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無謀の英雄・藤野発言をたたき台に

2016.06.28 Tuesday
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    JUGEMテーマ:ニュース

     

     日本共産党の藤野政策委員長がNHK討論で「人殺しの予算」と発言し、物議を醸しています。

     防衛省の予算の概要をホームページでみると確かに防衛能力の向上等の整備費や人件費がほとんどで災害救助予算は内閣府の予算となっています。この「防衛」ということに関して、急迫不正の侵略に対する正当防衛ならば「人殺し」という言葉は当たらないと思います。権力者でなく自衛隊員を人殺しと傷つけていることになっていました。

     しかし、安倍内閣が進めようとしてる安保法制の具体化そのものは「集団的自衛権」の具現化であり、これは国際的にも国内的にも「侵略戦争」の口実であり、その意味で究極的に「人殺し」なのです。安倍氏やその支持者にはその透徹した諦観がありません。

     戦争を「人殺し」と言えない、または認めないのは時の権力者のごまかしであるというのは、歴史の教訓でしょう。

     統帥権をもっていた天皇は「人殺し」でないとは言えません。ただし、直接、人を殺したのは一兵士、BC級戦犯であるのは間違いありませんが、食料物資を供給できないにもかかわらず侵攻を命じ多くを餓死せしめ、大空襲や原爆の被害、地上戦で斃死させたのは、直接人を殺さなかった人たちの命令だったのです。

     何もそれは日本だけではありません。

     無差別殺人である大空襲や原爆を投下した事実を「人殺し」と認めないのは、当時の「戦争」という人殺し国際法の中での話で終わらず、現在も広島を訪問したオバマ氏をはじめ、その演説をみても同じです。

     このように、戦争を人殺しとは考えていないのが権力を持つ人たちの現状なのです。

      ところが、一般人はどう見ているでしょう。

     ヴォルテールは現実に戦争の惨状を見て平和を求め、トルストイはギロチンを見て人が人を殺めることに反対しました。その延長から彼の小説『戦争と平和』に、対ナポレオン戦争に参加した経験から戦争をなくすことを滔々と語っても全く取り合ってもらえない登場人物がいますが、私たちはその登場人物の目指す「平和」への道中にいます。

     私たちが人類歴史の到達点で、戦争とその予算の現実をはっきりと直視するなら、軍事費、防衛省予算は直接・間接に「人を殺す」予算であるのは間違いないのです。人類の平和の到達点としての日本国憲法第9条からみて武器(最新のコンピュータ搭載装備とそれを操る人も)は人を殺すのです。基地やミサイルを爆破しても最終的には人間を殺さない戦争はありません。ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争、その他の地域紛争をみても異論はないと思います。

     「集団的自衛権」を認めるならなおさらと言わざるを得ないでしょう。自衛隊装備にないのは空母と核兵器だけだからです(日本は核兵器を一夜にして作ることができると、バイデン副大統領が中国で発言したことがニュースになっています)。自衛のための戦争というのはまやかしです。

     

     善意で解釈しても、悪意で解釈しても、藤野氏は自衛隊に対して「人殺し」と言ったのではないと思います。たとえ、自衛隊員が人間の形をした的に射撃訓練をしたとしてもです。

     全体と部分は正反対であることが多く、防衛予算(全体)が「人殺し」であって、自衛隊員(部分)は「普通の人」で一生懸命なのです。そこに矛盾はありません。

     その論理を説明しきれていないところに、藤野氏の政治家としての未熟さと配慮のなさがあります。

     しかし、これは哲学的問題であって一言では言い切れない問題なので、結局、「人殺し」という言葉は使わなかった方がよかったのではないか、と内心忸怩たる思いはあります(予算が人殺しの武器に使われることを批判しているにも関わらず、災害救助に懸命になっている自衛隊員を人殺し呼ばわりされたと歪んで伝わる恐れがあったのです)。

     日本政治においてこのような血なまぐさい発言は、それがよいかどうかは抜きにして政治倫理として、政治討論の場として許されない発言でした(ただし、アメリカではアメリカの敵を殺せといっても問題にはなりません)。しかも、日本共産党の方針とも違うというからたまげた政策委員長です。また、民進党との共同戦線を構成している中では、その保守派をいっそう離反させる発言でもありました。

     さらに藤野発言は無用な革命的言辞を弄して人民を扇動することで人気を博そうとする行為にも見えて、支持勢力の力強い民主的行動と意識を信頼していないようです。駅頭宣伝などで使い慣れた言葉が図らずも出たという気がしてなりません。

     これで直近の参院選では、党として100万票減らすと公明党は言いますが、批判があればあるほど、やむにやまれぬ「国定忠治」的な別の層からの100万票を集めることでしょう。

     そして、やがては将来のある時期に歴史的発言として"英雄"視されるときが来るでしょう。無謀だが人々を守るために立ち上がった安重根(アンジュングン)、阿弖流為(アテルイ)やシャクシャインのように。

     

     歴史は行きつ戻りつジグザグに発展する弁証法的存在なのですから。

     

     

    P.S.

      藤野氏はそのあと政策委員長を辞任しました。当分、極端は戒められるでしょう。与党は牙を抜いたと慢心していますが、殺傷能力の高い攻撃的武器購入をどう説明するのでしょうか?共産党は藤野発言で肉を切らせて骨をきったのですが、藤野氏は出血多量で政治生命を失いました。政策委員長どころか衆議院議員の地位も党内外からの批判で危ういでしょう。

     自民党も共産党の特攻隊に本質を突かれたので安保法制の実質的内容を隠すことになるでしょうね。

      安倍総理は、自衛隊の閲兵式で「あなた方は人殺しではありません。あなた方は人を生かし救助するために存在しているのです。」と訓示することでしょう。そうしたら米軍との共同はできませんし、安倍氏の狙う安保法制は実質的に終わります。

     チャップリンは「1人殺したら殺人者で、100万人殺したら英雄である」と映画作品の中で主人公に語らせています。この“訓示”をお忘れなくと言いたい。

     

     

     

     

     

     

    哲学のラ・フォンテーヌ|-|-|-|-|by ネコスキイ

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