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政治経済学再入門 45 利潤と利潤率

2010.12.06 Monday
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    11章 平均利潤率と生産価格の形成

     

    1 利潤と利潤率

     

     これまでで、資本の生産過程でいかにして剰余価値が生産され増大されるか、また資本の流通過程をとおしてそれがいかにして維持され再生産されるか、があきらかになりました。そこで、これからは、その剰余価値がどのような現象形態[1]をとってあらわれるか、またそれがどのようにして資本主義の搾取者たち(資本家と地主)のあいだに分配されるか、を考察することにしましょう。

     

     剰余価値は、可変資本で買われた労働力が使用される過程でのみつくりだされます。しかし、資本家は、商品を生産して剰余価値を手に入れるためには、可変資本ばかりではなく、不変資本をも支出しなくてはなりません。したがって、資本家にとっての商品の生産費用は、不変資本と可変資本とへの支出すなわち、c+v です。これを、費用価格といいます。資本家の立場からみれば、剰余価値は、費用価格をこえる商品の価値(販売価格)の超過分としてとらえられます。したがって、資本家は、自分のもうけをはかる場合、この超過分を支出した全資本と比べてみます。

     このように支出された全資本に対して捉えられた剰余価値を、利潤といいます。不変資本と可変資本が費用価格という形をとると、互いの本質的な区別が消し去られて、ともに商品の価値(販売価格)からまず補填されるべき「費用」として現れるのにたいして、剰余価値が利潤という形をとると、あたかも支出された全資本(費用価格)が生み出した果実であるかのように現れるのです。

     最近の言い方では、「費用対効果」などともいいますが、この場合の「効果」は利潤より広い「影響」を含んでいます。

     すなわち、ちょうど労働力の価値が賃金という形をとると、労働者の全労働に対して支払われているかのような外見をとって搾取関係を覆い隠したように、剰余価値が利潤としいう形をとると、全資本がそれをうみだしたものであるかのような外見をとって、搾取関係を覆い隠すのです。それゆえ、利潤を「剰余価値の転化した形態」または「神秘化された形態」 [2]と呼んでいます。

     つぎに、支出された全資本(費用価格)にたいする剰余価値(利潤)の比率、すなわち、m/(c+v) を、利潤率(p)といいます。

     

                      

                   ・・・・・・・

     

     

     利潤率は、剰余価値率(p’)より必ず小さく(数式より明らか)、したがって搾取を覆い隠すとともに、搾取の度合いをすくなくしか反映しません。

     ところで、資本家は、利潤率にこそもっとも直接に関心を寄せているのであって、いつもまず自分の利潤率を高めようとつとめます。それでは、利潤率の大きさは、基本的には何によって決まるのでしょうか。

     

    1)第1に、剰余価値率の大きさによって決まります。他の条件が同じならば、剰余価値率が大きくなるほど利潤率は大きくなります。したがって、資本家は、すでに述べた方法によって剰余価値率をたかめようとつとめます。

      ー阿如⊂衢床礎洋┐髻p’= m/v  として、変形すると、m=p’v となり、資本の有機的構成比c/v=c’ だったので、

     


                  

                                                      ・・・・・・

     

     

    2)第2に、それは資本の有機的構成の高さによってきまります。剰余価値率が同じならば、資本の有機的構成が低いほど利潤率は高いのです。というのは、おなじ大きさの資本でも、不変資本部分が小さく、可変資本部分が大きいほど、より多くの剰余価値を生産するからです。したがって、資本家は、とりわけ不変資本を使用するうえでの節約につとめることになります。すなわち、資本家は残業・昼夜交代制などによる工場設備・機械・コンピュータの効率的な利用、および大量生産・協業・技術の改良などによる工場設備・機械・コンピュータ・現料費等の節約につとめます(これは社会にとって良い場合と労働条件にとって悪い場合があります)。それとともに、資本家は、他方では、保安や労働条件の工場のための支出を出し惜しみ、労働者をしばしばせまい作業場所、劣悪な通風・室温、休息施設・安全装置の不備といった状態に追い込みます。

      はては、JR西日本事故やトヨタ・リコール問題のように、公共の安全を守る最新の装置を設置しないなどの状態(公共安全欠如)、△泙拭排ガス・排水処理器を設置しないなど環境汚染(人間環境・地球環境)までおこし地球環境にまで影響することがわかつています。

      ⊆阿茲蝓c’ が低いほどp が大きくなることがいえるからです。

     

     

    3)第3に、それは資本の回転の速さによっても左右されます。資本の回転が速いほど、年間利潤率がたかまります。したがって、資本家は、すでに述べた諸方法によって資本の回転をはやめようとします。すなわち、(ア)労働日をのばすことによって、(イ)労働の生産性をたかめることによって、(ウ)労働の強度をつよめることによって、(エ)新しい技術を応用して労働が中断されざるを得ない時間を短くすることによって、生産期間を縮めようとします。また、(オ)運輸・通信・商業組織などを改良することによって、流通期間を縮めようとします。この全体のやり方をすすめる一方法が、最近では、「コンピュータ生産様式」です。

      年間利潤率は、すなわち、1年間に生産された剰余価値(利潤)の支出した全資本(費用価格)にたいする比率のことです。剰余価値率と資本の有機的構成が同じならば、年間利潤率は、可変資本の回転速度に比例して、または回転期間に反比例して変動します。

      また、「3 固定資本と流動資本、年間剰余価値率」のところで、「たとえば、いま8時間労働日のもとで50日かかった仕事は、労働日を10時間に伸ばせば40日間ですみます」という説明を、50日×8時間=40日×10時間、これを一般化して、n1t1=n2t2として、回転速度を一製品あたりt1t2とすれば、「t1からt2に回転速度が上がった」ということにし、回転期間を一製品あたりn1n2とすれば、「n1からn2に回転期間が短縮された」ということにしました。

    ここから、n1t1=n2t2=nt=const(一定) なら、n1n2t1t2は、それぞれ反比例することがわかります。

    これをさらに一般化して、剰余価値率 p’= m/v   資本の有機的構成比  c/v=c’  から、

    したがって、年間の剰余価値率は、堯p’= nt×m/v = nt p’

    年間に投入する可変資本、不変資本が一定なら、年間利潤率は

     

    nは回転速度、tは回転期間)

     

     

     


      となり、剰余価値率と資本の有機的構成比が同じならば、年間利潤率は、可変資本の回転速度に比例して、または回転期間に反比例して変動するといえます。



    [1] 現象形態。事物の本質または本質的関係が、直接に目に見える形をとって外面にあらわれたもの。

    [2] 『資本論』

    政治経済学再入門|-|-|-|-|by ネコスキイ

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