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    朱蒙(チュモン)最後の決断

    2013.02.02 Saturday
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       81話もある韓流時代劇『朱蒙(チュモン)』がやっと観終わりました。
       日本の大河ドラマにすると2年分もある大作でしたが、国づくりの困難をつぶさに見せつけられました。
       外国の侵略に抗しての「国づくり」という視点のドラマは日本には皆無です。
       日本では「天下統一」を目指してのたたかいを描くことに集中されます。
       
       「朱蒙」は、扶余(プヨ)の国の王子だったことは前回のブログで書きましたが、異母兄らにいじめられ、後継者争いのため殺害されようとしました。
       チュモンは、出生した国を捨てて、かつては古い朝鮮民族の国で今は漢に支配されている土地を奪還して新しい国、高句麗(コグリョ)を建国します。
       自国を出るまでの苦難と建国の苦渋を余すところなく描いたのが、韓国で人気で、かつ日本でも人気の時代劇です。
       
       扶余の国にいるときイェソヤ姫と結婚し息子のユリをもうけましたが、扶余の影響の薄い地域をまとめ、漢の侵略を退けるため扶余にに置いたまま出国していたのです。
       そのたたかいで、扶余の敵にされたチュモンの妻子は人質となり、脱出しようとして命を落としたかのように見えました。
       諦めたチュモンは、若いころからの思慕の人でもあり、また高句麗建設に多大な影響を与えた商団のソソノ女性君長と政略結婚。 
       建国事業が軌道に乗ったそのときイェソヤ夫人と息子ユリが存命していることがわかります。時は建国以来10年以上たち、放置されたままの夫人と息子は賤民に身をやつし、息子は盗賊団として活躍していました。
       ここまで落ちぶれた夫人と息子を思いやってコグリョ城に引き取るのはよかったものの、チュモンの正妻となったソソノの連れ子との確執が大問題になります。
       ソソノは、扶余の第一王子テソに結婚を迫られたため、その強圧から逃れるため同じ商団のウテと結婚し、ピリュとオンジョをもうけたものの、ウテは賊に襲われて戦死していたのでした。
       正妻の2人の王子と元の妻の息子ユリ。
       王権争いはすでに扶余の中でチュモンが死ぬほど苦しんだ問題でした。
       それを察してソソノは息子とともにコグリョを出ることを決意します。朝鮮南方にまた息子とともに新しい国を建国するためです。
       チュモンは苦渋の決断を下し、ソソノの意思を尊重します。コグリョの心臓ともいえる鉄器博士モパルモまで同行させて、チュモンの深い思いやりを示しました。
       これがチュモンの最後の決断でした。
       
       ここからわかるのは、恐ろしいほどの謙譲の精神です。チュモンがソソノと結婚してイェソヤが身を引いたのと同じように、ソソノはイェソヤが入城して身を引いたのです。
       ソソノの子どもたちは奮起して百済(くだら)などを建国します。イェソヤの子どもは高句麗をさらに発展させます。
       今の朝鮮は皆兄弟なんだ!!という強いメッセージが伝わってきました。
       侵略者・漢の手先であるヤンジョンを捕まえ殺すシーンに侵略を許さない憎悪を強く感じました。
       さらに、高句麗が漢を倒す野望までもっていたなんて、一筋縄ではない支配欲もあったのです。
       あくまでもフィクションの「朱蒙」(チュモン)ならではのアピールでした。

      超約 韓流時代劇|-|-|-|-|by ネコスキイ

      ドラマ『朱蒙(チュモン)』の脅威 1

      2012.12.03 Monday
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         『朱蒙』は韓国時代劇の怪獣です。
         最高視聴率50%を超えたといいますから、どんなもんかいという勢いでDVDを観ました。
         というのは、韓国大統領選挙で愛国心を強調しているので、韓国のみんなが観ているTVを見れば、ある程度の常識を得られると考えたからです。
         
         朱蒙は、紀元前の朝鮮半島の統一国家・高句麗(コウクリ)を作った王子様です。
         もともと、扶余国(プヨ)の三兄弟の一人。
         ところが、チュモンだけは異母兄弟だったのです。
         長兄はテソ、次兄はヨンポ。扶余国王正妻の兄弟でした。
         
         チュモンが生まれた経緯は複雑です。
         実母は、国内のハペク族のお姫様・ユファでした。そのハペク族が住んでいた中国の漢に半ば支配されていた扶余国は属国扱いで、古代朝鮮の統一国家の回復とその民を守ろうとする扶余の将軍・ヘモスは漢の目の敵にされていました。
         そのヘモスはあるとき漢との争いで瀕死の重症を負って川に転落、ハペク族の居住地まで流され、なんとユファに助けられます。
         ユファは知らずに重症者の看護を続けますが、それが昔から伝え聞いて憧れていたヘモスだと気づきません。ところが、ヘモスの死亡を確認しようと扶余国内を捜索していた漢兵士は、ハペク族にヘモスを匿うと皆殺しにすると宣告します。しかし、知らずにかくまった重症者がヘモスだと漢に知れてしまい、ハペク族はユファ姫以外を殺害されてしまいます。傷が回復したヘモスは自分のせいで一族が滅んだことを気にやみ、その気持ちがユファへの愛に変化していきます。
         
         そのヘモスとユファの間にできた子どもがチュモン。ユファが妊娠を知らせに行った先は、ヘモスが漢兵士に目をくりぬかれ十字架にかけられ処刑されるところでした。そのとき、扶余の王子だったクムワは昔から知り合いだったユファ姫に心を寄せていたこともあり、また、扶余国ヘモス将軍と将来を語り合った親友でもあったため、ユファを側室として迎え、チュモンはクムワの子どもとして、そして王子として育てられます。ただ、真実はユファとクムワだけの秘密でした。
         
         そんな中、民衆もクムワもユファもヘモスは処刑され死んだと思っていたのに、瀕死になっていたヘモスを助けて、重罪人として秘密の洞穴に匿ったのは、扶余国の巫女ヨミウルでした。それは、救うことが扶余国のため天と地の神のお告げだという独自の判断で20年間、幽閉していました。これもヨミウルだけの秘密でした。紀元前の政治は巫女のお告げが大きく作用したのです。

         ヘモスが幽閉されて20年。チュモンは何も知らない奔放な王子に育ち、王子が身につけるべき武芸でさえまともにできないありさまでした。そのうえ、お城の神殿の若い巫女(プヨン)にまで手を出して、王の怒りをかい城から追放されてしまいます。また、漢に秘密で製造していた鉄器工場の存在を知らせてしまう事件まで起こし王子の位も剥奪されてしまいます。その勢いも借りて、長兄も次兄も太子争いに邪魔なチュモンを謀殺しようとます。
         王子たちの重要な任務の一つである先祖代々の国宝タムル弓を始祖山に見に行く旅途中で、底なし沼に突き落として殺そうとしました。
         チュモンがおぽそれそうになったその瞬間です。長い鞭がチュモンの首にかかり引き上げられました。底なし沼でおぼれる人を助けるために、通りががった商人の娘・ソソノが得意の鞭でチュモンを助けたのです。
         その縁で、追放されたチュモンは商団で働くことを乞いますが、勇気も武芸もないチュモンは王子だったことも信頼もされず、雇ってももらえませんでした。
         一年発起、武芸を鍛えるために知り合いの監獄看守に武芸を習います。監獄でも修業を積んだ結果、ある程度できるようになり、働き口としてトチというヤクザ集団の密売人になりますが、ソソノの商団(ヨンタバル商団)と対立してしまう事件に巻き込まれます。ところが、ソソノがトチの人質になったのに命を助けてくれたお返しにチュモンはソソノを解放してしまいます。それを知り怒ったトチがチュモンを捜索、チュモンは武芸の師匠・看守長しか知らない秘密の洞穴監獄で捜索を逃れようとします。

         その洞穴監獄に20年間、国家重罪人とされて住んでいたのが、なんとヘモスだったのです。が、それはチュモンの預かり知らぬところでした。なぜなら、ヨミウルしか知らない事実だったからです。
         隠れ住む監獄の中でもチュモンは武芸の稽古に励みますが、その刀剣が空を切る音を聞いたヘモスは自分が将軍だったことをチュモンに語ります。ただ、チュモンは古代朝鮮の威光や誇り、それを守ろうとしたタムル軍、それを指揮したヘモス将軍のことなど一切知らないまま育っていたのです。それは、母・ユファがチュモンに父親のことをあえて語ってこなかったからでした。
         ヘモスは両目を失明しているにもかかわらず、チュモンに刀剣の使い方を教えます。その芸は、チュモンが今まで見たことのない最高の武芸でした。そして、いつしか、監獄の老囚人のことを師匠と呼ぶようになります。
         そこへ、沼に落ちて死んだと思っていたチュモンが生きていたという情報を得たテソとヨンポが襲撃してきます。何にも恐れないヘモスの剣が賊を追い払い、チュモンとともに人里離れた山に逃げ込みます。
         そこでチュモンが習ったのが、ヘモス得意の実践での弓の使い方でした。
         テソとヨンポが洞穴監獄を襲った、その事実を知った神殿の巫女ヨミウルは、自分のした事実を隠せないと思い、ユファとヘモスをその山の麓で合わせるように仕向けます。
         ところが、さらにテソとヨンポがまたチュモンを山に襲撃します。居たのはヘモスだけで応戦するも、多勢に無勢。数百の矢にさらされ、最期は長兄テソにトドメを刺されます。クムワ王はヘモスが生きていたことを初めて知り、それはヨミウルの仕業だと怒ります。
         
         ・・・・・・・

         クムワは王の座を継ぎ、次の太子を決めるために、3人に手柄競争をさせるようにしました。
         時は、鉄器工場の件で、漢から交易を中止され、扶余国は塩の輸入がストップ、国家の一大事に発展、戦火を交えるかどうか思案していたときです。
         次兄ヨンポはヤクザ集団と手を組んで塩1000石を手に入れました。
         長兄テソは、漢との密約で交易を再開し、以前と同じように塩1万石を手に入れました。
         では、チュモンは。
         なかなか、動きが遅いチュモンでしたが、ソソノの商団と組んで、扶余国内にある塩の山を発見、自国で塩を子々孫々まで自給できるようになりました。
         さらに、属国のままか、戦争かという状況でクムワ王自身が兵を率いて漢に攻め入ろうとした瞬間、塩の山の報告をしたため、戦争も回避できたのです。
         チュモンの働きは、それまでの罪を帳消しにし、城内はもちろん民衆の賞賛するところとなります。
         クムワ王は宴を開きますが、長兄たちは恨みと辱めを受けたと思い、何かチュモンに欠点はないかと計略を巡らします。
         そんななか、無二の親友ヘモスを黙って幽閉していたヨミウルと国王は仲違いし、溝が深くなっているところをとらえて、何かとチュモンに幸いするヨミウルを神殿から追い出せば、運が回ってくると考えたヨンポは、ヤクザ集団を使ってヨミウルを襲撃させます。
         九死に一生をえたヨミウルは襲われたその非を詫びて自ら神殿をさります。あとには正妻の王妃その故郷の巫女がヨミウルのあと釜に。正妻と側室・ユファは何かと対立してきた仲だったので、神殿の巫女を自分の派閥に入れることは、太子の座を手に入れる有効な手段でした。ヨミウルを追放できたことは、塩の自給で太子争いに優位にたったチュモンを一気に陥れる政治的策略だったのず。
         
         王はある日、さらに3人に武芸対決を提案します。子どもの頃から武芸を習っていた兄たちは得意満面。ところが、徒手戦ではヨンポが負け、刀剣戦ではテソが負け。肝心の弓はヘモス伝来の目隠し早射撃でチュモンは家臣団を唸らせます。
         
         ・・・・・・

         このあとはどうなるでしょうか。
         乞う、ご期待。

        超約 韓流時代劇|-|-|-|-|by ネコスキイ

        「済衆院」の愛国心

        2012.11.17 Saturday
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           「済衆院」(チェジュンウォン)は、韓国時代劇です。
           19世紀末の朝鮮を舞台に、主人公が最下層の身分(白丁(ペクチョン))から医師になり、独立軍に身をささげる物語です。ロマンスと歴史の錯綜を織り交ぜた韓国愛国心物語に仕上がっています。
           
           最下層の白丁とは、朝鮮半島では牛をさばくことなどを業とする被差別民です。
           日本でいえば被差別部落のような存在で、住む場所も決められていました。
           身分の高い者は、白丁など殺しても罪は問われないし、病気になれば死ね!と言われるような非人間的な扱いをされました。
           
           こういう存在をゴールデンの枠でドラマ・時代劇で取り上げるというのは、日本では考えられない斬新さです。取り上げられているタブーとされていることまで、テレビドラマにしてしまうところが、現在の韓国の革新性を表現していると思います。
           
           「朱蒙」(チュモン)という高句麗建設の立役者を描いたドラマは50%を超える視聴率を記録し、80回を超える作品となりました。そのヒロイン役として出ているハン・ヘジンを、この「済衆院」でもヒロインとしています。
           日本でいえば、松嶋奈々子を、被差別部落問題を扱うドラマに出演させているようなものですから、韓国ドラマの凄さがわかります。

           しかし、このドラマの凄さは、それだけにとどまりません。
           それは、当時の朝鮮の階級差別と偏見、政治腐敗、日本の朝鮮に対する差別支配、清とロシアと日本とアメリカのせめぎあ

          いの中で、複雑な矛盾がすべての歴史発展を描いている点が他のドラマにはありません。
           その複雑さゆえに、視聴率は低かったようです。その点は、日本の「平清盛」と同じです。
           
           
           1.最下層の白丁ソグンゲ(後の医師ファン・ジョン)と最高の両班ペク・ドヤンの争い
           2.日本公使と朝鮮国王高宗や閔妃との争い
           3.ペク・ドヤンの朝鮮保守層とのたたかい
           4.ソグンゲと白丁内の掟とのたたかい
           5.ファン・ジョンやペク・ドヤンのワタナベ日本医師とのたたかい
           6.ソンナン(宮廷通訳官・中間層の娘)の差別意識との葛藤
           7.通訳官(ソンナンの父)への日本帝国主義の拷問
           8.ソグンゲがファン・ジョンになってからの偏見とのたたかい
           9.アレン医師をはじめとした西洋医学に対する偏見とのたたかい
           10.医学生のファン・ジョンの両班同期生との争い
           あらゆるところに、矛盾とそれを取り除くためのたたかいが描かれています。
           
           そして、主人公がソグンゲの時代に追手となって暗殺しようとしたチョン補校(ポギョ)が、朝鮮独立軍に加わり、ファン・ジョンを独立軍の首領に祭り上げようとするところは、敵にも関わらず命の恩人としてファン・ジョンへの感謝とともに、愛国心での大同団結でもあったのです。
           「反日」を反映しているとのブログも多いようですが、ここに描かれている朝鮮支配よりもひどかったのが現実でしょう。
           ただ、高宗と閔妃については歴史とは大分違うなかむつまじい夫婦に描かれていましたし、閔妃の腐敗ぶりも皆無ですので、このドラマはかなり朝鮮にひいき目になっている感は否めません。
           しかし、閔妃殺害で、当時は愛国心に火が付き、朝鮮独立軍が死をも恐れず反日活動をゲリラ的に展開した感情はよくわかります。これがわからないと、歴史認識は間違うでしょう。
           
            

           「ソンナン様」を演じるハン・ヘジンが瞳を左右に揺らせて心の動揺と不安を演じる哀感もこのドラマの見所です。ハン・ヘジンの演技の妙味が面目躍如しています。
           白丁から平民になったマダンゲ(主人公ファンジョンの父)が、自分が牛肉を納めていた食堂でクッパを初めて食べていただけなのに、白丁に対する偏見と謀略で殴り殺されるシーンなんかは涙が止まりませんよ。

           だから、韓国時代劇には目が離せません。



            ↓このブログ最高です。面白くて涙が出ます。お友達になりましょう。
           http://tamuditakko.blog57.fc2.com/blog-entry-287.html


          超約 韓流時代劇|-|-|-|-|by ネコスキイ

          超約 韓流時代劇 1 「チャングムの誓い」

          2012.10.13 Saturday
          0

             日本の時代劇は少し下火の感が否めないですが、韓国では歴史認識問題を含めて、かなり盛んなようです。
             自国の歴史を知ることは誇りを持つことにつながります。それがたとえフィクションであっても。
             韓国の時代劇は史実とフィクションをないまぜにしながら、支配階級と被支配者のそれぞれ人間性の相克と複雑を描いています。
             この際、この大きな流れを科学の目で見ることで、領土問題や歴史認識問題を深めたいと思います。
             (参照文献 三才ブックス『韓流時代劇 ベストセレクト100』、東京書籍『カラー版 日本史図説 3訂版』)

             
             はじめの一歩は、「チャングムの誓い」。日本での現代劇「冬のソナタ」の大ヒット後、韓流ドラマ流行の後押しをしました。これらの、時代劇一般に通じるキーワードは、「女性」、「逆境」、「抵抗」、「陰謀」です。
             それにピタッと当てはまるのは「チャングム」なのです。当たるのが当たり前だ、のようなドラマです。
            (ただし、2008年TUTAYAの調べで、「好きな韓流時代劇」第一位は、高句麗を建国した英雄を描いた『朱蒙』(チュモン)です。)
             
             
             チャングムの活躍しただろう時代は16世紀はじめ。
             朝鮮半島では、1506年、李氏朝鮮の暴君・燕山君(ヨンサンクン)がクーデターで追放され、朝鮮王朝第11第国王に中宗(チュンジョン)が即位しました。
             日本は室町時代で、諸国に北条早雲、毛利元就など群雄が割拠し、下剋上が大流行。各地では農民たちの一揆が盛んでした。同年、加賀の一向一揆がたたかわれました。そんなことで、日本という概念がなかった時代、いわば内部の闘争に忙しく、外国に向けたエネルギーが少なかった時代でした。
             この時代、世界では1517年にドイツのルターの宗教改革が始まり、1522年、ポルトガルのマゼラン一行が世界一周し、1543年にはポーランドのコペルニクスが地動説を唱えた時代でした。
             つまり、朝鮮は古代的な体制であり、日本は完成した封建制への模索中であり、ヨーロッパでは宗教的封建制のくびきを脱しようとした時代だったのです。

             こんな荒波の世界史に生まれたチャングムは、まさに男尊女卑が当然、身分が制度として存在し、反乱者は死刑の時代でした。
             チャングムの父(武官)と母(宮廷料理人)は、燕山君を失脚させたクーデターに巻き込まれ命を落としました。孤児となったチャングムはカン・ドック(宮廷への酒配達人)に拾われ、宮中に見習いで出入りします。
             その流れで幼いながらも水刺間(スラッカン、王や王妃の食事を作る厨房)の女官として雇われるようになったのです。
             この場所で、チャングムは時には暴力的で厳しい教育を受けつつも、持ち前の粘りと精神で、次第に料理のみごとな才能を発揮しました。それは母のDNAがそうさせているかのような運命でした。
             しかし、チャングムの教育係のハン尚宮(ハンサングン)は、同じく教育係であるライバルのチェ尚宮(チェサングン)、それにつながるクミョンらと対立。ねたみや恨みでチャングムとハンサングンは、たびたび干されるような窮地に陥りますが、耐えに耐えながら料理の修業を続けます。
             それでも、ついに、チェサングンの策略で、チャングムとハンサングンは無実にもかかわらず済州島(チェジュド)に流刑、ハンサングンはこの島に向かう途中で亡くなってしまいます。チャングムは後ろ盾を失い、罪を着せられたまま、チェジュドで奴婢(ノビ、奴隷)となって生きていくことを強制されてしまいました。
             打ちひしがれたチャングムはそれでも、復讐を誓い、いつかは宮廷に戻ることを虎視眈眈と狙います。
             そんなある日、同じようにノビとしてチェジュドに連れてこられたチャンドクという女医と運命的な出会いをします。
             宮中に戻るなら女医となって帰る決意をし、チャンドクに医学を学ぶようになります。
             その努力がかなって、女医として認められ宮中へ帰還し、実は母の政敵だったチェサングンへの復讐をどけます。そうです、チェジュドへの流刑は母と政敵とのたたかいの延長だったのです。
             青天の霹靂、突然、国王が名高い女医となったチャングムを自分の主治医にすると言い出しました。
             これは当時としては、とんでもない任用で、女性が男性の体をさわるとは道徳的にも禁止され、ましてや身分の低い女医ごときが国王の体に触れるなど許されないことでした。

             暴君を排除した国王ではありましたが、古代的専制を感じさせる内容ではあります。しかし、ここは歴史の中で人間を考えるならば、女医を登用するという先例に縛られない革新的な国王として認識するのが、正しいでしょう。
             チャングムはクーデタの中で権力と結びついたハンサングンの政敵(母)の子で、排除すべき対象として謀略をめぐらされたのです。それは、チャングムが自分の地位を脅かされるほどの実力と才能をもっていたからです。
             チェジュドでの奴隷という身分にまで貶められたにも関わらず、最高権力者に信頼される女医になるという落差が、大きなスペクタクルになっています。
             キーワードでまとめるならば、「女性」が「逆境」にもめげず「抵抗」し、「陰謀」をはねのけて大成したドラマです。
              史実としての朝鮮南部での日本人の反乱も盛り込まれますが、朝鮮から見れば対馬から日本人居留地を利用しての侵略に見えます(日本人のちょんまげがちょっと変でした)。
             いずれにせよ、主人公のチャングムはどこまで落ちても応援したくなる人物として描かれています。
             私たちも、そういう人間になりたいと、どこか胸の奥に思っている深淵をえぐられます。

             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

             さて、次回の「超約 韓流時代劇」シリーズは、西洋医学を志し、日本による植民地支配からの解放をめざす独立軍への支援もした実在の医者のストーリー『済衆院』(チェジュンウォン)にしようかと思います。
             日本でも、日本の侵略戦争中止と植民地解放を命がけで訴えた日本人もいます。朝鮮でも、あの植民地時代にあって朝鮮独立軍を支えた人たちもいたことをドラマにしている、韓国テレビの努力に最高の賛辞を贈りたいと思います。実は、日本のテレビ局はアカ・タブーがあるのですよ。

             さらに、今後の「超約」の展開について、以下のような、歴史科学の目で見ると興味深いドラマを紹介しようかと考えています。日本ではあまり知られていませんので。
             (順不動)
             
             「ホ・ギュン」 身分制度の厳しい朝鮮社会において万民平等の新しい社会を提唱した文人政治家
             「李舜臣」 秀吉の朝鮮出兵から朝鮮を救った将軍の物語
             「牧民心書」 弱者の救済に身をささげた学者の物語
              「商道」 商人の低かった地位を向上させた男の一代記
             「洪吉童」 朝鮮屈指の義賊を描いた
              「林巨正」 国家にたたかいを挑んだ義賊の物語
              「張吉山」 民衆の窮状を救うために立ち上がった人物
              「済衆院」 植民地解放の朝鮮独立軍を支援した医師物語(上に説明済み)
             「名家の娘 ソヒ」 韓国版「風と共に去りぬ」といわれ、第二次世界大戦の激動を生き抜いた女性
             「雲を抜けた月のように」 秀吉軍の脅威の下、万人が平等な世界を作るための組織をつくる物語

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            人権宣言集 (岩波文庫 白 1-1) (JUGEMレビュー »)

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            ジュエルズ(スペシャル・エディション)
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            クイーン
            宇宙戦艦ヤマトを描いた松本零士氏絶賛の「ボヘミアン・ラプソディ」は、今も力をもつ。
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