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政治経済学再入門 48 利潤率の傾向的低下の法則

2010.12.06 Monday
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    3 利潤率の傾向的低下の法則Gesetz des tendenziellen Falls der Profitrate  p221

     

     すでに述べたように、おなじ生産部門の内部の資本どうしが、特別剰余価値(超過利潤)をもとめて、たがいにあらそって技術を改善する結果、その生産部門の資本の有機的構成(資本の有機的構成比c/v=c’ )はたかまります。

     このようなことは、すべての生産部門でおこります。したがって、資本の蓄積過程で、社会的総資本の有機的構成もたかまるのです。その結果、平均利潤率が低下する傾向が生まれます。固定資本が流動資本よりいっそう急速に増大するため資本全体の回転が遅くなることも、この傾向を強めます。再録。

    搾取過程で果たす役割よる区分

    ◆資本の構成◆

    回転のしかたによる区分

     

    不変資本

    工場の建物

    固定資本

    機械・設備

    原料・燃料・補助材料

    流動資本

    可変資本

    労働力を買う賃金

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     しかし、この傾向をもたらす資本の蓄積過程は、他方では同時に、その内部につぎのような利潤率の低下に反対に作用する諸要因

    Counteracting Factors)を伴っています。

    1)第一は、剰余価値率の増大です。

     資本の有機的構成がたかまることは労働の生産性の向上と結びついていますが、それは同時に労働日の延長、労働の強化をもたらし、剰余価値率をたかめ 、したがって、利潤率の低下に反対に作用します。

    2)第二は、不変資本の価値の低下です。

    労働の生産性が向上すると機械や現料などの生産手段の価値がさがり、それは資本の有機的構成がたかまる速度をおくらせて、利潤率の低下に反対に作用します。

    3)第三は、相対的過剰人口の増大です。

     資本の蓄積過程は、相対的過剰人口をうみだし増大させますが、それは、一方においては、賃金水準をきりさげるとともに、他方においては、低賃金の労働者を中小企業などの資本の有機的構成の低い生産部門におくりこんで、それらの部門を維持し利潤率の低下に反対に作用します。

     利潤率の低下の傾向に反対する諸要因のうちで「もっとも一般的なもの」として、マルクスは、『資本論』のなかでは、ここにあげた3つの他に、(4)「賃金の労働力の価値以下への切り下げ」、(5)「外国貿易」、(6)「株式資本の増加」の3つをあげています。

     さらに、現代的要因として、不破氏は、「マルクスと『資本論』」の中で(2巻、p130132)、(7)独占資本主義の成立、(8)帝国主義の地球支配、(9)国家独占資本主義の発展をあげています。

     

    以上のように、資本の蓄積過程は、利潤率の低下の傾向をもたらすとともに、他方では、その同じ過程の内部にこの傾向に反対に作用する諸要因を伴っています。しかし、これらの「反対に作用する諸要因」は、ほんらい、利潤率の低下の傾向を完全におしとどめるものではありません。

     なぜかとう理論的な理由は、次の点にあります。

     利潤率の低下の傾向に反対に作用する諸要因のうちで、もっとも基本的な要因は第1の「剰余価値率の増大」に帰着するものです。そこで、いまもっとも基本的な要因である「剰余価値率の増大」についてみると、それは、資本の蓄積につれてますます増大していく不変資本(=蓄積された労働)にくらべて可変資本(=生きた労働)が相対的にますます減少していくなかで、進行することにすぎず、したがって、それが利潤率の低下に反対に作用する範囲または基盤そのものがますます縮小していかざるをえないわけです。それゆえ、剰余価値率の増大が利潤率の低下をおしとどめる作用には、(いまの資本の搾取にたいする労働者の組織的抵抗などの現実的な諸事情を度外視しても)なお、ほんらい、こえることのできない一定の限度があるのです。

     20世紀の最初から、修正主義者たちがとなえてきているマルクスの利潤率の傾向的低下の法則は「論証不可能」で「不確定」なものであるという主張は、おもに、以上の点についての無理解に根ざしています。

     

    それゆえ、平均利潤率は、「反対に作用する諸要因」によって弱められたり中断されたりしながら、したがって、資本の有機的構成の高度化や回転速度の緩慢化に比例してではありませんが、長期的に見れば、しだいに低下していくのです。

     そこで、これを利潤率の傾向的低下の法則(The Law of the Tendential Fall in the Rate of Profit 『資本論』第3部第3篇)といいます。

     ところで、利潤率の低下は、けっして(絶対的)利潤量の減少を意味しません。それどころか、平均利潤率の低下の傾向は、実は、社会的総資本が取得する利潤の総量の増大とたがいに結び合わさっているのです。

     なぜならば、利潤率の低下の傾向をもたらす資本の蓄積過程が、

     ‖莪譴望衢床礎洋┐鯀大させるからであり、

     第二に、社会的総資本に使用される労働者の数を増大させるからです。

     ところで、平均利潤率の低下にもかかわらず利潤の総量を増大させるには、資本の有機的構成の高度化とそれによる平均利潤率の低下よりもいっそう急速に社会的総資本が増大しなくてはなりません。たとえば、利潤率が2分の1に低下ししかも利潤量を増大させるためには、資本投下を2倍以上に増大しなくてはならないからです[1]

     したがって、平均利潤率の低下の傾向は、このように利潤率の低下を資本の規模の拡大による利潤量の増大でおぎなうための、社会的総資本のいっそうの急速な蓄積を強制します。

     そして、このいっそう急速な蓄積は、またあらたに平均利潤率の低下の傾向をつよめます。このように、利潤率の傾向的低下の法則は、もともと平均利潤率の低下と利潤の総量の増大との対抗関係と矛盾を含んでいるのです。

     利潤率の傾向的低下の法則は、利潤の追求を自己目的とする資本主義生産の深刻な矛盾と、資本主義の歴史的限界性をしめしています(注意!!)。

    この法則は、一方では、利潤の総量の分配をめぐる資本家階級の内部の矛盾をはげしくし、他方では、資本による労働者の搾取の強化を呼び起こして、資本家階級と労働者階級との矛盾をはげしくします。そうして、資本家は、利潤率の低下を資本の規模の拡大による利潤量の増大によって補おうとして、支払い能力のある需要をこえて、ますます生産の規模を拡大します。このために、生産と消費との矛盾はふかまり、恐慌への危険性がいっそうつよまります(ここに論理的飛躍がある-------下記(注)参照)。

     また、資本家は、利潤率の低下を防ぐために、独占を形成したり、利潤率の高い植民地や従属国に資本を輸出したりしようとします。

     これらの事情は、「帝国主義論」の分野になります。

     

    (注意)これは、『資本論』の根幹をゆるがす根本的提起です!!!!!!!!!

    1.利潤率の低下は資本主義経済だけの特有の問題か? 

      不破氏は、「『資本論』全三部を読む」(第6冊、p7884)の中で、社会主義の経済体制の中でも、この法則は作用し続けると提起しています。レーニンも、大局的にはそのように考えていたようです。(「レーニンと『資本論』」第1巻、第五章「実現論争・後日談社会主義社会の再生産表式」参照)。

     

    2.平均利潤率の傾向的低下の法則と恐慌とは結びつかない!!

      「(マルクスは)この結びつきを事実に裏付けられた説得力をもって解明することには成功していません」(「『資本論』全三部を読む」(第6冊、p86))



    [1] いわゆる「薄利多売」という経験的商法は、このような利潤率と利潤量との関係が、資本の競争の過程で転倒されて、個々の資本家の実践上の意識の中に現れたものにほかなりません。

    政治経済学再入門|-|-|-|-|by ネコスキイ

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