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ノートルダムは燃えているか?

2019.04.16 Tuesday
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    JUGEMテーマ:ニュース

     

     朝のニュースを見て驚いた方も多いと思います。

     

     パリのノートルダム寺院が大火事で、尖塔が崩壊しているシーンがテレビで放映されていました。

     周辺地域もあわせて世界遺産になっている場所なので、こんなことになるとは。

     原因の追究は当然ですが、それがどうあれフランス政府の管理が悪いとしかいいようがありません。

     

     この寺院は歴史的にも文化的にも精神的にも、フランスやヨーロッパのよりどころとなっていました。

     尖塔の崩壊が何かのエスプリの崩壊を象徴しているようで、ヨーロッパ人はもとよりアジア人も悲嘆にくれています。

     

     ノートルダム寺院はエッフェルタワーができるまでは、パリの象徴。いや、それ以上のものがあったと思います。

     ロシアで言えばクレムリン。イギリスで言えばビッグベン。韓国で言えば南大門。熊本で言えば熊本城!!。京都でいえば金閣寺。

     

     昨日、私は奇しくもビクトル・ユゴーの「ノートルダム・ド・パリ」を読んでいたところでした。

     しかも、ノートルダム寺院の火事が発覚する日本時間の未明だったので、何かの共通性を感じました。

     また、遅ればせながら劇団四季「ノートルダムの鐘」をミュージカルで見たいと思っていたから、なおさらでした。

     

     この小説はノートルダムに棲む謎の背むし男カジモドがその寺院の元で踊るジプシー女エスメラルダを好きになると言う話を政治的駆け引きを交えて展開しています。カジモド(Quasimodo)はノートルダム寺院の前に捨てられた障害者の孤児で、寺院の僧によって鐘つき男として育てられ、寺院内部しか知らずに育ったのに、自由で美しいエスメラルダを見て人間性に目覚めていくのです。

     今でも、ノートルダムに参詣する入口ではジプシーが列をなして“慈悲”を乞う姿が見られます。

     また、ひと昔前ですが日本のビールのCMでは「Voila・・・」と歌い、ジプシーの息吹を感じましたね。

     寺院の周りでは、「カジモド」、「エスメラルダ」という喫茶店や食堂もあり、その小説の影響とその元となった人民の状況を感じるのです。

     それもあって、日本では「ノートルダムの鐘」というディズニーアニメが流行り、新国立劇場ではバレーが好演され、出版物もさかんです。ヨーロッパでは「レ・ミゼラブル」より、人気があるのですが、日本ではそれを越すことはないので、常々不思議に思っていましたが・・・。

     三島由紀夫の小説「金閣寺」は、その炎上の原因を金閣寺の美に酔いしれた修行僧の耽美主義に求めています。

     ノートルダム炎上の原因は、そんな簡単にはいかないでしょう。「黄色いベスト」運動の過激主義と関係はあるのでしょうか。フランスの小説は、オペラ座にいる怪人や復讐に燃えるモンテクリスト伯のような、権力とは反対の範疇に入る正義と逆転劇を描き人気を博してきました。悲嘆くれつつ、何か、面白いことが起こりそうな予感がします。

     マクロン大統領はさっそく再建の声明を出していますが、それだけで済むのでしょうか。再建など金と最近の技術があればできます。ベルギーの学者が寺院のすべての場所をCGスキャンしているのですから、形は再建できるのです。しかし。

       西田幾多郎の「フランス哲学についての感想」を読むと、パスカルの言葉を借りれば、フランス哲学には単に l' esprit de géométrie「幾何学の精神」でなくesprit de finesse「繊細の精神」というものがあると述べています。

     幾何学的なノートルダムの崩壊で、この繊細の精神とも言える何かを失くしてしまわないか、怒りに震えています。

     

     などと、つらつら考えていたとき、あの寺院の中に「ピエタ」というキリスト教の彫刻があり、それが台無しになっているのではないかと、ふと心配になりました。

     遠い日本にいても、何か精神的なダメージがあります。そうだ、世界遺産はその歴史と壮大さによって世界の人々の精神を支えているのだ。

     改めて、世界遺産の世界的な防護を訴えます。

     

    p.s.

       ノートルダム寺院再建のために有名企業や著名人が100億円単位の寄付を申し出て、現在合計1000億円を超えているそうです。

     「カルメン」を書いたメリメは官僚だったときに、フランスの文化財建築物の一覧表を作ってその保護をしてきたという歴史がフランスにはあるそうですが、天災でもないのに、ボヤでなく壊滅的、いや灰燼に帰すという表現があたるくらいの火災を起こしてしまうところにフランスの文化行政の脆さが表れていると思います。

     ちなみに、「ピエタ」については、大丈夫のようでした。

     

     

     

     

     

     

    哲学のラ・フォンテーヌ|-|-|-|-|by ネコスキイ

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