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図書館資料論 ノート2

2010.10.31 Sunday
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    JUGEMテーマ:学問・学校

     図書館資料論
    「図書館コレクションプロセスの意義」ノート

     図書館コレクションの概念は、「図書が中心である印象の強い『蔵書』に代わって、より多様な資料の集積」(注1)と言われるが、インターネットの発展や電子資料、電子書籍(注2)が飛躍的に増加している現在、「図書館のコレクションの概念をどう考えていくべきかは、これからの重要な課題」(注3)となる。
    このような図書館コレクションを構築する際のプロセスを以下の4つにわけて、特徴と意義を考える。

    (機忙駑疏択のプロセス
    (1) 資料選択の基準
    この基準は図書館の「資料収集方針」の中に明示して利用者に分かるようにすることが、図書館の役割や図書館の自由を保障するうえで重要な意義をもつ(注4)。
    (a) 資料収集方針
    その根拠として最も基本的な枠組みを与えるのが図書館の「目的」である。図書館法第2条(注5)が理念的な目的ではあるが、抽象的であるため、より具体的な運営方針を各図書館によって規定されている。そのなかで資料収集にあたる部分が資料収集方針に該当する。
    (b) 利用者とその要求
      「図書館の自由に関する宣言」では、「国民のあらゆる資料要求にこたえなければなけらない」としている。これは利用者の要求を基準とした「要求論」と呼ばれる選択基準である。一方で、資料それ自体の価値を重視し資料選択するのが「価値論」と呼ばれる。
     きわめて低俗と“判断”される場合にいくつかの制約を受ける場合(「制限的要求論」)もあるが、研究という立場にたてば有益になる場合もあるため、選択には個々の状況を十分考慮する。
     また、利用者の要求は顕示的な要求と潜在的要求があるため、日頃から利用者との接触、情報、統計調査、館種、地域特性などにも細心の注意を組織的にはらう必要がある。
    (c) 資料自体の特徴や価値
     大学図書館においては「価値論」からの資料選択が多い。その評価基準の典型は、ー臑蝓θ楼蓮↓著者の権威、C作の質、せ駑舛侶疎崚特徴、テ票圓砲箸辰討硫礎諭淵悒ぅ鵐此砲5点である。 
    (d) 資料購入のための予算の制限
       出版量の増大、媒体の多様化、雑誌購読料の値上がりなど資料購入予算が圧迫され、
    公共図書館全体では、この10年で、資料予算が1999年の348億円から2009年の289
    億円に59億円減少している(注6)。こうした予算状況において前年度実績を考慮しつ
    つ、資料予算の消化状況を比較しつつ管理、収集することを目指す。
     
    (2)資料選択の体制・組織
       資料収集方針に基づき、効果的効率的な資料選択を行うため、その体制・組織が重要である。
     
    (3)資料選択のための情報源
     資料選択の対象となる出版や販売に関する情報をえるために、様々な情報源をもちいる。
    情報源は、ヽ峠佝納劼らの出版案内、◆愡┿鐃景港蹐たろぐ』、『DVD&ビデオソフト総カタログ』、ぁ慇こCD-ROM総覧』、ァ愼本古書通信』、Α慇府刊行物月報』などがある。

    (供忙駑措集のプロセス
     (1)購入   書誌事項を指定して発注する方法、見計らいによる方法がある。
    (2)寄贈   /渊餞曚ら寄贈を依頼する場合・・・非売品の政府刊行物・学術資料
    働きかけがなく寄贈される場合・・・官公庁、団体、企業等から
    (3)交換   典型例は大学間の「紀要」の交換。国際交換なら文化交流となる。
    (4)寄託   団体・機関・組織が資料の利用を容易にするため、別の図書館に預ける  
    ことを言い、通常、所有権は移転しない。
    (5)会員加入 機関誌・論文誌・年報類など図書館が会員として加入して入手する。
    (6)納本制度 国立国会図書館法で規定され網羅的に収集。地方自治体や大学でも納本
    者との取り決めで納本できる。

    (掘忙駑舛涼濱僉κ欖匹離廛蹈札
    (1) 装備
    装備をすることで、利用者が資料を利用しやすくなり、図書館員にとってはその管理が容易になる。
    (2) 補修・製本
    資料の利用が進めば次第に傷んでくる。メモや落書きの除去、ページの切り取りや破損に対する対処で修復する。また、特に雑誌の場合は傷みやすいので、ハードカバーの表紙をつけて合冊形態とする。長期の利用に供する、これが製本である。
    (3) 排架
    排架とは、資料を書架の指定の場所に配置することであり、利用者が特定資料の位置をつきとめやすくなる意義がある。
     開架式書架と閉架式書架
    開架式は利用者からすれば資料のブラウジングができて、未だ意識にのぼらない潜在的な資料要求にも対応できる(注7)。
     固定式書架と密集書架
    書架が固定されているのは一般的でブラウジングしやすい。密集式は収容能力が飛躍的に上がり効率的ではあるが、書架移動の操作方法を覚えたり、ブラウジングがしにくい。
    (4) 保存
    図書館は、将来の利用者にまで資料提供を保証する責務があるため、保存方法を考慮する必要がある。
    (a) 紙媒体の保存対策
           とくに、_硬戞湿度管理、⊇餮砲乏圧い鯑れない、D昭容光が当たらない
    ようにすること、そ餡佑忙駑舛魏疆戮傍佑畊まない、など必要である。
    さらに、災害対策として、)媛弌消化設備は必須であり、⊃絣欧慮鎚姪対策
    や、C録未任僚餡佑療湘櫃砲眷枸犬垢詆要もある。
    (b) 資料の取り扱い方
    資料の扱い方をマニュアル化し知識と意識を徹底して、利用者に対して指導でき
    るようにしなければならない。
    (c)デジタル媒体の保存対策
       .僖奪院璽厳呂蓮強い磁気が資料劣化・データ破壊の原因になるので注意する。
    技術改良で陳腐化する可能性が高いので、読み取り装置とセットに保存する。
       ▲優奪肇錙璽系は、その保存場所としてインハウス型とリモート型がある。イン
    ハウス型は、自らのコンピュータ上にデータを置いて保存するが、保存が各作成
    者に委ねられ体系的な保存が難しい。リモート型は、データ作成会社と契約して
    保存業務は会社に任される。 
    (5) 書庫管理
    (a) シェルフ・リーディング
    これは、資料を排架順に並んでいることを確認し、正しい順に整理する業務であり、資料探索を容易にし、利用者の満足度も向上する。
    (b) 蔵書点検
    これは、すべての蔵書の在庫を点検する、いわゆる棚卸し作業である。その目的は、何らかの理由で行方不明になった蔵書を点検し、欠本補充をし、蔵書検索におけるデータの正確性をたかめ、サービス範囲を保障する作業である。利用可能性(アクセシビリティー)を高める重要な作業である。
         現在、バーコードリーダーやICチップの導入で労力を減らす可能性のある技術
    も登場し、効率化の観点から検討されるべきである(注8)。

    (検縫灰譽ションの評価・再編のプロセス
    (1) コレクションの評価
    (a) 評価の目的と種類
    目的は、〇駑疏択のプロセスや基準が適切であるか、不要な資料を選別し更新するという二つある。その基準は国際図書館連盟のガイドライン、「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」などがある。
    (b) 評価の手順
    『日本の図書館』統計編で公表されている主要なデータが、評価の指標になる。公共図書館の場合、奉仕人口、登録者数、貸出冊数、資料費などである。
    実際には、貸出密度、蔵書回転率などと合わせて評価される。利用可能性の調査や利用者からのアンケートで満足度を測ることもできる。
    (c)評価手法の標準化と新しい動き
       図書館統計、図書館パフォーマンス指標で、図書館規格に取り入れられている。
    これらは、行政評価における顧客満足度を、図書館コレクション評価に導入したも
    ので、よりいっそう利用者に奉仕できる指針ともなる。
    (2) コレクション更新
    (a) ウィーディングは、「除架」とも呼ばれ、コレクションから移管または廃棄するこ
    とである。コレクションの新鮮さを保持するために不可欠である。
    (b) 複製することで、劣化の激しい資料は保存できる。
    (c) メディア変換とは、あらたな媒体に保存することで、スペースの問題で廃棄・除架すべきものを保存できる可能性もある。


    (注1)『図書館情報学用語辞典 第3版』丸善
    (注2)『電子書籍の衝撃』佐々木俊尚著、ディスカヴァー携書048、2010年 参照
         『時事通信』2010年6月17日20時1分配信記事
       「全82巻の大型全集が約700グラムに―。講談社は25日から刊行を始める電子書
    籍版「小田実全集」をアップルの情報端末「iPad(アイパッド)」に対応させることを17日までに決めた。専用の閲覧ソフトを今秋公開する。iPad対応の作家個人全集は国内初」と報じている。ちなみにこれは、全巻で7万8750円。オンデマンド版の紙の本は全巻31万7415円に比して3分の1の値段になり、図書館コレクション構築計画が問われていると思われる。 
    (注3)『改訂 図書館資料論』平野英俊ほか編著、樹村房、2009年、p142
    (注4)「図書館の自由に関する宣言」日 本 図 書 館 協 会 1954採 択 1979 改 訂
       第1-3「図書館は、成文化された収集方針を公開して、広く社会からの批判と協力を
    得るようにつとめる」
    (注5)図書館法第2条「この法律において「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料
    を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レク
    リエーション等に資することを目的とする施設で、地方公共団体、日本赤十字社又
    は一般社団法人若しくは一般財団法人が設置するもの(学校に附属する図書館又は
    図書室を除く。)をいう。」
    (注6)『日本の図書館 ―統計と名簿―』1999年、2009年より
    (注7)『利用者志向のレファレンスサービス』齋藤泰則著、勉誠出版、2009年、p33
    (注8)『千代田図書館とはなにか』柳与志夫著、ポット出版、2010年、p19-p42
       『町立図書館をつくった!』白根一夫編著、青弓社、2008年、p164 

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