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イワンの馬鹿Иван-дуракを読む

2019.06.04 Tuesday
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    JUGEMテーマ:読書

     

     これもトルストイ読書の一貫として必読文献なのでしょう。

     童話で、ヴ=ナロード(農民の中へ)ということでしたね。

     

     馬鹿な農民の三男が働き詰めに働いて、悪魔の力によって王様になってしまう。

     働くことが主眼であり、金の流通や戦争とも無縁。兵隊は歌を歌う集団だと思っている牧歌的な農民を描いています。

     

     このあたりを井上ひさしは嫌ったのではないかと思います。アンデルセンのような王様のとらえ方ではなく、働いて悪魔的力さえ発揮すれば王様にさえなれて、戦争の意味も理解できなくなる。頭脳で働く意味も分からず、耕すことで価値を獲得するという一点でストーリーは展開しているのですから、童話と言えども批判の多い作品と言えるでしょう。

     

     このストーリーで思い出すのは「三匹の子ブタ」です。一番下の弟が一番賢いのですが、トルストイはそれを逆転して一番「馬鹿」という設定にしています。

     しかし、これはアイロニーであってむしろ尊敬に値する馬鹿正直にちかいものがあるです。

     侵略してきた兵隊を心で追い返し意味なきものにしたり、「金」で食事にありつこうとすること自体の意味を問い、「頭」で働くことの無意味さと耕作の重要性を訴えているのですが、現在の職業多様性から考えると理解しがたい内容があります。

     

     たとえば、大橋梁を作る工事を考えると、肉体的に働く人はもちろん、クレーンを操作する人、設計を担当する人、会計を担当する人、融資を考える人など、多くの頭脳労働者がいるし、肉体労働とは言え機械操作は頭脳労働と言えるでしょう。

     こう考えると、吉野源三郎氏の「君たちはどう生きるか」のように継起的に職業の連鎖を考えざるをないのです。

     そして、これが普通の思考回路になっている現代人は、耕作一つで生きているわけではないことも潜在的に知っているのです。

     

     だから、このトルストイの「イワンの馬鹿」は農業でさえ未発達な田舎ロシアでは話になるけれども、発達した資本主義国日本では、かなり無理のある童話であることもわかるでしょう。

     童話で語り掛けようという意義は否定しませんが、限界のある仕事だということも主張すべきです。

     

     

     

    文学ディスカシォーネ|-|-|-|-|by ネコスキイ

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