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政治経済学再入門 47 サブ・プライムローン

2010.12.06 Monday
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    応用編 アメリカのサプ・プライムローン問題について

     利潤の高い部門への資本の移行は、基本的には以上の解明で十分です。サブ・プライムローン問題は、その証券化などで儲かるところへ大量の投機マネーを流入させ、安く買って高く売る作用を繰り返し、儲からないと見たら次の対象に移るという流れは、同じです。

     これは、ローン証券から、石油、食糧、金・・・など生産しないのに名目の価格を吊り上げて売り抜ける錬金術です。この売買差益 の一部は、再度、生産部門に流入して、平均利潤率の法則にしたがうことになるとしても、大半は、利潤のための利潤になります。

     しかし、この投機マネーは生産・流通過程または政治・モラルを破壊する極限まで働く可能性があるので、「我なきあとに洪水よきたれ」の典型になります。

    ◆「投機」の経済学的説明

     投機は、商品流通過程で生じるところの「実需給」を反映した価格変動に外部から吸着して売買差益を入手する活動である。・・差益のみを目的とする投機的需給=「仮需給」はそれ自体としては生産的意義をもたない寄生的なものです。

     不破哲三『マルクスは生きている』[1]では、マルクスの「恐慌論」を深めるなかで、「架空の需要」について説明しています。すなわち:

    古典派経済学では需要供給はつねにその均衡が破られますが、市場の調節作用で回復すると見ています。しかし、実体経済は、恐慌にいたる過程ではその市場の調節作用は働きません!ブレーキが利かないのです。マルクスが、この恐慌にいたる過程でのバネとして注目したのが、商品の売買に商人資本が入り込んでくることです。つまり、資本が商品を生産してお金を得るということは、銀行が一旦、商品を預かることでも成立するのです。現実の需要がなくても、商品を消費者の手に移す流通過程が完了する前に、次の生産に取りかかれるのです。これをマルクスは「流通過程の短縮」と呼んでいました。そして、現実の需要がしぼむ、つまり、購買力がなくなるとたちまち、「架空の需要」が瓦解して銀行は支払い不能に陥るのです。すると生産資本に打撃が跳ね返り、そこに働く労働者に襲いかかるのです。2008年末の「非正規切り」現象は、こういう資本運動の本質現象だったのです。さらに、マルクスは、恐慌を大規模化する上で、「信用制度」と「世界市場」が特別の役割を果たしていることに注目しています。

     

     以上であきらかなように、生産価格はマルクスのいうように「価値の転化形態」[2]なのであり、また資本主義の下では、さきにのべた価値法則の作用によるそれぞれの生産部門のあいだへの社会的労働と生産手段の配分は、平均利潤率と生産価格の形成をとおしておこなわれるのです。

     ところで、このように利潤率が平均化し、価値が生産価格という形をとると、資本主義の搾取はますます覆い隠され、利潤の真の源がますますわからなくされます。「個々の生産部門における利潤と剰余価値とが現実にちがう大きさであることは、いまや・・・利潤の真の性質と期限とをすっかり覆い隠してしまう。価値が生産価格に転化されれば、価値規定そのものの基礎は目に見えなくなる」[3]のです。

     平均利潤率の法則は、一方では、剰余価値の分配をめぐる資本のあいだのはげしい競争関係と矛盾をしめすとともに、他方では、資本家階級と労働者階級とのいっそうの発展し深刻になった敵対関係と矛盾をしめしています。

     すなわち、平均利潤率と生産価格の形成の過程で、資本家は労働者から搾取した剰余価値=利潤をまず全体としてひとまとめにし、個々の資本家は、普通はたがいの自由を通してそれぞれ自分の支出した資本額(c+v)に応じて分配しあうわけです。

     ですから、個々の資本家の利潤には他の生産部門の労働者が生産した剰余価値も混じっています。そうして、平均利潤率と平均利潤の増大は、資本全体による労働者全体の搾取の増大にかかっています。したがって、資本家は、自分の企業での搾取に関心をもっているだけではなく、他の企業での搾取にも関心をもっており、社会全体の規模で資本家階級による労働者階級の搾取が増大することを資本の本能によって望んでいるのです。

     このように、平均利潤率の法則は、資本による労働者の搾取はもともと単に個別的なものではなく階級的なものであること、すなわち、資本家階級全体が労働者階級全体を搾取していることを、いっそうあきらかにしています。ここに、資本の搾取とたたかうために、労働者階級が、所属する企業や部門のわくを超えて、階級として団結しなくてはならない経済的な根拠があります[4]

     

    [1] 『マルクスは生きている』

    [2] 『資本論』

    [3] 『資本論』

    [4] 三井三池闘争がその例です。

    政治経済学再入門|-|-|-|-|by ネコスキイ

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