<< ユーロドル日記 13 FXデモ批判序論 | main | 早朝の風 97 ルナ・リング大構想 >>

民法総論ノート 意思自治の原則とは

2011.12.31 Saturday
0
    JUGEMテーマ:学問・学校

     意思自治の原則はヽ私的自治の原則ともいわれる。この小論では、「意思自治」はフランスに、「私的自治」はドイツに発生し別々に発展したが具体的帰結においては共通している(「岩波講座 基本法学4−契約」岩波書店、83年、P 21)と考えて言葉を意思自治に統一して述べることとする。

     この原則は、近代社会において、個人はそれぞれ自由・平等であるとされているが、そのような個人を拘束し、権利義務関係を成り立たせるのは、それぞれの意思であるという考え方である。上記の問いに答えるために、1.意思自治の原則の歴史的位置と限界、修正について考察したあと、2.民法総則の中での意思自治の原則の拡張、補充について論ずる。意思自治の原則が、資本主義社会の原則として理解することが本質的な理解へのアプローチだからである。


    1.意思自治の原則の歴史的位置と限界、修正

     日本をふくむ諸国の民法の中で、^媚彈治の原則は、個人の平等性と権利主体性、私有財産制、げ畆裟嫻ぜ腟舛箸△錣擦凸席顕修気譴討い覆ご靄楔桐となっている。(我妻栄氏は『民法総則第一分冊』(日本評論社、昭和三年)では、「自己責任の原則」「個人財産権尊重の原則」「個人意思の自治」を挙げている(「民法講座第一巻 民法総則」星野英一編集、有斐閣、84年、P 342参照))。

     社会は、フランス革命等や産業革命によって身分の拘束を脱しヽ法律の下における平等、自由意思にもとづく生活が決して認められなかった社会から、個性の尊重と自由意思にもとづく活動や経済上の自由主義の社会へ変化した。この変化のなかから上記の原理が発生しだこれを英国の法学者サムナー・メーンは「身分より契約へ」という言葉をもって表現した。これらの原則の上に資本主義社会が建設されている。(「民法総論」小池隆一、慶応教材、98年、P76〜参照)

     初期資本主義社会において、契約自由の原則(締約の自由、相手方選択の自由、方式の自由)は意思自治原則の一っとされる。また、契約以外では、遺言の自由も個人の意思が決定的であり、民法原理の一つである過失責任主義も「故意・過失」を不法行為の要件とするなど、意思自治が重んぜられる。この個人主義の原則にもとづく民法は「資本主義的民法」と言われる(「民法総則 民法講義I」我妻栄著、岩波書店、98年、P5参照)

     しかし、資本主義が高度化することによって、個人意思の尊重は、結局、独占的な企業による社会の支配を意味することになり経済的実力の不平等、大工業の危険の必然性などの現実にもとづいて修正せざるをえなくなった。そのため、当事者間の交渉力を対等にする方策(団体交渉権)とか、当事者の合意によっても修正できない強行法規をつくって、契約内容が他方の犠牲において一方のみに有利にならないようにすることが要請され、法律行為に対する公的立場(パブリック・ポリシー)からの干渉が必要とされる。これは契約自由の原則の修正・補充といわれる(「民法I一総則」山田卓生他、有斐閣、98年、P 100〜参照)。一方で、マネイジメントの多様化・集積化によって契約自由の原則が技術的に拡大されることが要請されている。

     この事情から19世紀末以来の立法、学説は、上記原則の修正として、ー莪保護の原則、公序良俗の理論、8⇒濫用の理論、ぬ飢畆裟嫻い陵論等が考案された。この流れのなかで、日本では1898年(明治31年)民法が確定され、以後、経験が蓄積されたのである。修正として明文化されている原理として、〔泳‖茖云鬘厩燹峪筝△聾共の福祉に遵う」(公共の福祉)、同2項「権利の行使及び義務の履行は信義に従い誠実に之を為すことを要す」(信義、誠実の原則)、F隠街燹峺⇒の濫用は之を許さず」(権利濫用の禁止)が規定されている。


    2.民法総則中の意思自治原則の拡張、補充

     民法総則中、この原則の修正としての拡張、補充と考えられるのは、‖緲制度、¬鞠塾麓塋欷遏α蠎衒保護、K[Ч坩戮硫鮗甦霆燹△任△襦

    ^媚彈治原則の拡張としての代理制度

     この代理制度の社会的、経済的背景として、(ア)一方で東京、同時に一方で大阪で取引するなど財産取引の拡大により時間的空間的に代理人によらざるを得ない場合、(イ)あるいは、代理人の専門的知識を利用し積極的に活動の範囲を拡大していく状況ができたことが挙げられる。法人代表の形式は、民法の規定にないので代理の規定によって解釈する(「民法総則 民法講義I」我妻栄著、岩波書店、98年、P 170参照)が、これは大組織を運営する方策であり、マネイジメントの多様化・集積化から要請された意思自治原則の拡張とも言える(民法33条以下)。

     そもそも、代理制度とは、本人がたとえば不動産の売買契約を自分にかわって締結することを代理人に代理権を授与・委託し、代理人が本人のために代理行為をしたならば、その法的効果はすべて直接に権利者本人に帰属する(99条1項)、というものである。

     代理の種類から考えると(ア)本人の意思に基づいて代理権が発生する場合は任意代理 (弁護士に委任するなど)という。本人自身に行為能力がそなわっていて様々な理由から本人の意思で代理人を頼むのでヽ意思自治の拡張といえる。また、(イ)代理人が代理権を有する場合はが有権代理、そうでない場合が無権代理といい、それはいねば権利濫用である。無権代理は、さらに表見代理と狭義の無権代理に分類されるが、この権利濫用にたいして意思自治の拡充として相手方が保護されるよう民法は構成される(「民法I 総則・物権総論」内田貴、東大出版会、98年、P 114参照)。

     表見代理制度は、権利外観法理とも呼ばれ、本人取引の相手方が善意・無過失ならば相手方の契約行為は第三者(相手方以外)に対抗できる。取引が不動産ならば登記が対抗要件となり、その手続きとして不動産登記法が存在する(同、P386参照)など意思自治原則の拡充の具体化がはかられる。

     権利外観法理の種類として民法第109条、第110条、第112条の表見代理がある。 表見代理は、あたかも第三者に有権代理であるかのように信じさせるに足りる外観を有するものである。 109条は、第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲において、代理人と第三者との間でなされた行為について、その責に任じなければならないとし、相手方保護(この場合第三者)のために善意・無過失を要請している。第110条では、代理人がその権限外の行為を行った場合において、第三者がその権限ありと信ずべき正当な理由を有したときは、本人はその責に任ずるとしている。 112条は、代理権の消滅は、これをもって善意の第三者に対抗することができないが、相手方が過失によってその事実を知らなかった場合は、この限りでないと規定している。

    意思自治原則の補充としての無能力者保護、相手方の保護

     財産法上の意思自治能力は、(ア)能力制限を受ける本人の利益、(イ)能力制限を受け   
    る本人の財産関係に利害関係を有する他の利益のために、制限される(「民法総則」川島武宜著、
    65年、有斐閣、P 169参照)。これが、意思自治原則の補充である。

     (ア)自己の行為により完全に有効な法律関係を形成していくことができない未成年者などの行為無能力者取引の安全のために上記の代理制度と無能力者制度(未成年者、禁治産者、準禁治産者)という法形式が不可欠である。すなわち、法定代理として未成年者の場合親権者、禁治産者の場合の後見人がそれにあたり、弱者保護、意思自治の補充である。99年の民法改正で成人後見制度(痴呆老人、障害者保護)が法制化されるが、それもこの無能力者保護の一環であると考えられる。

     (イ)無能力者の取消権からの相手方保護の制度として第126条で取消権の短期時効制度を規定し、第19条で相手方の催告権を保障、第20条において無能力者が詐術を用いた場合の無能力者側の取消権を否認した。


    K[Ч坩戮硫鮗甦霆

     当事者の表示ないし具体的事情から導かれない部分について民法は、意思自治を援護・促進するために、慣習、法規で補充することを認めている。それでもなお不十分な場合は、条理(信義則=民法第1条2項「権利の行使及び義務の履行は信義に従い誠実に之を為すことを要す」)によって補充的解釈を行う。(「民法総則(第四版補正版)」四宮和夫著、96年、弘文堂、P 150参照)。「公の秩序に関せざる規定」が存在しないときヽ民法92条は「当事者がこれによる意思を有せるものと認むべきときはその慣習に従う」(事実たる慣習)と規定し、意思を補充し、法律行為の解釈を補っている。(「判例ハンドブック」[民法総則・物権]第2版、甲斐道太郎編、日本評論社、96年、P61参照)

    古い法学系ノート|-|-|-|-|by ネコスキイ

    スポンサーサイト

    2019.11.14 Thursday
    0
      |-|-|-|-|-|by スポンサードリンク
       
      Others
      プロフィール サイト内検索
           12
      3456789
      10111213141516
      17181920212223
      24252627282930
      << November 2019 >>
      新しい記事 アーカイブ
      カテゴリ
      リンク モバイル
      qrcode
      オススメ
      人権宣言集 (岩波文庫 白 1-1)
      人権宣言集 (岩波文庫 白 1-1) (JUGEMレビュー »)

      何事も原典にあたること。マグナ・カルタから始まります。ヴァージニア憲法には、常備軍の危険性を主張しています!!
      オススメ
      ジュエルズ(スペシャル・エディション)
      ジュエルズ(スペシャル・エディション) (JUGEMレビュー »)
      クイーン
      宇宙戦艦ヤマトを描いた松本零士氏絶賛の「ボヘミアン・ラプソディ」は、今も力をもつ。
      オススメ Others ムームードメイン
          

      ページの先頭へ