大佛次郎「スイッチョねこ」

2010.08.21 Saturday
0
    評価:
    大佛 次郎
    フレーベル館
    ¥ 924
    (1975-08)
    コメント:深く読めば深みにはまるゼ。
    Amazonおすすめ度:
    本屋で一目ぼれ
    大人も子供も、猫好きには永遠の名作

    知らなかった!
    大佛次郎が童話を書いていたなんて。
    フレーベル館から出ています。
    スイッチョという鳴く虫を飲み込んでしまったシロネコの話。
    鳴く虫を食べたいと思っていた猫が、あくびをした拍子に虫を飲み込んでしまい、お腹の中で鳴いて鳴いてどうしよもなくなる。
    静かにすればするほど、暗いお腹の中では虫も安心。でも、猫は静かに寝たいと思います。
    ここに矛盾が生じます。憧れを飲み込んでしまったら、吐き出したくなるくらい嫌なものになる!
    対自として憧れを見ることが、憧れの存在意義です。
    自然に対する愛情とか、そんな感傷で書かれた童話ではなく、社会変革を憧れとして見ることと、自らの運動として捉えることのギャップを描いたと見るのが正しいと思います。
    絵を描いたのは安泰さんという画家。あとがきに色々と書かれてはいますが、ある部分は正確だと思う批評です。が、しかし、市民運動を推進した大佛次郎の生涯を想えば、鎌倉の秋の夜、猫を抱きながら思いついた必然のように感じます。
    社会変革への憧れとそれを自分で推進するつらさ。
    あまりに辛いので、トラネコ医者に虫くだしをもらってお腹のスイッチョを殺してしまう!
    そばで見ていた母親ネコは、眠たさも手伝って、子猫の「病気」が治ることに「よかったね」と言葉をかける。死ぬほど苦しんだのに、微笑みながら喜んでくれた矛盾に何ともない苦さを噛みしめながら、自分をまどろみにみをまかしてしまいます。
    本当にそれでよかったの?秋の夜長の虫の音をうるさいという芸術家がいるのか?セミの声を静かと詠む俳人が賞賛され、鈴虫の「をかし」を理解し、カエルの歌を合唱する日本なのに!
    アダルト童話|-|-|-|-|by ネコスキイ

    一寸法師の反乱

    2010.08.08 Sunday
    0
      評価:
      笠松 紫浪
      講談社
      ¥ 1,575
      (2001-04-17)
      コメント:一寸法師がお姫様と結婚したあとの顛末はどうなんでしょう。

      今は昔。あるところにお爺さんになっちまった浦島太郎が、桃太郎の婆さんと再婚して暮らしておった。 鬼ヶ島から戻った桃太郎と言えば、国の英雄になったものの、何でもやりたい放題。不道徳極まりない行いも大目に見られていたのじゃ。でも、ついには神聖な竜宮城の乙姫さまにまで手を出して、そこまでやるのは罪じゃとたいそう怒られてのう、国を追放されていたのじゃ。
      それで親の責任を問われた桃太郎の爺さんは海に投身自殺。浦島太郎が助けようとしたがダメじゃった。その現場で、婆さんと浦島太郎が出会ったのじゃ。
      歴史には秘密じゃったが、その二人の結婚で産まれたのが一寸法師じゃったのでじゃ。高齢出産で未熟児として産まれたため、あまりにも小さい。それで一寸しかない男の子と言う名前で一寸法師にしたのじゃ。 お婆さんは、一粒一粒コメを与えて強い身体をつくったのじゃが、村の子どもたちいじめ抜かれてのう、それは傍で見ていても辛かった。
      だから逃げるようにして、一寸法師は一大決心して都に修行に出ると生意気言うようになったのじゃ。
      可愛い子には旅をさせろ、と言う。都に登った一寸法師は最新の「打出の小槌」治療で見事な若者になったじゃった。
      そのかわり、いじめられたかわりに、都の女性を片っ端から凌辱し始めたのじゃった。社会に対する何とはなしの恨みからじゃった!
      その報を聞いたお婆さんは、田舎に法師を引き取り落ち着かせようとしたのじゃ。
      ところが、将来を悲観した法師は何ヵ月も引きこもって、寝たままで抵抗したので、皆から寝たろうと呼ばれるようになってしまったのじゃ。
      一年、二年たっても寝たまま。ついに三年目の秋祭りの日、寝たろうはむくっと起きだし、こう言い出した。「そうだ、おむすびをたべたら元気になる!」
      今朝早く戸口でガサッと音がするので、サッと戸を開けてみると遠くにお地蔵さんたちがトコトコトコトコ帰って行くのが見えたのじゃ。
      ガサッとおいていったのはおにぎり弁当じゃった!このおにぎりは一寸法師が都で豪遊していた頃、どんな料理よりもっとも美味しい食べ物じゃった!
      一寸法師は、田舎で作ったコメが都ではこんなに美味しいおにぎりになるのかと感心して一礼して食べたものじゃった。
      その一縷の感謝を日頃から尊崇する地蔵さまたちが覚えていてくだすって、諭しに来たのじゃ。
      おお、南無三法!
      その日から、寝たろうは一生懸命、コメ作りに精を出したのじゃった。だから、皆から田舎を救う「じぞう」さまと呼ばれるようになったのじゃ。
      そこでまた、寝たろう「じぞう」は悟ったのじゃ。働いても楽にならんのは、お上のせいじゃ、と。
      でも、村の皆はヤッパリおかしなこと言う寝たろうと変わらんちゃ、と無視するようになったのじゃ。
      翌朝から、「じぞう」は一生懸命、お上に手紙を書いている。村の子どもたちは、働かない「じぞう」を見て、寝たろう、寝たろうとはやしたてたのじゃった。
      さて、その手紙っちゅうのは、コメづくりを国の中心にして、日照りに強いコメを育てるべきだとの提案じゃったのだ。世にいう「山中八策」じゃ。
      驚いたお上は、都でも名うての女たらし「一寸法師」が、こんな要望をしてくるなんてと笑い者にしたのじゃった。
      ところが、ある年、大日照りでコメができない。国中の皆が飢え死にしそうじゃった。
      あのとき「一寸法師」の言うたとおり、日照りにも強いコメをつくっとったらこんなことにならんかったと、国の役人は嘆いたそうじゃ。
      翌年、一寸法師、じぞうの提案は採用され、国中コメづくりが盛んになったのじゃ。それで村も豊かになり笑って暮らせるようになったのじゃ。
      だから、もう一寸法師を笑いぐさにする者はいなくなったのじゃった。
      その後、ある時、誰かが一寸法師に尋ねたことがあった。何故、あんな提案を恐れ多くも国にしたのかと。一寸法師は答えた。「それは婆さんが、コメ一粒一粒与えて大きくしてくれたからじゃ」
      だから、今でも全国津々浦々に「じぞう」さんが立って皆から尊敬されているらしい。
      アダルト童話|-|-|-|-|by ネコスキイ
       
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