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図書館サービス論 ノート2

2010.10.31 Sunday
0
    評価:
    高山 正也,池内 淳,斎藤 泰則,阪田 蓉子,宮部 頼子
    樹村房
    ¥ 1,995
    (2005-03)

    JUGEMテーマ:学問・学校

     図書館サービス論   
     
    地域における図書館の役割
    ―――「課題解決型」支援サービスを中心に

     地域との関連では、「地方分権・民主主義社会を支える自立支援こそ図書館のミッション」(注1)と言えるほど公共図書館を重視する立場がある。
     以下、この視点で、各地の実践レポートを踏まえ、1.地域「課題解決」にどう向かったか、2.どういう方法でそれを成し得たのかについてまとめ、ある種の法則性を見つけてみたい。

    1. 地域「課題解決」にどう向かったか、
     「これからの図書館の在り方検討協力者会議」が2006年3月にまとめた報告書『これからの図書館像:地域を支える情報拠点をめざして』(以下「報告書」注2)が、大きな流れを考える上で参考になる。
     「報告書」では、「従来行われてきたサービスを続けつつ、それと同時に、これまで不十分であったレファレンスサービス、課題解決・調査研究の援助、時事情報の提供、専門的資料の提供、勤労者へのサービス等を充実させるべきである。これらを実現するためには、図書館の経営方針や、資源配分の優先順位と比率の見直しが必要である」と提案された。
     また、『地域を支える公共図書館』(注3)によると、「報告書」に提言された、言わば未踏のサービス領域に努力し模索している現状が見て取れる。一端を列挙すると、
     滋賀県愛知川図書館は、貸出利用冊数制限を設けていない。多様な資料要求にこたえることを基本姿勢とし図書館ネットワークでも対応する。「町の情報庫」となることを目標に、集落の自治会だより、町内のミニコミ紙、新聞の折り込み広告なども収集している。
     三鷹市立三鷹駅前市図書館は、「SOHO CITY みたか構想」政策にそって資料をコレクションしている。
     東京都立中央図書館は、Eメールによる「ビジネスレファレンス通信講座」を開催、法テラス発足に対応して法律情報サービス、健康・医療情報サービスを実施している。
     鳥取県立図書館も、レファレンス回数の3分1〜4分1が健康・医学関係を占めていたことを反映して、健康情報サービスを実施し、「闘病記文庫」を設け、健康に関するパンフレット棚を設置している。
     これらの実践を簡単に言うと、どんな潜在要求があるかをあらゆる情報・指標でくみ上げる努力があるということである。
    これらの一端を見ても、高齢化社会、高度情報化社会になるにしたがって、地域では、図書館の役割はたかまり、電子化されない「生の情報」への欲求もたかまっている。

    2. どういう方法で成し得たのか
    この潜在要求をくまなく汲み上げれば、地域にマッチした意義ある図書館サービスが推進できる。その方法として、以下の3点がまとめられる。
    (1)地域情報を素早くキャッチし体系だてる
      伊奈町立図書館では、とりわけ平成17年8月に開業した鉄道「つくばエクスプレス(以下TX)」関連資料を、特に意識して収集した。それは、駅の新設により町が大きな歴史的転換点を迎えると予測され、町村合併が町の重要課題となることが想定されたからである。TXの開業が近づく中、鉄道会社、自治体、不動産会社などから、「情報がバラバラに発信されていたため、図書館こそが、住民に様々な視点から公平な情報提供を行える唯一の場所になり得る」(注4)と考え資料をさらに重点的に提供するようにした。その結果、利用者からも「こんな便利なものを図書館で作っていたのか」との反応があり、新聞記事以外のレファレンス依頼の増加にもつながっているようだ。
    滋賀県愛知川図書館もこの方向である。

    (2)ビジネス支援に着目する
     静岡市立御幸町図書館は静岡市中心部にある。ビジネス支援については、「あらゆる分野がビジネスに関わりを持っている」との考え、他の分野の書架から切り離されたコーナーは存在しない。最近の相談内容としては「地元のバス会社の利用客数・バス保有台数等を知りたい」「小売店の業務マニュアルを作る参考になるものがほしい」「静岡県・市の下駄の生産量を知りたい」(注5)などがある。ここでは、産学交流センターとの連携が密(上下階にある関係)なので、ビジネス支援ができ易い環境を存分に活用している。
    三鷹市立三鷹駅前市図書館や東京都立中央図書館の事例は、都民の要求自体が網羅的なので簡単に言えないが、ビジネス支援を重点に置いている。

    (3)行政支援と結びつける
     鳥取県庁内に県政の『知の拠点』として図書室を設置した(平成17年)。地域の自立度を高めるため、職員自らが主体的に施策の企画立案を行い、職員の業務達成に有効な情報の収集・活用を支援・促進することを目的の一つとした。
     これは、積極的に主体的に地方分権をすすめ地域に貢献するための独自の努力として実った。


    (注1)『これからの図書館像:地域を支える情報拠点をめざして』2006年3月
    (注2)同上
    (注3)『地域を支える公共図書館』丸山修企画・編集、財団法人高度映像情報センター
    (AVCC)、2007年
    片山鳥取県知事(当時)が、「鳥取モデル」と呼ばれるほどの実践、県立図書館の図書館政策を作り出した。
    (注4)『これからの図書館像:地域を支える情報拠点をめざして』p19
    (注5)同上、p14

    図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

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