言語、あるいは社会的身分を問わず、すべての人が平等に利用できるという原則に基づいて提供される。理由は何であれ、通常のサービスや資料の利用ができない人々、たとえば言語上の少数グループ(マイノリティ)、障害者、あるいは入院患者や受刑者に対しては、特別なサービスと資料が提供されなければならない」
    (注3)『未来をつくる図書館—ニューヨークからの報告』(菅谷明子著、岩波新書837)
    『浦安図書館にできること』(常世田良著、2004年、勁草書房)より
    『時代を創る図書館』神奈川県自治総合センター、2003年、p78-p133 
    (注4)日本著書促販センター・ホームページより
    (注5)『日本の図書館 統計と名簿』(2009年)より
    (注6)『図書館経営論』柳与志夫著、学文社、2007年、p124
    (注7)同、p126-p128
        『図書館・情報センターの経営』高山正也編、勁草書房、1997年、p189-p198
    (注8)『地域の情報ハブとしての図書館−課題解決型の図書館を目指して−』図書館をハ
        ブとしたネットワークの在り方に関する研究会、2005年
    (注9)『図書館の活動と経営』大串夏身編著、青弓社、2008年、p140-p153
    (注10)同上、p172
    (注11)地方自治法第1条の2「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」

    図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

    専門資料論 ノート 2

    2010.10.31 Sunday
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      評価:
      Bruce Alberts,Alexander Johnson,Julian Lewis,Martin Raff,Keith Roberts
      Garland Pub
      ¥ 16,727
      (2007-12-31)

      JUGEMテーマ:学問・学校

       専門資料論 ノート 
       
      学術情報の生産・流通・利用について
       
      専門分野の知識にはそれぞれの構造(Knowledge organization)がある。「学術情報・専門情報」について「学術情報とは、ある研究者コミュニティにおいてその研究領域の成果としてコミュニティが認定した専門情報のことである」「学術情報とは専門情報の一種である。専門情報とは、限定された事柄について集中的に学習して獲得した専門的な知識、技能があって初めて理解しうる情報、つまり専門的な知識を前提として伝達される情報である」(注1)と言われる。
      具体的に、これは学術図書、学術雑誌、会議資料、テクニカルレポート、研究報告書、学位論文、規格、特許資料のことである。
      これらの学術情報の生産・流通・利用について述べる。

      1.学術情報の生産

      (1)生産・媒体
      学術情報の生産は、研究テーマの発見から始まる。このテーマが見つかってから、先行業績の到達点を学術論文で確認することが多い。
      学術情報・専門情報の内、科学技術の発展への取り組みの成果は、学術論文という形で発表される。従来、紙媒体の学術雑誌に掲載されてきたが、近年では、パソコンで論文ファイルにし、それを電子ジャーナルにPDFファイルやHTML文書として公表され流通することが一般的になっている(注2)。
      この例として、米国科学雑誌「Cell」オンライン版に2006年8月に公開された山中
      京都大学教授の「iPS細胞」開発のニュースは世界を揺るがせた。

      (2)「見えざる大学」と「グローバルCOEプログラム」
       そういう情報の発表の前段階として、「見えざる大学」(invisible college)という情報共有媒体が発生する場合がある。
       特定学問領域において、少数の優秀な研究者によってインフォーマルなコミュニケーションのネットワークが作られる。そこで個人的な研究上の到達や学術情報がやりとりされるなかから優れた体系的理論構築の方向性が収斂してくる。
       このネットワークを形成する少数の優秀な研究者たちのつながりや集団のことを「見えざる大学」といい、最先端の学術情報を生産することになる場合がある。
       以上は個人的なネットワークであるが、文部科学省・日本学術振興会主導の「グローバルCOEプログラム」(注3)は、組織的・予算的な裏付けをもって学術情報の生成に貢献することになった。その目的は、「国際的に卓越した研究基盤の下で世界をリードする創造的な人材育成を図るため、国際的に卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援し、もって、国際競争力のある大学づくりを推進することを目的」としている。

      2.学術情報流通と動向
      (1)デジタル化ネットワーク
      学術情報については、先にも述べたように、インターネットを通じて配信される電子ジャーナルへのシフトが急速に進展している。特に英語圏の学術雑誌では大半がデジタル化しているとも言われる。ただし、電子版のみの雑誌はそれほどの数ではなく、紙媒体との並行出版が主流である。
       国による国立大学への特別予算措置がなされた2002年から、電子ジャーナルは顕著な伸びを見せて、この年を「電子ジャーナル元年」と呼ぶ向きもある。これは、研究室から容易にアクセスすることができ、速報性や検索性の利点を持っている。長期保存ができない問題があるものの、今や学術研究に欠かせない。近年、科学技術振興機構(JST)の運営するJ-STAGE(注4)など、国内学術雑誌のデジタル化とネットワークを通じた提供を支援する仕組みが国レベルで進展している。この分野の流通形態の変化に図書館は対応すべきときである。

      (2)「引用」
      「引用」という形で利用し、新たな研究分野を開拓する研究者も現れ、学術情報が流通する。研究者は、これらの研究による学術情報を社会に広め、応用等の機会を増大させるとともに、後継を育てていくことも任務になってくる。そのため難しい論文をくだいて解説する“サイエンス・ライター”も流通を一役になう。そこにまた学術情報の流通・利用が生じ世代的循環過程に入る。


      3.学術情報の利用
       専門家向け大量データベースとして利用に供する前提として、情報の「ストック」状態という場合があると、私は考えている。これは広義の利用の一部であり、現在多く電子情報として蓄積され利用に供されている。

      (1)電子版学術情報
        「機関リポジトリ」は、大学などの広報、宣伝、組織概要、大学案内、シラバス、学位論文、紀要、学術論文などの総体をさすと言われる。学術情報の論文等について言えば、国立情報学研究所(NII)の「次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業」の援助を受けた千葉大学学術成果リポジトリ(CURATOR)を嚆矢として、他の大学にも広がっている。

      (2)大学図書館の電子図書館化と学術情報ネットワーク
        我が国の国公私立大学の多くはキャンパス情報ネットワーク(学内LAN)を整備し、それらの大学に付設された図書館は国立情報学研究所の管理運用する学術情報ネットワークに接続。さらに、インターネット・バックボーン(SINET 注5)から世界中につながっている。そして、アメリカ合衆国、イギリス、タイに向けて国際専用回線が敷設され、英国図書館文献情報センター(BLDSC 注6)と直接図書館間相互協力ができるまでになっている。
       多くの大学では、Web-OPACを公開し、各種のデータベースにアクセスできるように「図書館ポータル」を整備し学生・研究者に供している。 したがって、大学図書館の総体が、専門資料と世界的につながっているのである。
       研究者が書いた論文雑誌が雑誌価格の高騰のため図書館で入手不可能という事態は避けたいという背景のもとに誕生したのが、SPARC(Scholarly  Publishing and Academic Resources Coalition )の活動であり、「機関リポジトリ」や「オープンアクセス」を支援する活動を行っている。「オープンアクセス」とは、そもそも学術情報は無料で制約のないオンラインでの利用が可能であるべきだという考えと運動をさす。「オープンアクセス誌」の刊行は「著者支払モデル」を採用し経費をねん出している。
       
      4.生産・流通・利用についての注意
      しかし、以上の学術情報でさえ“嘘”が混在する場合がある。それは刹那の功名を求めたデータ改竄やマスコミの経済的構造も「デジタル・バイアス」として存在すると現場からの指摘もある(注7)。専門雑誌に掲載される際には、専門家同士の厳しい査読制度(レフェリー制度)があるため、オリジナリティの価値ある論文が掲載される可能性が高いとしても100%正しいかどうかは、まさに自然科学においては実験と観察、社会科学においては実証に待つ。これが、最大の“レフェリー”となる。
      2006年、再生医療に使える「万能細胞」についての韓国ソウル大チームの研究は、ねつ造であり科学倫理を踏みにじったことがハッキリした。この研究成果は堂々と専門雑誌『サイエンス』に発表されたものだったのに、である。最も注目される最先端の研究に対して「レフェリー制度」の大穴が明らかになった。韓国も国家挙げて応援していた“科学”でもあったから権威は地に落ちた。
      ところが、このようなことは一部ではない。アメリカでは「何らかの科学的な不正行為を犯したことがあるバイオ分野の研究者は、なんと3分1にも上る」という驚愕の調査結果がある(注8)。しかも、この調査結果は、科学雑誌『ネイチャー』にも掲載された。
      学術情報の分野でも生産・流通・利用の各段階で、自浄作用のシステムが求められていると言える。


      (注1)『講座 図書館の理論と実際 9 学術情報と図書館』海野敏ほか著、雄山閣、1999年、p18
      (注2)紙媒体の学術誌「プログレス・オブ・セオリティカル・フィジックス」(理論物理学の進歩)、通称「プログレス」は、1947年、朝永博士が「くりこみ理論」の論文を創刊第2号に発表し、65年にノーベル賞を受けた。「CP対称性の破れ」でノーベル賞を受けた小林・益川論文は73年に掲載。その後、世界中の研究者に引用され、2007年、1年間だけでも引用数は5264件に達する(2008年10月9日 読売新聞より)。
      (注3)「グローバルCOEプログラム」
      http://www.jsps.go.jp/j-globalcoe/index.html(2010年7月24日参照)
      (注4)J-STAGE (科学技術情報発信・流通総合システム)
      http://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja (2010年7月24日参照)
      満10周年を迎え、ジャーナル619誌(297,796記事)、予稿集・要旨集125誌、 報告
      書10誌などを提供中である。
      (注5)SINET 学術情報ネットワークhttp://www.sinet.ad.jp/(2010年7月24日参照)
      現在、SINET3(サイネット・スリー)学術情報ネットワークは、日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として、国立情報学研究所(NII)が構築、運用している情報ネットワークである。学術研究及び教育活動の「情報ライフライン」を提供し、各種コミュニティ形成の支援、学術情報の流通促進を図っている。2010年4月からSINET4(サイネット・フォー)で範囲を拡大している。
      (注6)BLDSC The British Library Document Supply Centre
         http://www.maruzen.co.jp/home/irn/journal/dds(2010年7月24日参照)
      BLDSCは、逐次刊行物25万タイトル、書籍300万冊、レポート460万件、会議録37万件、学位論文59万件等を所蔵する世界最大級の文献提供機関。BLDSCには、世界中から毎日約15,000件の注文が入り、その内の約90%を所蔵資料で充足している。
      丸善や紀伊国屋書店から注文できるようになっている。
      (注7)『メディアバイアス:あやしい健康情報とニセ科学』光文社新書
      (注8)『論文捏造』村松秀著、中公新書ラクレ226、2007年、p5

       

      図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

      図書館資料論 ノート2

      2010.10.31 Sunday
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        JUGEMテーマ:学問・学校

         高度情報化社会における図書館資料の価値

        1. 図書館資料の種類と意義の変化
        従来の図書の意義は「読みながら考えたり、一度読んだところに再度戻ったり、読み比べたりといった反復の過程を可能にする・・・・(そして)この過程が深い思索と批判的思考を可能にする」(注1)ところにある。
        図書は、公共図書館では資料費の80%を占める。また、伝統的な印刷形態の図書についても高度情報社会にあって、見直されるべき部分もある。それは、〇刻表、為替レート、図書館目録など、統計データ等、K椶篋酩覆陵儻貂引等である。
        したがって、伝統的図書、パッケージ系電子出版物(CD-ROM、DVDなど)、ネットワーク系メディアのそれぞれの特徴を生かしながら、棲み分ける必要がある(注2)。
        また、ネットワーク情報資源に関して、基本的には、図書館からのネット・リンクサービスを構築することが高度情報化社会において不可欠になっている。
        具体的には、〔槝拭⊇饂錙∈引など二次情報データベースとして、自館・他館のOPACや新聞横断記事検索など、▲ンライン出版、電子ジャーナル、ネット配信など、E纏匆修気譴慎録・文書類、ね益な情報源サイト、特にこのURLを一覧すれば、信頼できるサイト情報を市民のために提供するものがある。これらは、図書館サービスの利用率を高める。(注3)(注4)。
        だが、これらは従来の紙媒体の図書、マイクロ資料、視聴覚資料などの価値を減ずるものではない。

        2. コレクション構築のプロセスの在り方の変化
         図書館コレクションの概念は、「図書が中心である印象の強い『蔵書』に代わって、より多様な資料の集積」(注5)と定義も変化してきている。インターネットの発展や電子資料、電子書籍が飛躍的に増加している現在、「図書館のコレクションの概念をどう考えていくべきかは、これからの重要な課題」(注6)となってきているのである。
         新聞は「全82巻の大型全集が約700グラムに―。講談社は25日から刊行を始める電子書籍版「小田実全集」をアップルの情報端末「iPad(アイパッド)」に対応させることを17日までに決めた。専用の閲覧ソフトを今秋公開する。iPad対応の作家個人全集は国内初」と報じた(注7)。これは、全巻で7万8750円。オンデマンド版の紙の本は全巻31万7415円に比して3分の1の値段になり、図書館コレクション構築する際、予算やスペース問題で経営計画に影響すること必至である。
        公共図書館においては、「従来行われてきたサービスを続けつつ、それと同時に、これまで不十分であったレファレンスサービス、課題解決・調査研究の援助、時事情報の提供、専門的資料の提供、勤労者へのサービス等を充実させるべきである。これらを実現するためには、図書館の経営方針や、資源配分の優先順位と比率の見直しが必要である」(注8)と言われる。
        この提言にしたがうなら、コレクション構築の在り方変革が喫緊の課題である。

        3. “電子書籍”元年のショック
        「日本の出版業界では「今年は電子書籍元年」とも言われる。国内の市場は2008年度は約464億円だが、5年後には3千億円規模になる可能性があるとの予測もある。成長をさらに加速させそうなのが読書専用端末の普及だ」(注9)。
        これだけでは市場が5倍になるとの見通しだけで、図書館との関連が見えない。しかし、韓国では、2011年度からは小・中・高校で全ての教科書を電子書籍で提供する「電子教科書」を導入するかどうかを決定する見通しである(注10)というニュースを聞くなら、図書館コレクションにおいて“黒船”の存在と大革命の予感を覚える。
        公立図書館では、2002年北海道岩見沢市立図書館が電子書籍の閲覧サービスを始めたが、需要が少なかったため取り止めとなった経験があるが時代は変わった。早急にコレクション概念のパラダイムを転換すべきである。
         私は、従来の図書館コレクションをしつつ、別の大きな収集分野として確立すべきだと考える。

        4. 図書館資料に対する価値観の変化

        (1)高度情報化社会になれば図書館資料の価値が高まる
        こう考えてくると、図書館全体としてのニーズが高まる分、図書館資料の価値がなお一層高まると言える。
         このニーズの増大について、新聞のインタヴューに対して日本図書館協会の常世田良事務局次長(元浦安図書館長)は「図書館の数はこの10年間で約20%増えています。ハコモノ行政が減っている中で、図書館だけが唯一増えている。図書館のニーズが、どの町でも高く、利用率も高いからです」と答えている(注11)。
         この新聞特集がとくに注目したのは指定管理者制度導入で、民間のヴィアックス社に窓口から運営まですべてを任せた千代田区立図書館である。千代田区図書館は「司書資格を持つスタッフ20人が資料調査やビジネス支援などの相談に乗っている」(広報チーフ)という。
         これは、「これからの図書館の在り方検討協力者会議」が提案した「レファレンスサービス、課題解決・調査研究の援助、時事情報の提供、専門的資料の提供、勤労者へのサービス等」への資源配分の傾斜に成功した例である。ここでは、このサービスに対応した図書館資料をコレクションしていることも背景にあることを見逃せない(注12)。

        (2)「課題解決」のための図書館資料の需要増
        「課題解決型」支援サービスについて考える。成功事例は千代田区以外にも様々に報告されている(注13)。 しかし、一口に課題解決と言っても地域によって要求や課題に違いが生じる。日本一のオフィス街の千代田区立図書館と高齢者の多い地方の町立図書館とは要求や解決すべき課題が全く違うからである。少し例をあげる。
         滋賀県愛知川図書館は、貸出利用冊数制限を設けていない。多様な資料要求にこたえることを基本姿勢とし図書館ネットワークでも対応する。「町の情報庫」となることを目標に、集落の自治会だより、町内のミニコミ紙、新聞の折り込み広告なども収集している。
         三鷹市立三鷹駅前市図書館は、「SOHO CITY みたか構想」政策にそって資料をコレクションしている。
         東京都立中央図書館は、Eメールによる「ビジネスレファレンス通信講座」を開催、法テラス発足に対応して法律情報サービス、健康・医療情報サービスを実施している。
         鳥取県立図書館も、レファレンス回数の3分1〜4分1が健康・医学関係を占めていたことを反映して、健康情報サービスを実施し、「闘病記文庫」を設け、健康に関するパンフレット棚を設置している。
         これらの一端を見ても、高度情報化社会になるにしたがって、図書館の役割はたかまり、電子化されない「生の情報」への欲求もたかまっていると見るべきである。
        図書館資料に対する価値観の変化が、図書館資料の価値を高めていると言える。
        高度情報化社会にとって、電子化資料であろうとなかろうと、課題解決のために図書館資料に対する期待はますます高まる。

         
        (注1)『講座 図書館の理論と実際 ▲灰譽ションの形成と管理』三浦逸雄・根本彰著、雄山閣、1993年、p33-34
        (注2)『改訂 図書館資料論』平野英俊ほか編著、樹村房、2009年、p24-p25
        (注3)このことに関連して、図書館資料の「対価不徴収」原則(図書館法第17条)を尊重しつつ、電子化情報サービスについては「図書館資料の利用」をこえるサービスになるとの解釈をして、電子化情報サービスの対価徴収については図書館設置者の地方自治体の裁量に委ねることになった。生涯学習審議会の図書館専門委員会「図書館サービスの多様化・高度化と負担の在り方について」(1998年)『図書館資料論』後藤暢著、教育史料出版会、2003年、p191-p192参照。
        (注4)インターネット上のサイトは、安定性を欠くため、いつまでも存在するとは限らない。そこで、資料として保存する環境を整えるよう国立国会図書館法で規定され、2010年4月から制度収集が始まっている。(「インターネット資料収集保存事業」)。
        (注5)『図書館情報学用語辞典 第3版』丸善
        (注6)『改訂 図書館資料論』平野英俊ほか編著、樹村房、2009年、p142
        (注7)『電子書籍の衝撃』佐々木俊尚著、ディスカヴァー携書048、2010年 参照
             『時事通信』2010年6月17日20時1分配信記事
        (注8)『これからの図書館像:地域を支える情報拠点をめざして』これからの図書館の在り方検討協力者会議2006年3月
        (注9)『asahi.com』2010年1月13日配信
        (注10)『産経ニュース』2010.2.1 19:06配信
        (注11)2010年6月22日付『日刊スポーツ』20面(東京ナビ〜ビジネスリポート)
        (注12)『千代田図書館とはなにか』柳与志夫著、ポット出版、2010年、参照
        (注13)『地域を支える公共図書館』丸山修企画・編集、財団法人高度映像情報センター
        (AVCC)、2007年、p16-p112

         

        図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

        図書館概論 ノート2

        2010.10.31 Sunday
        0
          JUGEMテーマ:学問・学校

           図書館概論「日本の公共図書館運営のこれからについて」

           将来の図書館について検討する場合、文部科学省が設置した「これからの図書館の在り方検討協力者会議」が2006年3月にまとめた報告書『これからの図書館像:地域を支える情報拠点をめざして』(以下「報告書」)が、大きな流れを考える上で参考になる。
           その報告書は、公立図書館をめぐる現状を直視し、 これからの図書館サービスに求められる新たな視点、 これからの図書館経営に必要な視点を提言している。
           私は、このうち⊃渊餞朷弍弔防要な視点をテーマにして、「公共図書館運営のこれから」を論じる(/渊餞曠機璽咼垢魴攣襪垢襪錣韻任呂覆ぁ法
           この報告書では、図書館経営については、11の提案をしているが、紙面の関係で以下の 3つに絞る(注1)。

          1. 図書館の持つ資源の見直しと再配分
           「報告書」では、「従来行われてきたサービスを続けつつ、それと同時に、これまで不十分であったレファレンスサービス、課題解決・調査研究の援助、時事情報の提供、専門的資料の提供、勤労者へのサービス等を充実させるべきである。これらを実現するためには、図書館の経営方針や、資源配分の優先順位と比率の見直しが必要である」と言われた。
           しかし、「資源配分」の見直しの真意は、人・モノ・金=人員・資料設備、予算であり、言わば小さいパイの取り合いで解決を図ることを前提にしている。
           この努力は十分しつつも、一体何が適正配分なのかを行政全体や図書館政策の中で実践を通して考えることが、「中小レポート」、日野市立図書館の実践、『市民の図書館』からの教訓ではないだろうか。
           この点でドイツのように図書館有料制を導入していることを盾に、「中小レポート」以降の「近代公共図書館原理とポスト福祉国家型サービス原理を再度検討して、新しい経営原理を打ち立てる必要がある」(注2)とする有力な論者もいる。私は、地方財政論をまじめに検討すれば、この論は義務教育を有料制にせよと言う暴論で、歴史を後退させる。
           
          2. 利用者の視点に立った経営方針の策定
          しかし、「中小レポート」等の歴史的制約をむしろ発展的に展開していく上では、「利用者の視点」にたった柔軟な運営が必要な時代になっている。
          そこで、ビジネス支援で街づくりを成功させた浦安市立図書館のように図書館“管理”から図書館“経営”の手法が求められている。
          その一つの典型がNPM(New Public Management)である。NPMとは、仝共サービスに市場メカニズムを導入(民営化、民間委託、指定管理者制度、PFI導入)、∈睫害餬彑度と公務員人事制度の改革(発生主義会計や貸借対照表の導入、業績評価主義の導入、任期付職員登用など)、6叛喇床措衙,粒発、じ楜匱腟舛良顧屐紛ゝ襯汽ぅ匹ら顧客サイドのサービス評価)をいう(注3)。

          3. 図書館サービスの評価
          私は、2010年4月に科目等履修生になって以来、ヽ倉市立中央図書館(ホームライブラリー)、∋堽として日本最大の蔵書を誇る横浜市立中央図書館及び分館(栄区)、逗子市立図書館・藤沢市立図書館(鎌倉近隣市)、た斉狎邯立中央図書館、ス駑国会図書館、千代田区立図書館(セカンドオフィスとして有名)、港区立図書館、Ь消歛臙図書館(私の趣味の歌舞伎専門図書館)を訪れ、利用し、図書館学の観点から観察してきた。
          また、それまでに訪れた図書館では比較的最近では、東京都立中央図書館、杉並区立中央図書館、慶応大学図書館がある。
          館種で分類すると公共図書館(国、都・県、市・区)、専門図書館、大学図書館であり、学校図書館以外は“見学”したことになる。
          ここから見えてきたのは図書館は、コレクションすべてを背にして様々な課題が解決できる頼もしい存在であると、同時に、資料探索・情報検索のノウハウの専門家の必要だった。
          ネットワークが確立して膨大な資料が利用できたとしても、体系だったものや使用に耐えうる価値のあるものかどうか(著作権など含む)という判断はその道の専門家として司書が必要だということである。しかも、情報技術が発展するなかで、高度な情報リテラシーを備えた専門家がいないならば用をなさないのではないかという不安も出てきた。
          特に、近年利用が高まっている、上にも述べたビジネス支援分野では、「従来の図書館イメージを変えるのに役立つ」「公共図書館を課題解決型の図書館に変える契機となる」(注4)と言われているため、これらに対応する技術、図書館評価、予算配分をしないと図書館自体を見限られる。
            理念や必要性から言うと、公共図書館の意義は、\験恭惱支援、⊃諭Τ垢鼎り、“時代を創る”役割、L閏膽腟舛料置としての意味がある。以上のような「社会の要請」(注5)に応えることは憲法の幸福追求権の実現である。この面から図書館サービスは評価され資源配分さるべきである。
            

          (注1)『変革の時代の公共図書館  そのあり方と展望』日本図書館情報学会研究委員会
          編、勉誠出版、2008年、p49-p55参照
          (注2)同上、p19-p35参照
          (注3)『地域の情報ハブとしての図書館−課題解決型の図書館を目指して−』図書館をハ
              ブとしたネットワークの在り方に関する研究会、2005年
          (注4)『公共図書館の論点整理』田村俊作、小川俊彦編、勁草書房、2008年、p43
          (注5)『変革の時代の公共図書館 そのあり方と展望』日本図書館情報学会研究委員会編、
          勉誠出版、2008年、p51参照   

          図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

          図書及び図書館史 ノート2

          2010.10.31 Sunday
          0
            評価:
            前川 恒雄
            筑摩書房
            ¥ 1,890
            (1987-04)

            JUGEMテーマ:学問・学校

             図書及び図書館史 ノート

            日野市立図書館の日本図書館史における意義

            1950年代後半の「昭和の大合併」後、日本図書館協会は、3カ年で全国71館の図書館のサンプリング調査をした結果、1963年に最終報告『中小都市における公共図書館の運営』(以下、「中小レポート」)の完成を見た(注1)。そのフィードバックされた理論の実践(実験でもあった)として、日野市立図書館の実践がある。 
            これは、「中小レポート」まとめの中心的人物が、日野の行政や図書館行政に直接タッチする機会を得たことと符合する。

            1. 一般的評価と意義
            日野市図書館は、最終的に分館、移動図書館、中央館で構成され、市民のあらゆる情報要求に応えた。とくに、移動図書館(BM)は、市内全域に図書館サービスを行き渡らせ、その勢いは「書庫が空になる」と言われた。そうやって住民の知識要求を高めることで、最後に中央図書館を完成させ(1973年)、高まるニーズに見事に応えた。「健康保険制度が肉体の健康における社会保障であるように、精神や教養の面での社会保障が図書館」(注2)だったのである。
            先の「中小レポート」の有効性を実証しつつあった日野市の実践を受け、日本図書館協
            会は全国を調査研究し、その報告書を手引きにして公刊したものが、『市民の図書館』(1970
            年、図書館協会)だった。いわば日野市の実践を受けた「中小レポート」の理論的発展で
            あった。
            この“手引書”は「市立図書館は全市民に奉仕する」義務を負うことを明記して、年齢を問わないサービス、特に児童サービスが成人と同様に行われることを求め、また、サービス網の充実、レファレンス・サービス、インフォメーションセンターとしての機能のさらなる充実が必要と提言した。浦安市中央図書館は、「知識と情報の提供」で人を呼ぶ街づくりに貢献したが(注3)、これは日野の実践を受けた『市民の図書館』の目的「図書の提供」の発展形態であると言える。

            2. 現在の図書館への影響
            1967年に文部省社会教育審議会施設分科会が、「公立図書館設置および運営の基準(案)」を承認したが、時期的に考えても、これは「中小レポート」、日野市の実践を受けたものと言える。また、2001年の「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(文部科学省 注4)にも影響している。
            ここでは、特に、紙面の関係で、日野市立図書館実践の影響やその発展的形態について、(1)鎌倉市立中央図書館(ホームライブラリー)、(2)千代田区立図書館について比較しつつ述べたい。

            (1)鎌倉市立中央図書館
            鎌倉市は人口17万の中規模の都市であり、日本の四大古都の一つ、世界遺産登録を推進している都市でもある。
            鎌倉市の図書館に特筆される特徴は、市民が貸出登録をしている率は同規模都市(小田原、海老名、伊勢原など)と比べて2割近く高い(70.8%)ことである(注5)。  
            来年100周年を迎える神奈川県で最古の近代図書館として、今年から図書館の歴史や在り方、自由についてのキャンペーンを行い、〇毀荏澗里悗両霾鵐機璽咼垢鯊佞蕕覆ぁ↓⇒料から無料への変化の歴史、児童サービスなど、絵にかいたように日野経験の鎌倉的展開の具体的実践をパネル展示している。特に、人口の7割が図書館登録をしていることには驚きを隠せない。日野市の「市域全体へ」のサービス思想は十分影響をうかがえる。

            (2)千代田区立図書館
             日本図書館協会の常世田良事務局次長(元浦安図書館長)は、「図書館の数はこの10年間で約20%増えています。ハコモノ行政が減っている中で、図書館だけが唯一増えている。図書館のニーズが、どの町でも高く、利用率も高いからです」と新聞のインタヴューに答えている(注6)。
             この新聞がとくに注目したのは千代田区立図書館であり、「司書資格を持つスタッフ20人が資料調査やビジネス支援などの相談に乗っている」(広報チーフ)という。
            『市民の図書館』編著の中心的役割を果たした前川恒雄氏(元日野市立図書館長)は、貸出の推進とともにレファレンスが図書館奉仕の二本柱だと言った(注7)。だが、この原理原則は、この千代田区立図書館(注8)のように一部ではあるが本格的な情報化社会、ユビキタス社会に到って開花したといえる。


            (注1)『図書及び図書館史』小黒浩司編著、日本図書館協会、2010年、p109-p121
            (注2)『図書館史―近代日本篇』小川徹、山口源治郎著、教育史史料出版会、p185−p189
                 (日野市立図書館「業務報告 昭和40、41年度」、前川恒雄「移動図書館ひまわり号」
            筑摩書房、1988年)
            (注3)日本図書館協会ホームページより(2010年7月31日参照)
                http://www.jla.or.jp/kijun.html
            (注4)『浦安図書館にできること』(常世田良著、2004年、勁草書房)参考文献
            (注5)『鎌倉市の図書館』(平成20年度事業報告)資料編 p46
            (注6)2010年6月22日付『日刊スポーツ』20面(東京ナビ〜ビジネスリポート)
               この特集では、千代田図書館、葛飾図書館、文京図書館を取材している。ちなみに
            「日刊スポーツ」の発行部数は200万部(2002年)と言われ、スポーツ紙では最も
            多い部数である。
            (注7)『われらの図書館』前川恒雄著、筑摩書房、1987年 p 56-p64,
            p236「二つの役割」より、「図書館の機能は資料・情報の提供であり、その方法は、貸出し、レファレンスと文化活動である」と述べている。
            (注8)『千代田図書館とはなにか』柳与志夫著、ポット出版、2010年 参考文献

            図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

            図書館経営論 ノート2

            2010.10.31 Sunday
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              JUGEMテーマ:学問・学校

                図書館経営論 ノート

              ホームライブラリーの現状と課題

              1.実地観察による全体的感想

              (1)10館を訪問・利用・観察
              私は、2010年4月以来、10館に見学・利用した。館種で分類すると公共図書館(国、都・県、市・区)、専門図書館、大学図書館に行き、学校図書館以外“見学”したことになる。

              (2)どの館種でも専門家が不可欠
              ここから見えてきたのは、簡単に言うなら、図書館は、?コレクションすべてを背にして様々な課題が解決できる頼もしい存在である、?同時に、資料探索・情報検索のノウハウをもった専門家が必要だということだった。
              ネットワークが確立して膨大な資料が利用できたとしても、体系だったものや使用に耐えうる価値のあるものかどうか(著作権など含む)という判断はその道の専門家として司書が必要だということである。しかも、情報技術が発展するなかで、高度な情報リテラシーを備えた専門家がいないならば用をなさないのではないかという不安も出てきた。


              2.鎌倉市立中央図書館の現状と課題
                以上のような観察・見学、全体的感想をもちつつ、ホームライブラリーの鎌倉市中央図書館の現状を詳しく観察し、課題を浮き彫りにして、改善のための若干の提案をしたい。

              (1)市の特徴

              (1)-1 歴史
              鎌倉市は人口17万都市という中規模の都市ではあるが、日本の四大古都(奈良、京都、鎌倉、江戸)の一つでもあり、世界遺産登録を推進している都市でもある。
              それは約830年前に源頼朝が代々源氏ゆかりの鎌倉の地に幕府を定め、その後紆余曲折があったとしても江戸時代崩壊までの中世の始めであり、「封建制」始原地であったためである。

              (1)-2 現在
              明治以降はリゾート地・別荘地として栄え、現在も観光地・海水浴地として年間約2000万人の観光客が訪れる。また、東京駅・新宿駅から約1時間の通勤圏内のベッドタウンともなったが、市街地域の6割が「周知の埋蔵文化財包蔵地」、市面積の4割が山を含めた緑地、国指定史跡面積は市の4.6%あるという地域である(注1)。
              1960年代、古都保存法を制定するきっかけになったのは、年間300万人訪れる鎌倉鶴岡八幡宮裏手の「御谷」地域保存運動だった。市民が、文学者・大仏次郎や鎌倉五山第1位の建長寺管長も一緒になって開発反対に取り組んだ日本初のナショナルトラスト運動だった。これが、京都や奈良の古都保存にもつながった。現在も、常盤・広町・台峰地域の環境保全運動が進んでいる(注2)。

              (1)-3 市民意識と現状
              この市民意識の高さは市民生活についても現れ、2010年4月、鎌倉市は47.8%と高いゴミ・リサイクル率を示し、人口10万人以上50万人未満の市町村の中で、5年連続で鎌倉市が全国第1位のリサイクル率となっている(全国平均20.3%)。第2位が倉敷市なので、その共通性から考えると文化都市としての意識の高さを物語っている(注3)。
              鎌倉市は個人預金残高が日本一だということで銀行参入戦争をしていると日経新聞に騒がれたことがある(注4)。一方、生活保護世帯も4.5%(全国平均12%)あり、逆に見ると日本一格差のある都市でもある(注5)。


              (2)鎌倉市立中図書館の特徴
              (2)-1 来年100周年
              鎌倉市中央図書館は、来年100周年を迎え記念事業に向けて、神奈川県で最古の近代図書館として、図書館の歴史や在り方、自由についてのキャンペーンを行い、?市民全体への情報サービスを怠らない、?有料から無料への変化、?児童サービスなど、絵にかいたような「中小レポート」以降の鎌倉的展開の実践をパネル展示している。

              (2)-2 指標による分析
              『鎌倉市の図書館』(平成20年度事業報告)で、JIS図書館パフォーマンス指標にもとづいて自己分析しているように、鎌倉市の図書館(分館含む)に特に目立つ特徴は、
              ? 市民が貸出登録をしている率は同規模都市(小田原、海老名、伊勢原など)と比
              べて2割近く高い(70.8%)。
              ? 予約貸出比(総貸出点数にしめる予約資料貸出の比率)は、やはり同規模都市に比  して2倍の23.0%にものぼる(注6)。
              ? 『日本の図書館2009』によると、1000人当りの登録者数は100万都市の古都、
              大学都市の京都市と比べても、京都市270.4に対して鎌倉市245.9と遜色がない(注7)。
              これらのなす意味は、私は、文化都市としての「鎌倉」の住民性やそれに比例しての計画的な学習意欲の高さを示すと考える。

              (2)-3 施設など
              ? 貸出不可ではあるが、歴史だけでなく現在の鎌倉関連の資料も一か所に並んでい
              て閲覧しやすいことが、鎌倉ファンに便宜を供している。
              ? 幼児や児童に対する最大の配慮は児童幼児専用トイレの設置と場所に現れている   と思う。私の行った他の図書館では見当たらなかった(または目立つ所にない)。
              ? 椅子のきしみを防止するために脚にテニスボールをかぶせ、ペン立てにヨーグル   
              トの空き瓶を使い、本棚の仕切りにクリアーケースを利用、正面入口のカギ付き
              雨具立てがほとんど使い物にならない。
              すでに3年間利用している図書館ではあるが、世界遺産登録推進の裏で、涙ぐましい鎌倉市の施設整備費の節約が見える。


              (3)課題と提案
                地下書庫見学ツアーも申し込んだが予約が一杯で見ることはできなかった。それだけ人気も高く、市民(市外含む)の知る欲求の強いことでもある。以上のような文化都市としての意識の高さ、学習意識の強さ、知る欲求の強さから考えて、愛するべき鎌倉発展のために課題を明らかにし、必要な提案をしたい。

               (3)-1 レファレンス・サービスの改善
                  年度別レファレンス件数の推移をみると、1998年から2008年の10年間で8倍に伸
              び、人口17万の都市で年間4万件のレファレンス要求がある。
               しかし、レファレンス窓口はあっても専任の担当者がいないので、近隣の逗子市立図書館のように、「レファレンス」窓口担当者(専門家)を明確にしてテーブルに座らせるべきである。誰に聞いたらいいかわからない、たらいまわしにされる、他の仕事で忙しそう、などの事態は避けるべきである。さらに、細かいことを言うと、雑誌には様々に鎌倉特集が組まれるが、それを集めた棚がない。新聞横断検索ツールの契約を停止して情報検索機能が低下している。
                 また、失業者が増え、若者の就職が困難である。また、日本一格差社会の両極の悩み
              が潜在しているため、レフェラルサービスに緒を付け資産問題、貧困問題の第一歩の相談窓口の「窓口」とすべきと考える。

               (3)-2 児童サービスの検討
              ニューヨークの公共図書館、とくにブルックリン公共図書館では「健全な学びと遊びの場」として放課後の面倒をみ、インターネットなどをフル活用して宿題支援をしているとの報告がある(注8)。そのようなユース・ウイング(児童館的な役割)を持つスペースも必要である。一般的ではあるが、人口も文化も違う日本では塾や学童保育がそのような役割を一定もっている。ならば公共図書館との連携をもっと探るべきである。
              明るく開放的な図書館の入口近くに児童スペース(10畳程度、ドアが無い、カーペット敷き)が、セッティングしてある。児童用トイレがその近くにあり、靴を脱いでくつろげる空間になっている。これが親子ともども寝転んで、あるいは抱っこして本を読める空間になる。ただ、この場所が貸出デスクからは死角になっている点は改善すべきである。

               (3)-3 施設整備等
                 構造全体の修繕は鎌倉市全体の予算にかかわる。世界遺産登録推進を言うならそれ
              にふさわしい図書館としての「体面」を保つ施設として予算を組むべきである。細か
              く言うならば上に述べた点を早急に改める。
               
               (3)-4 類似施設との連携強化
                    鎌倉国宝館との連携については明示されているが、鎌倉文学館(資料館)との連携
              がないことは惜しまれる。文学館は鎌倉ゆかりの文学者の保存収集、展示などを行っている(注9)。かつては「鎌倉文士」などと言われ、夏目漱石が円覚寺に参禅し、芥川龍之介が『蜘蛛の糸』等を材木座地域で執筆、ノーベル文学賞受賞の川端康成はじめとした文学者が、綺羅星のごとく居住していた。それを現在稲村ケ崎に居住している若手芥川賞作家・柳美里までまとめているのが、鎌倉文学館である。ネットワークの構築をはじめ、人的交流をするなど連携強化をもとめたい。
               鎌倉市川喜多映画記念館が今年4月オープンした。映画資料の展示、映画上映をはじめとして、映画関連資料の閲覧やWeb検索もできる最新の記念館である(注10)。これとも連携がない。ビラ一枚、鎌倉図書館においていないか、目立たないので、鎌倉市の体制的な問題がある。


              (4)解決の方途
               (4)-1 情報ハブにするための図書館政策
              以上から、一言で言うなら地域の情報ハブとしての役割を予算面と情報面から補う図書館政策・計画が必要である。
               鎌倉市の文化施設は、鎌倉国宝館、鎌倉芸術館、鎌倉文学館、鏑木清方記念美術館、鎌倉市川喜多映画記念館がある。
                 ところが、上述したようにバラバラな活動を展開しているので、それらを有機的に結びつける「ハブ」としての機能を図書館にもたせることで、地域情報のセンター、文化都市としてのセンターとする。
                このことで、それぞれ他の都市にはない歴史に裏打ちされた資料や現在の生活情報などが本当に役立つようになってくると考える。

              (4)-2 予算・人員獲得のための社会的マーケティング
                実際に情報ハブとしての地域拠点にするためには、予算の裏付けがどうしても必要である。高額のコンピュータやネットワーク、維持費、電子情報入手のための予算措置と人員配置等をすることが求められる。この予算と人員獲得の際にはPR(宣伝とパブリシティ)が必要であり、関係者が納得できうる理論の構築、費用対効果の説明などが求められる。そこに、「『思想、価値観』を売り物の対象にする社会的マーケティング」(注11)が不可欠となってくる。
              鎌倉市立中央図書館の場合は、?情報サービスの種類の多さ、どれだけの文献が検索対象となるか、?サービス対価への費用負担の適正化と公正さ、?駐車場、サービス時間、サービス提供時間など、?サービス価値のターゲット(研究や支援を求める人)に対する伝達、という4つの社会的マーケティングをすべき時である(注12)。開館時間が木、金以外5時までなので、サラリーマンは土日しか使えない不便さがある。
              また、現在、鎌倉美術館・博物館の建設計画があり、文化財を発掘しても保存するだけで死蔵していため、その活用等については課題とされていた。こういう資料や情報を結びつけるならば、市民意識の高さと相まって、さらに世界遺産登録への弾みとなるだろう。


              (注1)『改訂版 鎌倉観光文化検定公式テキストブック』鎌倉商工会議所、かまくら春秋
              社、2008年、p51-p67参照
              (注2)『鎌倉広町の森はかくて守られた』鎌倉の自然を守る連合会、港の人、2008年
              (注3)鎌倉市ホームページ(2010年7月26日参照)
              http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/shigen/kisyahappyou20100420.html
              (注4)日本経済新聞 2009年2月17日付
                 「鎌倉には上場企業役員やOBのほか、芸能人などの高額所得者や資産家が多く住
              み、特に旧三菱銀行鎌倉支店は、国内銀行の支店で個人預金残高がトップになった
              こともある有名店で、今でも三菱東京UFJ銀にとっては「金城湯池」」
              (注5)神奈川県ホームページ(2010年7月26日参照)
              http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/15/1578/kikaku/nenpou/H18/fukushitoukei.
              (注6)『鎌倉市の図書館』(平成20年度事業報告)資料編 p46
              (注7)『日本の図書館2009』p152、p194参照
              (注8)『未来をつくる図書館』菅谷明子著、岩波新書837、p117-p125
              (注9)鎌倉文学館ホームページ(2010年7月26日参照)
                 http://www.kamakurabungaku.com/
              (注10)鎌倉市川喜多映画記念館ホームページ(2010年7月26日参照)
              http://www.kamakura-kawakita.org/about.php
              (注11)『図書館経営論』柳与志夫著、学文社、2007年、p124
              (注12)同、p126-p128
                  『図書館・情報センターの経営』高山正也編、勁草書房、1997年、p189-p198


              P.S.

               その後、2015年8月26日のニュースで、鎌倉図書館のTwitterで死ぬほどつらいなら図書館においで、という意味のツイートが「やさしい」と話題を呼びました。

               設備も大事ですが、9日1日に生徒の自殺が多いという統計が出たご時世では、こういう図書館の姿勢こそ今、必要ではないでしょうか。

               涙涙涙。

              図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

              図書館サービス論 ノート2

              2010.10.31 Sunday
              0
                評価:
                高山 正也,池内 淳,斎藤 泰則,阪田 蓉子,宮部 頼子
                樹村房
                ¥ 1,995
                (2005-03)

                JUGEMテーマ:学問・学校

                 図書館サービス論   
                 
                地域における図書館の役割
                ―――「課題解決型」支援サービスを中心に

                 地域との関連では、「地方分権・民主主義社会を支える自立支援こそ図書館のミッション」(注1)と言えるほど公共図書館を重視する立場がある。
                 以下、この視点で、各地の実践レポートを踏まえ、1.地域「課題解決」にどう向かったか、2.どういう方法でそれを成し得たのかについてまとめ、ある種の法則性を見つけてみたい。

                1. 地域「課題解決」にどう向かったか、
                 「これからの図書館の在り方検討協力者会議」が2006年3月にまとめた報告書『これからの図書館像:地域を支える情報拠点をめざして』(以下「報告書」注2)が、大きな流れを考える上で参考になる。
                 「報告書」では、「従来行われてきたサービスを続けつつ、それと同時に、これまで不十分であったレファレンスサービス、課題解決・調査研究の援助、時事情報の提供、専門的資料の提供、勤労者へのサービス等を充実させるべきである。これらを実現するためには、図書館の経営方針や、資源配分の優先順位と比率の見直しが必要である」と提案された。
                 また、『地域を支える公共図書館』(注3)によると、「報告書」に提言された、言わば未踏のサービス領域に努力し模索している現状が見て取れる。一端を列挙すると、
                 滋賀県愛知川図書館は、貸出利用冊数制限を設けていない。多様な資料要求にこたえることを基本姿勢とし図書館ネットワークでも対応する。「町の情報庫」となることを目標に、集落の自治会だより、町内のミニコミ紙、新聞の折り込み広告なども収集している。
                 三鷹市立三鷹駅前市図書館は、「SOHO CITY みたか構想」政策にそって資料をコレクションしている。
                 東京都立中央図書館は、Eメールによる「ビジネスレファレンス通信講座」を開催、法テラス発足に対応して法律情報サービス、健康・医療情報サービスを実施している。
                 鳥取県立図書館も、レファレンス回数の3分1〜4分1が健康・医学関係を占めていたことを反映して、健康情報サービスを実施し、「闘病記文庫」を設け、健康に関するパンフレット棚を設置している。
                 これらの実践を簡単に言うと、どんな潜在要求があるかをあらゆる情報・指標でくみ上げる努力があるということである。
                これらの一端を見ても、高齢化社会、高度情報化社会になるにしたがって、地域では、図書館の役割はたかまり、電子化されない「生の情報」への欲求もたかまっている。

                2. どういう方法で成し得たのか
                この潜在要求をくまなく汲み上げれば、地域にマッチした意義ある図書館サービスが推進できる。その方法として、以下の3点がまとめられる。
                (1)地域情報を素早くキャッチし体系だてる
                  伊奈町立図書館では、とりわけ平成17年8月に開業した鉄道「つくばエクスプレス(以下TX)」関連資料を、特に意識して収集した。それは、駅の新設により町が大きな歴史的転換点を迎えると予測され、町村合併が町の重要課題となることが想定されたからである。TXの開業が近づく中、鉄道会社、自治体、不動産会社などから、「情報がバラバラに発信されていたため、図書館こそが、住民に様々な視点から公平な情報提供を行える唯一の場所になり得る」(注4)と考え資料をさらに重点的に提供するようにした。その結果、利用者からも「こんな便利なものを図書館で作っていたのか」との反応があり、新聞記事以外のレファレンス依頼の増加にもつながっているようだ。
                滋賀県愛知川図書館もこの方向である。

                (2)ビジネス支援に着目する
                 静岡市立御幸町図書館は静岡市中心部にある。ビジネス支援については、「あらゆる分野がビジネスに関わりを持っている」との考え、他の分野の書架から切り離されたコーナーは存在しない。最近の相談内容としては「地元のバス会社の利用客数・バス保有台数等を知りたい」「小売店の業務マニュアルを作る参考になるものがほしい」「静岡県・市の下駄の生産量を知りたい」(注5)などがある。ここでは、産学交流センターとの連携が密(上下階にある関係)なので、ビジネス支援ができ易い環境を存分に活用している。
                三鷹市立三鷹駅前市図書館や東京都立中央図書館の事例は、都民の要求自体が網羅的なので簡単に言えないが、ビジネス支援を重点に置いている。

                (3)行政支援と結びつける
                 鳥取県庁内に県政の『知の拠点』として図書室を設置した(平成17年)。地域の自立度を高めるため、職員自らが主体的に施策の企画立案を行い、職員の業務達成に有効な情報の収集・活用を支援・促進することを目的の一つとした。
                 これは、積極的に主体的に地方分権をすすめ地域に貢献するための独自の努力として実った。


                (注1)『これからの図書館像:地域を支える情報拠点をめざして』2006年3月
                (注2)同上
                (注3)『地域を支える公共図書館』丸山修企画・編集、財団法人高度映像情報センター
                (AVCC)、2007年
                片山鳥取県知事(当時)が、「鳥取モデル」と呼ばれるほどの実践、県立図書館の図書館政策を作り出した。
                (注4)『これからの図書館像:地域を支える情報拠点をめざして』p19
                (注5)同上、p14

                図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

                図書館資料組織 ノート3

                2010.10.31 Sunday
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                  JUGEMテーマ:学問・学校

                   資料組織化の必要性

                  1. 「資料組織化」の定義
                  作業の構成から考えると、「資料組織化」は、〇駑舛亡悗垢覽録の組織化と、∋駑措体の組織化から成りたち、図書館の内部的な間接サービスである。その方法として〔槝進埓法、請求記号の付与法、記述目録法、件名目録法、分類目録法がある。
                   
                  2. 公共図書館の活動とは
                  そもそも「公共図書館」の目的は、図書館法第2条(注1)で、「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーションなどに資することを目的とする」と規定している。
                  公共図書館の必要性から言うと、\験恭惱支援の意義があり、⊃諭Τ垢鼎り、“時代を創る”役割があり、L閏膽腟舛料置としての意味がある。
                  それに対応して、現在の公共図書館は、三大要件(市民に公開、原則無料、明確な法的根拠)を備えており、‐霾鷁充匆顱∪験恭惱に対応するために、情報ギャプを埋める一つの力になる、⊂鐇づ栂百枋垢慮世Δ茲Δ法崔亮韻半霾鵑猟鷆 廚膿佑鮓討岾垢鼎りに貢献し(注2)、L閏膽腟舛里燭畸楼茲両霾鶺鯏世箸覆襪里任△襦また、そうなる努力が行政にも市民にも不断に求められる。

                  3. 図書館サービスの展開
                   図書館サービスには、閲覧、貸出、レファレンス・サービス、予約・リクエストサービス、読書案内、デジタル情報サービス、カレントアウェアネスサービス、レファレル・サービスなどがある。これらは、アメリカでも日本でも図書館運動を市民目線で行うことで歴史的に獲得されていったサービス内容でもある。都道府県立は県民への直接サービスと同時に、基本的には市区町村立図書館への支援・援助の役割が大きい。だから、日本では市区町村立図書館こそが、直接市民へのサービスを行う実施主体である。
                  大串夏身氏は(注3)、この公共図書館の可能性について、
                   住民が自分のライフスタイルにあわせて読んだり、楽しんだり、調べたり、学んだりすることができる。細部にわたって十分活用できる。
                   さらなる図書館の図書の利用の促進、増加につながる。
                   また、個人の知識の増加、文化・教養の向上、人間的成長に資することができる。
                   読書を促進し、地域の課題の解決や地域の活性化につながる。
                  このように、「図書館の可能性は人間の可能性でもある」と言えると述べている。つまり、図書館サービスは、人の可能性を広げる幸福追求権の主体的活動と言える。公共図書館の意義はここにある。

                  4. 資料組織化の必要性
                   日本図書館協会は,1979年の総会において採択した「図書館の自由に関する宣言 1979年改訂」において,「すべての国民は,いつでもその必要とする資料を入手し利用する権利を有する」こと,そして「この権利を社会的に保障することに責任を負う機関」が図書館であると主張している(注4)。
                  ユネスコ公共図書館宣言1994には「いかなる年齢層の人々もその要求に応じた資料を見つけ出せなければならない。蔵書とサービスには、伝統的な資料とともに、あらゆる種類の適切なメディアと現代技術が含まれていなければならない」(注5)と宣言しているが、「蔵書とサービス」は、資料の組織方法を含めて「あらゆる種類の適切なメディアと現代技術」をもってするという意味でもある。
                  このような理念から、利用者は、求める情報へアクセスする最新の手段として資料の組織化が必要なのである。
                   また、公共図書館の必要性や、図書館サービスの在り方から、速度も競われる高度情報社会にあって、資料の組織化は〕用者にとってはアクセスの正確さ・速さ・円滑さが求められるため不可欠であり、⊃渊餞朶愀玄圓砲箸辰討盪駑祖鷆,凌彗さから必要であり、また、図書館サービスの一環としての図書館ネットワークの互換性のためにも必要となっている。

                  (注1)図書館法 昭和二十五年四月三十日法律第百十八号 最終改正年月日:平成二〇年   
                  六月一一日法律第五九号
                  (注2)『浦安図書館にできること』(常世田良著、2004年、勁草書房) 参考文献
                  (注3)『図書館の可能性』大串夏身著、青弓社、2007年、p158
                  (注4)「公立図書館の任務と目標」まえがき(1989年1月 確定公表 2004年3月 改訂、日本図書館協会図書館政策特別委員会)日本図書館協会ホームページより
                  『図書館サービス論』高鷲忠美著、角川学芸出版、2010年、p13
                  (注5)ユネスコ公共図書館宣言 1994年 UNESCO Public Library Manifesto 1994(1994年11月採択 原文は英語)

                  図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

                  図書館概論 ノート2

                  2010.10.31 Sunday
                  0
                    評価:
                    佐々木 俊尚
                    ディスカヴァー・トゥエンティワン
                    ¥ 1,155
                    (2010-04-15)

                    JUGEMテーマ:学問・学校

                     図書館概論 「現在の図書館員の役割」ノート

                     公共図書館を中心に述べる。
                    1. 図書館を取り巻く現状

                    (1)公共図書館数は2000年〜2009年で約120%増加、貸出点数も約132%増加している(注1)。情報化社会、生涯学習社会に応じて増え続け、国民のアクセス権を保障する機関としてさらに重要性を増している。一方で、図書館資料費の大幅な削減などで「貸出」という市民の要望に十分こたえられない現状もある。
                     また、司書が一人しかいない公共図書館は全体の半分ということは、もう一方の任務、レファレンスサービスが全体として疎かである証明である。全員が司書資格をもつ浦安図書館の活性化と対比して分析すべきときであろう。
                    (2)図書館は、経営等の委託化で効率的な図書館運営を志向している。指定管理者制度を導入して成功している公立図書館もあれば、そうでないところもある。成功していないところは、より安上がりの経営のみに終始した行政の責任を指摘する向きもある(注2)。
                    (3)現在、公立図書館では、情報化社会の急進展に即応するだけのインターネット端末は少ない。だが、モバイル端末の接続端子を備えた閲覧机も増えている。また、電子出版しかない書籍ならコレクションにするかどうか、という新たな判断が必要となってくる(注3)。

                    2. 図書館員の果たすべき役割
                     「図書館サービスは、職員の手によってなされる」(注4)との原則は、その専門性に力点があると考える(ただし、司書の専門性を疑問視する研究者もいる。 注5)。「職員」が司書有資格者であるかどうかは、以上の公共図書館を取り巻く現状に対して、「図書館員」はどうあるべきかともかかわってくる。
                     そこで、(1)図書館員の専門性の発揮、(2)情報リテラシーの高度化(3)図書館政策の立案、に絞って、その役割を考える。

                    (1)専門性の発揮
                    たとえば、図書館員は、「読書相談」や「レファレンスサービス」に対して、専門職として図書資料に関する知識や探索技術を駆使して、利用者の要望にこたえる必要がある。
                     また、公共図書館の存在する地域や住民から要望されるであろう傾向を事前につかんでおくことも求められる。
                    しかし、ネットサイトでは、たとえば、「教えてgoo!」400万件、「Yahoo!知恵袋」2500万件のQ&Aが掲載されている(2009年4月)。これらは問題解決の糸口となる答えがあり、正答率も所要時間もレファレンスサービスと大差がないという(注6)。
                    だから、これからは図書館員にもネットとは違う親切さや即応性はもちろん、専門性・独自性・地域性・連携プレーが図書館員に求められていると言える。
                    この課題に対して、図書館関連予算が削減されるなかで注目されるのは「図書館ネットワーク」である。群馬県では県立図書館が音頭をとり、情報・物流・人の3つの観点からネットワークを構築していることが報告されている。「人」に限ると県立図書館員が市町村の図書館に出向き、専門家として情報交換やコンサルティングを行い図書館員どうしのモチベーションを揚げていることが特筆される(注7)。それが情報、物流(図書の相互貸借など)にも好循環をもたらしている。図書館員の専門性を活かした図書館サービスの一典型であることを期待したい。
                    また、そういう情報交換に全国から寄せられる経験を積載して、ビジネス支援、ものづくり支援、最近では求人情報、子育て支援に対応できる総合的な力量をもつ図書館員のタレントを養成していくことも必要になってくる。

                    (2)情報リテラシーの高度化
                    さらに、そのような多様なレファレンスに対応するためには、印刷資料(マイクロ資料や映像を含む)だけでなく、電子ジャーナル、データベースの使用方法を利用者に教授することが、図書館員にも求められる。そのための研修が図書館員に必須である。ワード、エクセル、パワーポイント使用能力を就業条件として、情報検索基礎能力試験、基本・応用情報技術者資格や知的財産権の知識やスキルなど、適宜、司書のスキルアップを図る配慮が具体的に必要な時期になっている(注8)。
                     特に、近年利用が高まっているビジネス支援分野では、「 崙表顱廖岾惱」といった従来の図書館イメージを変えるのに役立つ、関係法規・基準の精神に合致、8共図書館を課題解決型の図書館に変える契機となる」と言われている(注9)ため、これらに対応する技術をいち早く吸収しないと図書館を見限られる。だから「司書の資料・情報検索支援は、・・・きわめて有効・有益なもの」(注10)なのである。

                    (3)図書館政策の立案 
                     以上のようなレファレンスの在り方、情報リテラシーの向上のためには、一図書館員と言えども図書館政策を考えることなしに、現状を打開できない。トップダウン政策に終始していては市民に直接触れる図書館員との双方向型図書館になりえない。民間から派遣された司書であっても、現場の図書館員こそストラテジー、マネジメント、テクノロジーの基本に習熟すべきである。
                     「公共図書館は部分でありながら、全体を支える役割を果たす」。つまり「それは不偏性をもつ情報・知識を扱い(共通性)、誰でも利用することができて、集うことができること(公開性)、公的な資金や組織の支えがある(公式性)」の3要素をもつ珍しい文化・情報施設である。そして、それを成り立たせるための前提として、「公平性」を積極的に創る姿勢が公共図書館と図書館員に求められている(注11)と言えるからである。

                    (注1)日本図書館協会ホームページより
                    (注2)『千代田図書館とはなにか』柳与志夫著、ポット出版、2010年、p185
                    (注3)『電子書籍の衝撃』佐々木俊尚著、ディスカヴァー携書048、2010年 参照
                           『改訂 図書館資料論』平野英俊ほか編、樹村房、2009年、p142
                    『時事通信』2010年6月17日20時1分配信記事
                       「全82巻の大型全集が約700グラムに―。講談社は25日から刊行を始める電子書
                    籍版「小田実全集」をアップルの情報端末「iPad(アイパッド)」に対応させるこ
                    とを17日までに決めた。専用の閲覧ソフトを今秋公開する。iPad対応の作家個人
                    全集は国内初」と報じている。ちなみにこれば、全巻で7万8750円。オンデマン
                    ド版の紙の本は全巻31万7415円と3分の1の値段になり、図書館情報政策の価
                    値判断が問われていると思う。 
                    (注4)『図書館概論』高鷲忠美著、八州学園大学、2010年、p33
                    (注5)『公共図書館の論点整理』田村俊作・小川俊彦編、勁草書房、2008年、p115
                    (注6)「Q&Aサイトと公共図書館レファレンスサービスの正答率比較」、『図書館界』Vol.61 
                    No.6  March (通巻351号) 2010 所載論文
                    (注7)「群馬県の図書館ネットワークについて」中村晃一郎、『みんなの図書館』2010年
                    4月、p10-18
                    (注8)『地域の情報ハブとしての図書館−課題解決型の図書館を目指して−』図書館をハ
                    ブとしたネットワークの在り方に関する研究会、2005年、p20、p69
                    (注9)『公共図書館の論点整理』田村俊作、小川俊彦編、勁草書房、2008年、p43
                    (注10)文部科学省ホームページ「司書によるレファレンスや情報検索機能―利用者問い
                    合わせに対する文献調査機能」
                    「司書の資料・情報検索支援は、具体的にどのような情報を検索したらよいか情報検索内容が不明な利用者や情報検索の機会や能力が不十分な利用者にとって、きわめて有効・有益なものである」としている。
                    http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/05091401/005.htm(2010年6月18日閲覧)
                    (注11)『千代田図書館とはなにか』柳与志夫著、ポット出版、2010年、p190

                    図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

                    図書館資料論 ノート2

                    2010.10.31 Sunday
                    0
                      JUGEMテーマ:学問・学校

                       図書館資料論
                      「図書館コレクションプロセスの意義」ノート

                       図書館コレクションの概念は、「図書が中心である印象の強い『蔵書』に代わって、より多様な資料の集積」(注1)と言われるが、インターネットの発展や電子資料、電子書籍(注2)が飛躍的に増加している現在、「図書館のコレクションの概念をどう考えていくべきかは、これからの重要な課題」(注3)となる。
                      このような図書館コレクションを構築する際のプロセスを以下の4つにわけて、特徴と意義を考える。

                      (機忙駑疏択のプロセス
                      (1) 資料選択の基準
                      この基準は図書館の「資料収集方針」の中に明示して利用者に分かるようにすることが、図書館の役割や図書館の自由を保障するうえで重要な意義をもつ(注4)。
                      (a) 資料収集方針
                      その根拠として最も基本的な枠組みを与えるのが図書館の「目的」である。図書館法第2条(注5)が理念的な目的ではあるが、抽象的であるため、より具体的な運営方針を各図書館によって規定されている。そのなかで資料収集にあたる部分が資料収集方針に該当する。
                      (b) 利用者とその要求
                        「図書館の自由に関する宣言」では、「国民のあらゆる資料要求にこたえなければなけらない」としている。これは利用者の要求を基準とした「要求論」と呼ばれる選択基準である。一方で、資料それ自体の価値を重視し資料選択するのが「価値論」と呼ばれる。
                       きわめて低俗と“判断”される場合にいくつかの制約を受ける場合(「制限的要求論」)もあるが、研究という立場にたてば有益になる場合もあるため、選択には個々の状況を十分考慮する。
                       また、利用者の要求は顕示的な要求と潜在的要求があるため、日頃から利用者との接触、情報、統計調査、館種、地域特性などにも細心の注意を組織的にはらう必要がある。
                      (c) 資料自体の特徴や価値
                       大学図書館においては「価値論」からの資料選択が多い。その評価基準の典型は、ー臑蝓θ楼蓮↓著者の権威、C作の質、せ駑舛侶疎崚特徴、テ票圓砲箸辰討硫礎諭淵悒ぅ鵐此砲5点である。 
                      (d) 資料購入のための予算の制限
                         出版量の増大、媒体の多様化、雑誌購読料の値上がりなど資料購入予算が圧迫され、
                      公共図書館全体では、この10年で、資料予算が1999年の348億円から2009年の289
                      億円に59億円減少している(注6)。こうした予算状況において前年度実績を考慮しつ
                      つ、資料予算の消化状況を比較しつつ管理、収集することを目指す。
                       
                      (2)資料選択の体制・組織
                         資料収集方針に基づき、効果的効率的な資料選択を行うため、その体制・組織が重要である。
                       
                      (3)資料選択のための情報源
                       資料選択の対象となる出版や販売に関する情報をえるために、様々な情報源をもちいる。
                      情報源は、ヽ峠佝納劼らの出版案内、◆愡┿鐃景港蹐たろぐ』、『DVD&ビデオソフト総カタログ』、ぁ慇こCD-ROM総覧』、ァ愼本古書通信』、Α慇府刊行物月報』などがある。

                      (供忙駑措集のプロセス
                       (1)購入   書誌事項を指定して発注する方法、見計らいによる方法がある。
                      (2)寄贈   /渊餞曚ら寄贈を依頼する場合・・・非売品の政府刊行物・学術資料
                      働きかけがなく寄贈される場合・・・官公庁、団体、企業等から
                      (3)交換   典型例は大学間の「紀要」の交換。国際交換なら文化交流となる。
                      (4)寄託   団体・機関・組織が資料の利用を容易にするため、別の図書館に預ける  
                      ことを言い、通常、所有権は移転しない。
                      (5)会員加入 機関誌・論文誌・年報類など図書館が会員として加入して入手する。
                      (6)納本制度 国立国会図書館法で規定され網羅的に収集。地方自治体や大学でも納本
                      者との取り決めで納本できる。

                      (掘忙駑舛涼濱僉κ欖匹離廛蹈札
                      (1) 装備
                      装備をすることで、利用者が資料を利用しやすくなり、図書館員にとってはその管理が容易になる。
                      (2) 補修・製本
                      資料の利用が進めば次第に傷んでくる。メモや落書きの除去、ページの切り取りや破損に対する対処で修復する。また、特に雑誌の場合は傷みやすいので、ハードカバーの表紙をつけて合冊形態とする。長期の利用に供する、これが製本である。
                      (3) 排架
                      排架とは、資料を書架の指定の場所に配置することであり、利用者が特定資料の位置をつきとめやすくなる意義がある。
                       開架式書架と閉架式書架
                      開架式は利用者からすれば資料のブラウジングができて、未だ意識にのぼらない潜在的な資料要求にも対応できる(注7)。
                       固定式書架と密集書架
                      書架が固定されているのは一般的でブラウジングしやすい。密集式は収容能力が飛躍的に上がり効率的ではあるが、書架移動の操作方法を覚えたり、ブラウジングがしにくい。
                      (4) 保存
                      図書館は、将来の利用者にまで資料提供を保証する責務があるため、保存方法を考慮する必要がある。
                      (a) 紙媒体の保存対策
                             とくに、_硬戞湿度管理、⊇餮砲乏圧い鯑れない、D昭容光が当たらない
                      ようにすること、そ餡佑忙駑舛魏疆戮傍佑畊まない、など必要である。
                      さらに、災害対策として、)媛弌消化設備は必須であり、⊃絣欧慮鎚姪対策
                      や、C録未任僚餡佑療湘櫃砲眷枸犬垢詆要もある。
                      (b) 資料の取り扱い方
                      資料の扱い方をマニュアル化し知識と意識を徹底して、利用者に対して指導でき
                      るようにしなければならない。
                      (c)デジタル媒体の保存対策
                         .僖奪院璽厳呂蓮強い磁気が資料劣化・データ破壊の原因になるので注意する。
                      技術改良で陳腐化する可能性が高いので、読み取り装置とセットに保存する。
                         ▲優奪肇錙璽系は、その保存場所としてインハウス型とリモート型がある。イン
                      ハウス型は、自らのコンピュータ上にデータを置いて保存するが、保存が各作成
                      者に委ねられ体系的な保存が難しい。リモート型は、データ作成会社と契約して
                      保存業務は会社に任される。 
                      (5) 書庫管理
                      (a) シェルフ・リーディング
                      これは、資料を排架順に並んでいることを確認し、正しい順に整理する業務であり、資料探索を容易にし、利用者の満足度も向上する。
                      (b) 蔵書点検
                      これは、すべての蔵書の在庫を点検する、いわゆる棚卸し作業である。その目的は、何らかの理由で行方不明になった蔵書を点検し、欠本補充をし、蔵書検索におけるデータの正確性をたかめ、サービス範囲を保障する作業である。利用可能性(アクセシビリティー)を高める重要な作業である。
                           現在、バーコードリーダーやICチップの導入で労力を減らす可能性のある技術
                      も登場し、効率化の観点から検討されるべきである(注8)。

                      (検縫灰譽ションの評価・再編のプロセス
                      (1) コレクションの評価
                      (a) 評価の目的と種類
                      目的は、〇駑疏択のプロセスや基準が適切であるか、不要な資料を選別し更新するという二つある。その基準は国際図書館連盟のガイドライン、「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」などがある。
                      (b) 評価の手順
                      『日本の図書館』統計編で公表されている主要なデータが、評価の指標になる。公共図書館の場合、奉仕人口、登録者数、貸出冊数、資料費などである。
                      実際には、貸出密度、蔵書回転率などと合わせて評価される。利用可能性の調査や利用者からのアンケートで満足度を測ることもできる。
                      (c)評価手法の標準化と新しい動き
                         図書館統計、図書館パフォーマンス指標で、図書館規格に取り入れられている。
                      これらは、行政評価における顧客満足度を、図書館コレクション評価に導入したも
                      ので、よりいっそう利用者に奉仕できる指針ともなる。
                      (2) コレクション更新
                      (a) ウィーディングは、「除架」とも呼ばれ、コレクションから移管または廃棄するこ
                      とである。コレクションの新鮮さを保持するために不可欠である。
                      (b) 複製することで、劣化の激しい資料は保存できる。
                      (c) メディア変換とは、あらたな媒体に保存することで、スペースの問題で廃棄・除架すべきものを保存できる可能性もある。


                      (注1)『図書館情報学用語辞典 第3版』丸善
                      (注2)『電子書籍の衝撃』佐々木俊尚著、ディスカヴァー携書048、2010年 参照
                           『時事通信』2010年6月17日20時1分配信記事
                         「全82巻の大型全集が約700グラムに―。講談社は25日から刊行を始める電子書
                      籍版「小田実全集」をアップルの情報端末「iPad(アイパッド)」に対応させることを17日までに決めた。専用の閲覧ソフトを今秋公開する。iPad対応の作家個人全集は国内初」と報じている。ちなみにこれは、全巻で7万8750円。オンデマンド版の紙の本は全巻31万7415円に比して3分の1の値段になり、図書館コレクション構築計画が問われていると思われる。 
                      (注3)『改訂 図書館資料論』平野英俊ほか編著、樹村房、2009年、p142
                      (注4)「図書館の自由に関する宣言」日 本 図 書 館 協 会 1954採 択 1979 改 訂
                         第1-3「図書館は、成文化された収集方針を公開して、広く社会からの批判と協力を
                      得るようにつとめる」
                      (注5)図書館法第2条「この法律において「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料
                      を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レク
                      リエーション等に資することを目的とする施設で、地方公共団体、日本赤十字社又
                      は一般社団法人若しくは一般財団法人が設置するもの(学校に附属する図書館又は
                      図書室を除く。)をいう。」
                      (注6)『日本の図書館 ―統計と名簿―』1999年、2009年より
                      (注7)『利用者志向のレファレンスサービス』齋藤泰則著、勉誠出版、2009年、p33
                      (注8)『千代田図書館とはなにか』柳与志夫著、ポット出版、2010年、p19-p42
                         『町立図書館をつくった!』白根一夫編著、青弓社、2008年、p164 

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