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政治経済学再入門 44 社会的総資本

2010.12.06 Monday
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    4 社会的総資本の再生産と流通

     

     個々の資本の循環は、互いに切り離せないように絡み合っています。たとえば、紡績資本が循環をくりかえすためには、紡績機械や綿花の資本の循環が前提されているし、それはまた、織物の資本の循環となっているというような具合です。このように互いに関連し、依存し合っているすべての個々の資本の総体を社会的総資本といいます。

     ところで、社会的総資本の循環の過程がくりかえされるためには、その過程の内部で無数の個々の資本のあいだにどのような関係がなければならないかということが問題になります。すなわち、社会的総資本の再生産と流通が滞りなく行われるためには、社会的総資本の生産物すなわち社会的総生産物がすべて貨幣に代わることができ、さらにその貨幣が、社会的総資本が生産をつづけるのにいる生産手段、および労働者と資本家が生活をつづけるのに必要な消費手段(または生活手段)にかわることができなければなりません。このことは、すでに述べたように、資本主義に固有な競争と生産の無政府性のもとでは市場をとおして自然発生的に行われますが、そのばあいに、社会全体からみれば、どのような条件が必要とされるかが、問題になるのです。

     今、問題を込み入らせないで純粋に考察するために、社会は労働者と資本家だけからなりたっており、不変資本は一年間に全部消費され、その価値はすべてその年の生産物に移されると仮定しましょう。

     そうすれば、年々の社会的総生産物(W’)は、価値の点からみれば、不変資本、可変資本と剰余価値に、すなわちc+v+mにわかれます。現物形態(使用価値)の点からみれば、生産手段と消費手段にわかれます。

     

      価値の点からみれば         社会的総生産物        使用価値の点からみれば    

    c + v + m                W’                機 棔´

    不変資本、可変資本、剰余価値                      生産手段、消費手段

     

     

     

     

     

     

     


     これに応じて、社会的総生産物は、生産手段の生産部門=第一部門(機砲半暖饉蠱覆寮源塞門=第二部門(供砲砲錣れます。

     このようにみるならば、競争と生産の無政府性のもとで、社会的総資本の再生産と流通はどのようにして行われるかという問題は、結局、社会的総生産物のそれぞれの部分が価値と現物形態との点で、たがいにどのように埋め合わされるのかを明らかにすることなのです。レーニンは、これを社会的総生産物の実現の問題と呼んでいます。

     

    1)社会的総資本の単純再生産の場合

      剰余価値がすべての資本家によって個人的に消費される場合の「実現」の条件をみて見ましょう。

      表 にしめすように、価値の単位はたとえば1兆円として、第一部門の不変資本は4000、可変資本は1000、剰余価値は1000とします。第二部門の不変資本は2000、可変資本は500、剰余価値は500とします。そうすれば、まず第一部門の4000cは、第一部門の生産手段の更新に当てられるのですから、この部門の内部の個々の資本家のあいだでたがいに埋め合わされます。つぎに第二部門の500v500mは、第二部門の労働者と資本家の消費手段に当てられるのですから、やはりこの部門の内部で埋め合わされます。ところが、第一部門の1000v1000mは、現物形態では生産手段ですから、第局門の生産手段の更新に当てられ、また第二部門の2000cは、現物形態では消費手段ですから、第一部門の労働者と資本家の消費にあてられなくてはなりません。このため、第一部門の1000v1000mが、第二部門の2000cと交換されかければならず、この両者の価値が大きさが等しいこと、すなわち、機v+m=cが「実現」の条件です。(市場で商品が混乱なく売れるということです。)

    1000v  +  1000m

                     機4000c  +                                                            =  6000  

      W’  =  

    2000c

                                                              +   500v   +   500v      =  3000

     

    v+m=c

     

     

     


    2)社会的総資本の拡大再生産の場合

      剰余価値の一部分が蓄積される場合には、どのような条件が必要でしょうか。社会的総資本の拡大再生産においては、その基礎である単純再生産が行われたうえに、なお剰余価値のうちに蓄積される部分が追加の生産手段と追加の労働力に支出されなくてはなりません。したがって表 に示すように、第一部門の一年間の生産物は、単純再生産に必要な生産手段の料よりも大きくて、いくらかの追加分をあらかじめ含んでいることが必要です。いいかえれば、第一部門の1000v1000mが第二部門の1500cよりもその価値が大きくなくてはなりません。すなわち、機v+m)>c が、拡大再生産の実現の条件です。

    1000v  +  1000m

                     機4000c  +                                                            =  6000  

      W’  =  

    1500c

                                                              +   750v   +   750v   =  3000

     

    v+m)>c

     

     

     


     ところで、資本主義に固有な競争と生産の無政府性のもとでは、このような社会的総資本の再生産の条件は、実際には満たされないのであって、したがって社会的総生産物の実現の過程は、理想的に滞りなくすすむのではなく、絶え間ない動揺と困難のうちに行われているのです。

     しかも、資本の拡大再生産の過程においては、実は不変資本部分は可変資本部分よりいっそう急送に大きくなり、資本の有機的構成がたかまります。したがって、社会的総資本の再生産過程では、生産手段の生産部門は消費手段の生産部門よりもいっそう急速に発展します。このような社会における生産手段の生産の優位性という点に、もともと消費を省みない「生産のための生産」または「蓄積のための蓄積」という資本主義の拡大再生産の特徴がしめされており、結局、「社会的総資本の、理想的に円滑な、そして均衡のとれた再生産と流通がおこなわれているばあいさえ、生産の増大と消費の限られた限界とのあいだの矛盾は不可避である、という結論が出てくる」 [1]のです。



    [1] レーニン「ふたたび実現理論の問題によせて」

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