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超約 韓流時代劇 1 「チャングムの誓い」

2012.10.13 Saturday
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     日本の時代劇は少し下火の感が否めないですが、韓国では歴史認識問題を含めて、かなり盛んなようです。
     自国の歴史を知ることは誇りを持つことにつながります。それがたとえフィクションであっても。
     韓国の時代劇は史実とフィクションをないまぜにしながら、支配階級と被支配者のそれぞれ人間性の相克と複雑を描いています。
     この際、この大きな流れを科学の目で見ることで、領土問題や歴史認識問題を深めたいと思います。
     (参照文献 三才ブックス『韓流時代劇 ベストセレクト100』、東京書籍『カラー版 日本史図説 3訂版』)

     
     はじめの一歩は、「チャングムの誓い」。日本での現代劇「冬のソナタ」の大ヒット後、韓流ドラマ流行の後押しをしました。これらの、時代劇一般に通じるキーワードは、「女性」、「逆境」、「抵抗」、「陰謀」です。
     それにピタッと当てはまるのは「チャングム」なのです。当たるのが当たり前だ、のようなドラマです。
    (ただし、2008年TUTAYAの調べで、「好きな韓流時代劇」第一位は、高句麗を建国した英雄を描いた『朱蒙』(チュモン)です。)
     
     
     チャングムの活躍しただろう時代は16世紀はじめ。
     朝鮮半島では、1506年、李氏朝鮮の暴君・燕山君(ヨンサンクン)がクーデターで追放され、朝鮮王朝第11第国王に中宗(チュンジョン)が即位しました。
     日本は室町時代で、諸国に北条早雲、毛利元就など群雄が割拠し、下剋上が大流行。各地では農民たちの一揆が盛んでした。同年、加賀の一向一揆がたたかわれました。そんなことで、日本という概念がなかった時代、いわば内部の闘争に忙しく、外国に向けたエネルギーが少なかった時代でした。
     この時代、世界では1517年にドイツのルターの宗教改革が始まり、1522年、ポルトガルのマゼラン一行が世界一周し、1543年にはポーランドのコペルニクスが地動説を唱えた時代でした。
     つまり、朝鮮は古代的な体制であり、日本は完成した封建制への模索中であり、ヨーロッパでは宗教的封建制のくびきを脱しようとした時代だったのです。

     こんな荒波の世界史に生まれたチャングムは、まさに男尊女卑が当然、身分が制度として存在し、反乱者は死刑の時代でした。
     チャングムの父(武官)と母(宮廷料理人)は、燕山君を失脚させたクーデターに巻き込まれ命を落としました。孤児となったチャングムはカン・ドック(宮廷への酒配達人)に拾われ、宮中に見習いで出入りします。
     その流れで幼いながらも水刺間(スラッカン、王や王妃の食事を作る厨房)の女官として雇われるようになったのです。
     この場所で、チャングムは時には暴力的で厳しい教育を受けつつも、持ち前の粘りと精神で、次第に料理のみごとな才能を発揮しました。それは母のDNAがそうさせているかのような運命でした。
     しかし、チャングムの教育係のハン尚宮(ハンサングン)は、同じく教育係であるライバルのチェ尚宮(チェサングン)、それにつながるクミョンらと対立。ねたみや恨みでチャングムとハンサングンは、たびたび干されるような窮地に陥りますが、耐えに耐えながら料理の修業を続けます。
     それでも、ついに、チェサングンの策略で、チャングムとハンサングンは無実にもかかわらず済州島(チェジュド)に流刑、ハンサングンはこの島に向かう途中で亡くなってしまいます。チャングムは後ろ盾を失い、罪を着せられたまま、チェジュドで奴婢(ノビ、奴隷)となって生きていくことを強制されてしまいました。
     打ちひしがれたチャングムはそれでも、復讐を誓い、いつかは宮廷に戻ることを虎視眈眈と狙います。
     そんなある日、同じようにノビとしてチェジュドに連れてこられたチャンドクという女医と運命的な出会いをします。
     宮中に戻るなら女医となって帰る決意をし、チャンドクに医学を学ぶようになります。
     その努力がかなって、女医として認められ宮中へ帰還し、実は母の政敵だったチェサングンへの復讐をどけます。そうです、チェジュドへの流刑は母と政敵とのたたかいの延長だったのです。
     青天の霹靂、突然、国王が名高い女医となったチャングムを自分の主治医にすると言い出しました。
     これは当時としては、とんでもない任用で、女性が男性の体をさわるとは道徳的にも禁止され、ましてや身分の低い女医ごときが国王の体に触れるなど許されないことでした。

     暴君を排除した国王ではありましたが、古代的専制を感じさせる内容ではあります。しかし、ここは歴史の中で人間を考えるならば、女医を登用するという先例に縛られない革新的な国王として認識するのが、正しいでしょう。
     チャングムはクーデタの中で権力と結びついたハンサングンの政敵(母)の子で、排除すべき対象として謀略をめぐらされたのです。それは、チャングムが自分の地位を脅かされるほどの実力と才能をもっていたからです。
     チェジュドでの奴隷という身分にまで貶められたにも関わらず、最高権力者に信頼される女医になるという落差が、大きなスペクタクルになっています。
     キーワードでまとめるならば、「女性」が「逆境」にもめげず「抵抗」し、「陰謀」をはねのけて大成したドラマです。
      史実としての朝鮮南部での日本人の反乱も盛り込まれますが、朝鮮から見れば対馬から日本人居留地を利用しての侵略に見えます(日本人のちょんまげがちょっと変でした)。
     いずれにせよ、主人公のチャングムはどこまで落ちても応援したくなる人物として描かれています。
     私たちも、そういう人間になりたいと、どこか胸の奥に思っている深淵をえぐられます。

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     さて、次回の「超約 韓流時代劇」シリーズは、西洋医学を志し、日本による植民地支配からの解放をめざす独立軍への支援もした実在の医者のストーリー『済衆院』(チェジュンウォン)にしようかと思います。
     日本でも、日本の侵略戦争中止と植民地解放を命がけで訴えた日本人もいます。朝鮮でも、あの植民地時代にあって朝鮮独立軍を支えた人たちもいたことをドラマにしている、韓国テレビの努力に最高の賛辞を贈りたいと思います。実は、日本のテレビ局はアカ・タブーがあるのですよ。

     さらに、今後の「超約」の展開について、以下のような、歴史科学の目で見ると興味深いドラマを紹介しようかと考えています。日本ではあまり知られていませんので。
     (順不動)
     
     「ホ・ギュン」 身分制度の厳しい朝鮮社会において万民平等の新しい社会を提唱した文人政治家
     「李舜臣」 秀吉の朝鮮出兵から朝鮮を救った将軍の物語
     「牧民心書」 弱者の救済に身をささげた学者の物語
      「商道」 商人の低かった地位を向上させた男の一代記
     「洪吉童」 朝鮮屈指の義賊を描いた
      「林巨正」 国家にたたかいを挑んだ義賊の物語
      「張吉山」 民衆の窮状を救うために立ち上がった人物
      「済衆院」 植民地解放の朝鮮独立軍を支援した医師物語(上に説明済み)
     「名家の娘 ソヒ」 韓国版「風と共に去りぬ」といわれ、第二次世界大戦の激動を生き抜いた女性
     「雲を抜けた月のように」 秀吉軍の脅威の下、万人が平等な世界を作るための組織をつくる物語

    超約 韓流時代劇|-|-|-|-|by ネコスキイ

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