図書館サービス論  ノート2

2010.10.31 Sunday
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    JUGEMテーマ:学問・学校

     「公共図書館レファレンスサービスの展望」

    「図書館サービス」の種類は、閲覧、貸出、レファレンス・サービス、予約・リクエストサービス、読書案内、デジタル情報サービス、カレントアウェアネスサービスなどがある。今回は、特に「レファレンス・サービス」を中心に述べる。
    何故なら、ネットワーク上の情報源が増大するなかで、対面によるレファレンス、高度な利用者サイドの支援が求められているからである。

    1. 公共図書館レファレンスの現状と問題点
    (1) インターネット接続の普及と問題
    (顱縫優奪箸砲茲覯歛蟆魴茲量簑蠹
    2005年4月時点のインターネット人口は4,856万人であり、自宅での利用者数は4,064万人、自宅以外での利用者数は2,243万人、自宅と自宅以外での併用者数は1,451万人になっている。また、自宅でのインターネット接続のPC利用については、インターネットに接続されたPCの自宅での個人利用率は、男性は36.7% 、女性は28.5%となっている。さらに、携帯電話による利用も含めたインターネット人口は 6,894万人になるなど、人口の半数がインターネットを利用している実態が調査から浮かび上がっている(注1)。
    一方で裏返して見れば、何らかの理由でインターネットを利用できない人も数千万人存在することになり、公共図書館の役割は高度情報化社会になってますます高まっているともいえる。インターネットを利用する人は、その情報の正確さや情報選択の方法、インターネットを利用できない人は、情報リテラシーと使用機会の提供が今後の大きな問題となる。それは人員の配置や予算の問題にも還元される。
    (髻縫譽侫.譽鵐好機璽咼垢慮従
    以上のようなデジタル・デバイドを内包しつつネットが普及しているなかで、『日本の図書館』の経年的分析によると、都道府県立図書館において、図書館のレファレンス・サービスの利用機会を全体としては減少させてはいるが、逆にレファレンス件数を伸ばしている図書館が半数にのぼることは非常に注目される。
    その理由として、.譽侫.譽鵐好機璽咼垢インターネット普及前に広く認知されていたわけではなかった、⊃渊餞曚砲けるレファレンスサービスへの積極的な取り組みがなされた、ことがあげられる(注2)。これは逆にレファレンスへの期待と言っても過言ではない。
    この理由の背景には、近年、地域情報拠点、課題解決型の図書館などのレファレンスサービスを重視した図書館の在り方の提言(注3)もなされ、取り組みが強まったことがある。一方で、図書館によってレファレンス件数が増減の二極化を示していることは、そうした取り組みが全国に必ずしも普及していないことの表れとも見ることができる。

    2. 今後の課題
    (1) レファレンスサービスの認知度を上げる
      2010年6月22日付の『日刊スポーツ』では、珍しく図書館について取り上げている。「公立図書館 便利に進化」「運営など民間委託しサービス向上、利用者急増」という見出しが躍り、日本図書館協会の常世田良事務局次長(元浦安図書館長)へインタビューしている。
     常世田氏は「図書館の数はこの10年間で約20%増えています。ハコモノ行政が減っている中で、図書館だけが唯一増えている。図書館のニーズが、どの町でも高く、利用率も高いからです」と答えている(注4)。
     この特集がとくに注目したのは指定管理者制度導入で、民間のヴィアックス社に窓口から運営まですべてを任せた千代田図書館である。「司書資格を持つスタッフ20人が資料調査やビジネス支援などの相談に乗っている」(広報チーフ)。
     ここで、私が注目したのは…敢沙抉隋淵譽侫.譽鵐后法↓一見無関係なスポーツ紙が取り上げた事実、の2点である。
     ここから言えるのは、情報化時代だからレファレンスサービスが不要なのではなくて、
    むしろ求められている。公共図書館に行けば、専門家が検索方法や資料の信頼性、的確性
    に応えてくれるという信頼感を醸成するために、「レファレンスサービスここにあり」とい
    う情報発信が必要なのである。「図書館法」(1950)によってレファレンス・サービスが基
    本的なサービスと規定されたが「活発に行われたとはいえない」(注5)。ここに欧米との違
    いがある。
    振り返れば40年前に、「中小レポート」(1963年)を受けて『市民の図書館』(1970
    年)が発表された。そこでは、「貸出が中心」とされたが(注6)、同書の編著の中心的役割
    を果たした前川恒雄氏は貸出の推進とともにレファレンスが図書館奉仕の二本柱だと言っ
    ている(注7)。だが、この原理原則は、一部ではあるが本格的な情報化社会、ユビキタス
    社会に到って初めて開花したといえる。
    これをさらに発展させるには、レファレンスサービスの認知度を上げることに知恵を絞
    ることが課題である。


    (2) 専門家の育成と情報リテラシーの高度化
     この千代田図書館の設計段階からかかわった元館長・柳与志夫氏はこう言う。
    「公共図書館は部分でありながら、全体を支える役割を果たす」。
    つまり「それは不偏性をもつ情報・知識を扱い(共通性)、誰でも利用することができて、集うことができること(公開性)、公的な資金や組織の支えがある(公式性)」の3要素をもつ珍しい文化・情報施設である。そして、それを成り立たせるための前提として、「公平性」を積極的に創る姿勢が公共図書館と図書館員に求められている(注8)のである。
    そこで、〇堽図書館としては日本最大の蔵書数を誇る横浜市立図書館、東京駅から一時間のおしゃれな湘南地域のベッドタウン、逗子市立図書館、わが街、世界遺産登録推進の鎌倉市立図書館、い修靴討海瞭本最大のオフィス街、千代田図書館を実地見学・利用してみた。
    柳氏のいう不偏性・共通性・公式性・公平性の観点でみてもどこも、地域特性を生かした構成になっていた(施設整備の新旧で若干違いはある)。千代田図書館で特に目についたのは「コンシェルジュ」「レファレンス」担当の明確な存在と「キャレル席」という個人ブースの予約だった。どの図書館も、数の差はあるもののモバイルパソコンの端子があり、「セカンド・オフィス」として使用できるようになっている。
    ここから見えてきたのは図書館のコレクションすべてを背にして様々な課題が解決できる頼もしい存在と、同時に、資料探索・情報検索のノウハウの専門家の必要だった。
    ネットワークが確立して膨大な資料が利用できたとしても、体系だったものや使用に耐えうる価値のあるものかどうか(著作権など含む)という判断はその道の専門家として司書が必要だということである。しかも、情報技術が発展するなかで、高度な情報リテラシーを備えた専門家がいないならば用をなさないのではないかという不安も出てきた。
    特に、近年利用が高まっているビジネス支援分野では、「 崙表顱廖岾惱」といった従来の図書館イメージを変えるのに役立つ、関係法規・基準の精神に合致、8共図書館を課題解決型の図書館に変える契機となる」と言われている(注9)ため、これらに対応する技術をいち早く吸収しないと図書館を見限られる。だから「司書の資料・情報検索支援は、・・・きわめて有効・有益なもの」(注10)なのである。
    また、バーチャルレファレンス、レファレンス協同、情報源の組織化についても研究が進んでおり(注11)、これらの課題に対しても、専門家の育成と情報リテラシーの高度化がどうしても喫緊の課題であろう。

     レファレンスサービスの認知度を上げ、専門家の育成と情報リテラシーの高度化が実現すれば、「頼りになる存在」としての公共図書館が情報アクセス権の充実、知的財産権立国、ひいては日本文化の前進に役立つと考える。


    (注1)インターネット基礎調査レポート(2005年4月)
    (注2)『利用者志向のレファレンスサービス』齋藤泰則著、勉誠出版、2009年、p8-p11
    (注3)『地域の情報ハブとしての図書館−課題解決型の図書館を目指して−』図書館をハ
        ブとしたネットワークの在り方に関する研究会、2005年
    (注4)2010年6月22日付『日刊スポーツ』20面(東京ナビ〜ビジネスリポート)
       この特集では、千代田図書館、葛飾図書館、文京図書館を取材している。ちなみに
    「日刊スポーツ」の発行部数は200万部(2002年)と言われ、スポーツ紙では最も
    多い部数である。
    (注5)『図書館サービス論』高鷲忠美著、八洲学園大学、2010年、p40
    (注6)『図書及び図書館史』小黒浩司編著、日本図書館協会、2010年、p109-p121
    (注7)『われらの図書館』前川恒雄著、筑摩書房、1987年 p 56-p64,
    p236「二つの役割」より、「図書館の機能は資料・情報の提供であり、その方法は、貸出し、レファレンスと文化活動である」と述べている。
    (注8)『千代田図書館とはなにか』柳与志夫著、ポット出版、2010年、p190
    (注9)『公共図書館の論点整理』田村俊作、小川俊彦編、勁草書房、2008年、p43
    (注10)文部科学省ホームページ「司書によるレファレンスや情報検索機能―利用者問い
    合わせに対する文献調査機能」
    「司書の資料・情報検索支援は、具体的にどのような情報を検索したらよいか情報検索内容が不明な利用者や情報検索の機会や能力が不十分な利用者にとって、きわめて有効・有益なものである」としている。
    http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/05091401/005.htm(2010年6月18日閲覧)
    (注11)『利用者志向のレファレンスサービス』齋藤泰則著、勉誠出版、2009年 参照

    図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

    情報サービス概説 ノート2

    2010.10.31 Sunday
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      JUGEMテーマ:学問・学校

       情報サービス概説「レファレンス回答の評価方法」ノート

       レファレンスサービスは評価を必要とする。経営計画を立てるうえでも、図書館サービス業務全体のありかたを考え、将来に対する計画として必要である。
       このサービスの内、関連するレファレンスサービスに触れつつ、質問に対する回答評価とその方法について考察する。

      1. レファレンス回答を評価する意義と問題点
      (1) 意義
       それまで収集した資料・情報によってどの程度の精度まで回答することができたのか、それを評価することで、レファレンスコレクション・資料の充足率を明らかにし、資料の取捨選択・維持管理に役立てることができる。
       資料・情報不足、レファレンス・ライブラリアンの人数、経験年数、カバーできる分野、課題解決の力が備わっているかどうかは、図書館全体の評価にもなる(注1)。管理者はここをよく把握し評価することで、組織体制を是正できる意義がある。
       回答に、どの程度の時間と費用がかけられるかが、利用者「満足度」にも影響する。
      「次年度の業務のために利用者の満足度の把握が不可欠であり、顧客主義が徹底される」(注2)ことが特に現在では求められるからである。
          
      (2) 問題点
       レファレンスサービス・回答は期待されているか?
      以上のような意義のあるレファレンスサービス、レファレンス回答を維持発展さ
      せるためには、これをある基準で評価し図書館経営にフィードバックする必要があ
      る。ところが、実際に十分な評価が行われていない。
      『日本の図書館』の経年的分析によると、都道府県立図書館において、図書館の
      レファレンス・サービスの利用機会を全体としては減少させてはいるが、逆にレフ
      ァレンス件数を伸ばしている図書館が半数にのぼることは非常に注目される。
      その理由として、(ア)レファレンスサービスがインターネット普及前に広く認知
      されていたわけではなかった、(イ)図書館におけるレファレンスサービスへの積極
      的な取り組みがなされた、ことがあげられる(注3)。これは逆にレファレンスへの
      期待と言っても過言ではない。
             つまり、レファレンスについての評価は、「『必要』というコンセプトと『実効困
      難』という現実2局面にさらされている」(注4)。そこで、個人にも図書館組織にも
      共通するレファレンス回答の評価軸を考察する。
        レファレンス回答の評価軸
      (ア) 利用者の満足度
           7人に1人しかレファレンス・サービスを知らないが、利用者は85%満足する
      といわれる(注5)。注目されている千代田区図書館では、「司書資格を持つスタッ
      フ20人が資料調査やビジネス支援などの相談に乗っている」(広報チーフ)(注6)。
           しかし、一般的にはPR不足もありレファレンスサービスに適切な理解がなされ
      ていない嫌いがある。
      (イ) 対応の適正・技量・マナーなどの評価
           そこから経験不足も生まれる悪循環になる可能性もある。接遇の仕方がお役
      所風など不信感を抱かせることもある。
      (ウ) レファレンス環境
       質問内容の予測が困難なので、事業計画が立てにくく、前後の回答の量と質の評価がしづらい(注7)。それは、予算、図書館員、コレクションの面での制約がある。他館との比較も条件が全く違うので評価が難しい。
      (エ) 方法論
           そもそも評価方法が確立されていないので、これは、次節でくわしく検討する。

      2. レファレンス回答評価の有効性
      (1) 評価の範囲
        評価の範囲は、ー遡箋擇嗚足度の評価、回答、回答者をめぐる評価、コレ
      クション・環境(設備機器・時間・費用)、H駘兮佇惘廖陛蟷饂餮擦藩用者の満足
      度)、と駘兮亳果(投資資源とレファレンスの有効性)が考えられる。
        2005年4月時点のインターネット人口は4,856万人であり、自宅での利用者数は
      4,064万人、自宅以外での利用者数は2,243万人、自宅と自宅以外での併用者数は
      1,451万人になっている。また、携帯電話を含めたインターネット人口は 6,894万
      人になるなど、人口の半数がインターネットを利用している(注8)。
         これ以上に進んでいる現在、「セルフ・レファレンス」も進み、Q&Aサイトも増
      加し、たとえば、「教えてgoo!」400万件、「Yahoo!知恵袋」2500万件のQ&Aが掲
      載されている(2009年4月)。これらは問題解決の糸口となる答えがあり、正答率
      も所要時間もレファレンスサービスと大差がないという(注9)。
       このような情勢下で、とくにH駘兮佇惘廖↓と駘兮亳果という評価の範囲は、
      変化せざるをえない。だから、レファレンスライブラリアンの専門性が問われる時
      代になっている。
      (2)経営面からの有効性
          経営面から回答の評価を問われた場合、とい最大の評価になってくる。ネット
      だけで検索できない膨大な書誌、各出版社からの出版案内、『雑誌新聞総かたろぐ』、
      『DVD&ビデオソフト総カタログ』、『世界CD-ROM総覧』、『日本古書通信』、『政府
      刊行物月報』。また、図書館が会員になって購読している専門紙など、違った面をアピ
      ールすることが回答の評価となる時代が来ている。この場合、高価な事典類、新聞
      横断検索の費用などまさに投資資源との関連で測られるからである(回答拒否の事例
      として経済的理由があるが、どこまでが限度かは図書館情報政策の違いによる)。

      3. レファレンス回答の実際
      (1) 記録
        回答評価の前提として、一件一件の記録をとる必要がある。
       質問を記録する(内容、質問者情報)、
       回答を記録する
          使用した情報源、回答内容及びプロセス、担当者名、調査に要した時間、担当者
      の感想(自己評価を含む)など。
      (2) 評価の実施
        以上の記録にもとづき、レファレンスの全行程に対応した評価を実施する。
       質問が図書館の回答する範囲のものであるか、その表現が適当であるか
       回答者の自己評価を中心としつつ、合評、管理者の評価
       図書館コレクションとの関係で資料・メディアの不足を把握する
       人的配置・対応が適正であったか、経験年数、専門分野などの適正さをただし、研修の実施などのレベルアップを図る。
       時間と費用を測る。長距離電話、データベース検索への課金など利用者負担について評価する。
       機器・設備などとの関係を把握する。
        以上が、おおまかなレファレンス回答の方法ではあるが、たんなる一つの方法である
      ことも否めない。回答に用いられた資料・情報の評価は、レファレンス資料の量、購入
      費などのデータとしては有効であると言える。


      (注1)『地域の情報ハブとしての図書館−課題解決型の図書館を目指して−』図書館をハ
      ブとしたネットワークの在り方に関する研究会、2005年
      (注2)『図書館の活動と経営』大串夏身編著、青弓社、2008年、p172
      (注3)『利用者志向のレファレンスサービス』齋藤泰則著、勉誠出版、2009年、p8-p11
      (注4)『情報サービス』志保田務ほか編、学芸図書、2009年、p78
      (注5)『レファレンスサービス入門』齋藤文男ほか著、日本図書館協会、2008年、p24
      (注6)『日刊スポーツ』20面(2010年6月22日付 東京ナビ〜ビジネスリポート)
      (注7)『ある図書館相談係の日記』大串夏身著、日外教養選書、1994年 参照
      (注8)インターネット基礎調査レポート(2005年4月)
      (注9)「Q&Aサイトと公共図書館レファレンスサービスの正答率比較」、『図書館界』Vol.61 
      No.6  March (通巻351号) 2010 所載論文

       

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      専門資料論 ノート

      2010.10.31 Sunday
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        JUGEMテーマ:学問・学校

        1. 専門資料とは
        (1) 専門資料論と専門情報の意義
        「専門資料」とは、「ある特定の学問(あるいは学術)分野の研究の基礎となる材料で、何らかの媒体に情報が記録されているもの」である。(注1)
        また、専門分野の知識にはそれぞれの構造(Knowledge organization)がある。「学術情報・専門情報」について「学術情報とは、ある研究者コミュニティにおいてその研究領域の成果としてコミュニティが認定した専門情報のことである」「学術情報とは専門情報の一種である。専門情報とは、限定された事柄について集中的に学習して獲得した専門的な知識、技能があって初めて理解しうる情報、つまり専門的な知識を前提として伝達される情報である」(注2)。
        これらは、具体的には、学術図書、学術雑誌、会議資料、テクニカルレポート、研究報告書、学位論文、規格、特許資料などを挙げることができる。
        とくに、学術情報(≦専門情報)は、それまでの学問領域において確かな体系性を備えた理論の一部と新たに付加価値を賦与するもので、その学術論文は引用された回数がその論文の価値を測る一つの尺度として機能する(サイテーション・インデックス)。
        (2) 一次資料
         学術書は、各々の学術・専門分野に関するさまざまなタイプの情報を図書の形態にまとめたものである。学術・専門情報の分野全体の中での位置づけを体系的に把握することができる。反面、体系化のための時間がかかり、情報の速報性、新規性に欠ける場合がある。
         一方、学術雑誌は、研究者の最新の研究成果情報を伝達するものとして有効である。
         内容的にも査読制度により審査された論文が掲載されるので、水準が保証され信頼性は高い。電子ジャーナルやオンライン・ジャーナルという形にもなってきている。
         会議資料は、学術団体を中心とした機関・学会によって開催される各種の会議で作成される資料のことである。特に予稿集類はプレプリントと呼ばれ情報の最新性が高い。
         テクニカルレポートは、大学・研究機関等における研究結果報告書の総称である。研究(調査)報告書とも言い、個人的な研究だけでは得られない貴重な学術情報にアクセスすることができる。一般に入手困難のため行政資料のような灰色文献の一つではある。
         学位論文は、学位審査機関に提出する論文であり、主に修士・博士論文を指し、各分野の先行研究を含むため資料価値は高い。1935年以降の国内の博士論文は、国立国会図書館に収集されている。
         規格資料(標準規格)とは、「品質の向上、製造の効率化、使用の便宜などのために、個々の製品の形状や品質の仕様に関して標準化機関が一定の手続きと形式で作成した文書」(注3)である。国際規格としての国際標準化機構(ISO)やわが国の国家規格であるJIS規格は、標準性、安全性に貢献してきた。
         特許資料は、特許制度にもとづく特許権等の独占権の内容を提示する権利情報にかかわる資料であり、この活用で関連分野の研究開発動向の把握や、同一内容の研究開発の防止、さらには権利の侵害を回避できる。独創性、新鮮性、実用性のある資料でもある。
        (3) 二次資料
         以上のような一次資料の獲得のための資料(手段)、もしくは一次資料をもとに作成された資料を二次資料という。この資料の充実こそ専門資料をそろえる力となる。
         おびただしい情報の中から求める情報を入手するには、アクセスするためのツールがどうしても必要である。それは、ヽ惱兔顱▲謄ニカルレポートなとの刊行物(一次資料)をサーチするための資料(書誌、目録、抄録誌、索引誌など)、一次資料を編集、整理し、その内容を取捨選択し、評価を加えた資料(百科事典、ハンドブックなど)、の二種類ある。「二次情報」とも言う。
        2. 学術情報の生産・流通・利用の観点からとらえる
         学術情報は専門資料の一部である。その生産・流通・利用・ストックの観点から、専門資料としての特性を捉える。
        2-1 生産・流通・利用
        (1) 学術情報の生産・流通・利用
         学術情報・専門情報の内、科学技術の発展への取り組みの成果は、学術論文という形で発表される。従来、紙媒体の学術雑誌に掲載されてきたが、近年では、パソコンで論文ファイルにし、それを電子ジャーナルにPDFファイルやHTML文書として公表され流通することが一般的になっている(注4)。
          学術情報の生産は、研究テーマの発見から始まる。このテーマが見つかってから、先行業績の到達点を学術論文で確認することが多い。そこに「利用」が生じる。また、「引用」という形で「利用」し、新たな研究分野を開拓する研究者も現れる。研究者は、これらの研究による学術情報を社会に広め、応用等の機会を増大させるとともに、後継を育てていくことも任務になってくる。そのため難しい論文をくだいて解説する“サイエンス・ライター”も必要になってくる。そこにまた学術情報の「利用」が生じ世代的循環過程に入る。
          
        (2) 学術情報流通と近年の動向
         学術情報については、先にも述べたように、インターネットを通じて配信される電子ジャーナルへのシフトが急速に進展している。特に英語圏の学術雑誌では大半がデジタル化しているとも言われる。ただし、電子版のみの雑誌はそれほどの数ではなく、紙媒体との並行出版が主流である。
         国による国立大学への特別予算措置がなされた2002年から、電子ジャーナルは顕著な伸びを見せて、この年を「電子ジャーナル元年」と呼ぶ向きもある。これは、研究室から容易にアクセスすることができ、速報性や検索性の利点を持っている。長期保存ができない問題があるものの、今や学術研究に欠かせない。近年、科学技術振興機構(JST)の運営するJ-STAGE(注5)など、国内学術雑誌のデジタル化とネットワークを通じた提供を支援する仕組みが国レベルで進展している。この分野の流通形態の変化に図書館は対応すべきときである。
        2-2 利用を前提としたストック(組織化)
         これまで、「生産→利用」、「生産→流通→利用」を述べたが、専門家向け大量データベースとして利用に供する前提として、情報の「ストック」状態という場合があると、私は考える。現在多く電子情報として蓄積されている。「生産→ストック→利用」という観点で、専門資料としての学術情報の特性を述べる。
        (1)電子版学術情報
          「機関リポジトリ」は、大学などの広報、宣伝、組織概要、大学案内、シラバス、学位論文、紀要、学術論文などの総体をさすと言われる。学術情報の論文等について言えば、国立情報学研究所(NII)の「次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業」の援助を受けた千葉大学学術成果リポジトリ(CURATOR)を嚆矢として、他の大学にも広がっている。
        (2)大学図書館の電子図書館化と学術情報ネットワーク
          我が国の国公私立大学の多くはキャンパス情報ネットワーク(学内LAN)を整備し、それらの大学に付設された図書館は国立情報学研究所の管理運用する学術情報ネットワークに接続。さらに、インターネット・バックボーン(SINET 注6)から世界中につながっている。そして、アメリカ合衆国、イギリス、タイに向けて国際専用回線が敷設され、英国図書館文献情報センター(BLDSC 注7)と直接図書館間相互協力ができるまでになっている。
         多くの大学では、Web-OPACを公開し、各種のデータベースにアクセスできるように「図書館ポータル」を整備し学生・研究者に供している。 したがって、大学図書館の総体が、専門資料と世界的につながっているのである。
         研究者が書いた論文雑誌が雑誌価格の高騰のため図書館で入手不可能という事態は避けたい。こうした背景のもとに誕生したのが、SPARC(Scholarly  Publishing and Academic Resources Coalition )の活動であり、「機関リポジトリ」や「オープンアクセス」を支援する活動を行っている。「オープンアクセス」とは、そもそも学術情報は無料で制約のないオンラインでの利用が可能であるべきだという考えと運動をさす。「オープンアクセス誌」の刊行は「著者支払モデル」を採用し経費をねん出している。これも専門資料たりうる。
         
        (注1)『専門資料論』三浦逸雄ほか編著、日本図書館協会、2008年、p13
        (注2)『講座 図書館の理論と実際 9 学術情報と図書館』海野敏ほか著、雄山閣、1999年、p18
        (注3)『図書館情報学用語辞典 第3版』丸善
        (注4)この例として、米国科学雑誌「Cell」オンライン版に2006年8月に公開された山中京都大学教授の「iPS細胞」開発のニュースは世界を揺るがせた。
        一方、紙媒体の学術誌「プログレス・オブ・セオリティカル・フィジックス」(理論物理学の進歩)、通称「プログレス」は、1947年、朝永博士が「くりこみ理論」の論文を創刊第2号に発表し、65年にノーベル賞を受けた。「CP対称性の破れ」でノーベル賞を受けた小林・益川論文は73年に掲載。その後、世界中の研究者に引用され、2007年、1年間だけでも引用数は5264件に達する(2008年10月9日 読売新聞より)。
        (注5)J-STAGE (科学技術情報発信・流通総合システム)は、満10周年を迎え、ジャーナル
        619誌(297,796記事)、予稿集・要旨集125誌、 報告書10誌などを提供中である(2010年5月 ホームページより)
        (注6)SINET 学術情報ネットワーク
        現在、SINET3(サイネット・スリー)学術情報ネットワークは、日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として、国立情報学研究所(NII)が構築、運用している情報ネットワークである。学術研究及び教育活動の「情報ライフライン」を提供し、各種コミュニティ形成の支援、学術情報の流通促進を図っている。2010年4月からSINET4(サイネット・フォー)で範囲を拡大している(ホームページより)。
        (注7)BLDSC The British Library Document Supply Centre
        BLDSCは、逐次刊行物25万タイトル、書籍300万冊、レポート460万件、会議録37万件、学位論文59万件等を所蔵する世界最大級の文献提供機関。BLDSCには、世界中から毎日約15,000件の注文が入り、その内の約90%を所蔵資料で充足(ホームページより)。
        図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

        図書館サービス論 ノート

        2010.10.31 Sunday
        0
          JUGEMテーマ:学問・学校

           公共図書館における貸出の意義について

          (機法崑濬弌廚琉銘屬鼎
          「図書館サービス」の種類は、閲覧、貸出、レファレンス・サービス、予約・リクエストサービス、読書案内、デジタル情報サービス、カレントアウェアネスサービスなどがある。これは、アメリカでも日本でも図書館運動を市民目線で行うことで獲得されていったサービスでもある。公共図書館は、図書館法では「公立」と「私立」とも含む。ここでは、「公立」について考える。
          「公立」は、都道府県立図書館と市区町村立図書館である。
          都道府県立は県民への直接サービスと同時に、基本的には市区町村立図書館への支援・援助の役割が大きい。だから、市区町村立図書館こそが、直接市民へのサービスを行う実施主体である。
           これらのサービスの内、「貸出」数・率は、図書館活動指標を見るうえで欠かせない重要な指標である。市民が貸出登録している「登録率」などと合わせて、市民の文化権行使の指標ともなるのである。たとえば、
          (1)日野市立図書館は、1963年以降、分館、移動図書館、中央館(後で建設)で構成され、市民のあらゆる情報要求に応えた。とくに、移動図書館(BM)は、市内全域に図書館サービスを行き渡らせ、その勢いは「書庫が空になる」と言われた。それほどに「貸出」は当時求められた。(注2)
          (2)北海道置戸町では、小規模町でも移動図書館や読書月間、貸出方法の改善を実施して、1976年には住民一人当たり貸出冊数が7.9冊となり、日野市を抜いた。(注2)
          (3)また、私の居住する鎌倉市について調査した。
          『鎌倉市の図書館』(平成20年度事業報告)でも、鎌倉市の図書館(分館含む)に特に目立つ特徴は、〇毀韻貸出登録をしている率は同規模都市(小田原、海老名、伊勢原など)と比べて2割近く高い(70.8%)こと、⇒縮鸞濬佝罅柄軋濬佚誠瑤砲靴瓩詬縮鷸駑疎濬个糧耄─砲蓮△笋呂蠧欝模都市に比して2倍の23.0%にものぼる(注1)。
          かように、「貸出」は図書館の“命”と言えるサービスである。

          (供妨共図書館が貸し出す意義
          その命と言える貸出は1960年代までは主流ではなく図書館は「保存」をもっぱらとしていた。しかし、「中小レポート」(1963)(注3)や日野市の実践(1965〜)を踏まえ、全国の図書館を調査研究し手引き化した『市民の図書館』刊行(1970年)以来、公共図書館では「貸出」が中心の業務となっている。「貸出」とは、図書館内に利用を限定せず一定期間自由に図書・資料を貸し出す制度である。この「貸出」が盛んになることで、多くの市民に役立ち、さらなる知的欲求を満たすために「中央図書館」が設置された日野市のような実例が生まれた。批判される「ハコモノありき」ではないのが図書館運動なのである。
          高度情報社会、生涯学習社会を迎えた今日、
          〃鮠鐚圓砲箸辰討蓮⊃渊餞曚覇匹犹間がないため借り出して自由時間に読めるという便宜を提供している。開館時間外で読む、通勤・通学時間に読む、寝る前に読む、家事・育児の合間に読む・・など、空き時間を利用している人も多い。
          △泙拭⊂祿下圓覆苗樟椰渊餞曚暴亳けない人にとっても、地域文庫、学校図書館、病院、高齢者施設などにまとめて貸し出すサービスをとれば、身近で親しみやすいものとなる。
          つまり、大串夏身氏が言うように(注4)、
           住民が自分のライフスタイルにあわせて読んだり、楽しんだり、調べたり、学んだりすることができる。細部にわたって十分活用できる。
           さらなる図書館の図書の利用の促進、増加につながる。
           また、個人の知識の増加、文化・教養の向上、人間的成長に資することができる。
           読書を促進し、地域の課題の解決や地域の活性化につながる。
          このように、「図書館の可能性は人間の可能性でもある」と言えるので、直接サービスの主体である公共図書館における貸出は、人の可能性を広げる幸福追求権の主体的活動と言える。公共図書館の「貸出」の意義はここにある。
                                           

          (注1)『鎌倉市の図書館』(平成20年度事業報告)資料編 p46
          (注2)『図書及び図書館史』小黒浩司編著、日本図書館協会、2010年、p109-p121
          (注3)「中小レポート」は、『中小都市における公共図書館の運営』の略である。
          (注4)『図書館の可能性』大串夏身著、青弓社、2007年、p158

          図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

          情報サービス  ノート

          2010.10.31 Sunday
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            JUGEMテーマ:学問・学校

             情報サービス概説  ノート

            (1)

            1.情報サービスの種類
            ○用語の整理
            「情報サービス」を「レファレンスサービス」に同義とし読み替えるアメリカ(ALA)の流れがあったが、日本の図書館法施行規則、司書講習科目・内容を見ると、その包含関係を「図書館サービス>情報サービス>レファレンスサービス」と解釈しているようである(注1)。この内容によると「情報サービス」の種類は、レファレンスサービス、レフェラルサービス、カレントアウェアネスサービス等である。
             『図書館情報学用語辞典 第3版』(丸善、2009年)では、図書館が情報を扱う機関であることから「情報サービス」を図書館全体のサービスであるという定義を容認しつつも、「レファレンスサービスを高度に、あるいは能動的に伸展させた各種のサービスだけを指して、情報サービスと呼ぶ場合がある」とも記述し、この場合の包含関係も施行規則に一部のっとりながら、広義の情報サービスと狭義のそれを使い分けている。
            つまり、「図書館サービス>広義の情報サービス>狭義の情報サービス>レファレンスサービス」となる上位・下位関係なっている。
            ○サービスの種類とそのおもな内容(注2)
              そういう概念の包含関係で整理すると、情報サービスの種類は以下のようになる。
             レファレンスサービス・質問解答サービス。情報を求める図書館利用者に図書館が提供する対個人援助のことである。インフォメーションサービスと同義とされるところがある。オンライン検索、CD-ROM検索など。これらにアクセスする利用方法の教育まで含む。次の及びに関連してくることも多い。
             レフェラルサービス
            案内紹介(または照会)サービス。利用者の求める各種役所の窓口や外部の機関に紹介、連絡し問題解決を援助する。健康・医療、求職・求人、消費者問題、法律、福祉など、日常の生活や活動にかかわる問題に対して、この援助は行われる。
             カレントアウェアネスサービス
            ・新聞記事検索・切り抜き/新刊資料リストの作成/書誌サービス
            ・図書館が新着情報を特定の範囲の利用者に発信するサービスで、新着情報の紹介 、新聞・雑誌の主要記事の紹介・展示など。
            ・選択的情報サービス・SDIはこの一種で、利用者がキーワードや主題分野を図書館に一度登録するとそれに合致する新着情報を自動的に知らせるサービス(ネット上ではクリッピング・サービス)。

            2.レファレンスサービスの意義
               図書館が利用者に資料を提供するだけでなく、問題解決・情報に対する一種の相談窓口であり、図書館の情報サービスの中核となる業務である。
             広義のレファレンスサービスは、情報の提供、コレクションの構築、図書館間貸出(ILL)、複写サービス、利用指導などからなる。
             狭義のレファレンスサービスは、このうちの実効部分、すなわち情報ニーズを持つ利用者に対して、ニーズに対応した情報の提供、あるいは情報の入手に対する図書館の人的な援助をさす(注3)。
             ここでは、特に△龍控舛離譽侫.譽鵐好機璽咼垢琉婬舛砲弔い胴覆辰峠劼戮襦
             「情報ニーズ」は、「何らかの問題を抱えた人間が、自分の知識や経験によっては問題を処理できないと判断し、問題の処理、解決に役立つ情報を外部に求めようとする認識状態」(注4)である。これが「質問」となってあらわれ、これに「回答」することで、人間の認識が深まることになる。
             この人間(またはその全体)の認識が深まることの意味は、個人としては教養を高め、仕事や学習に役立つということである。しかし、この深化が約3000館ある図書館における営為総体として見た場合、文化の前進になる。
             これは、‐霾鷁充匆颪篝験恭惱に対応し、⊃佑鼎り・街づくり・“時代を創る”役割を果たし(注5)、自ら考え判断し行動する市民の成長を、促していることになるからである。
             振り返れば40年前に、「中小レポート」(1963年)を受けて『市民の図書館』(1970年)が発表された。そこでは、「貸出が中心」とされたが(注6)、同書の編著の中心的役割を果たした前川恒雄氏は貸出の推進とともにレファレンスが図書館奉仕の二本柱だと言っている(注7)。この流れは民主社会の市民としての自覚を促し、高度情報社会・生涯学習社会にも対応できる提言だった。
             それは、後の図書館法等の数々の改正、図書館「基準」、ユネスコ公共図書館宣言(1994年)にもフィードバックされたのである。
             この中で、帝国図書館の「読書相談」に始まる「レファレンスサービス」は、科学技術の進歩に対応して探求され進化し、個人の幸福追求権に資するのみならず、人づくり・街づくり・時代創りにも貢献してきたのである。
             レファレンスサービスは、こういう意義がある。
             

            (2)
            1.レファレンス質問に対して回答する際の、図書館員の態度について
             利用者の情報ニーズ(注)が 屬匹海砲△辰董廖↓◆峅燭魑瓩瓩討い襪里」という利用者の質問を的確に受け止め、必要十分な回答を選択肢の形で提示する。なぜならあくまで、利用者の自主性に対する「援助」だからである(注8)。
             この正確な回答のために、「この質問はどのようなタイプに属するのか」というパターン分析も必要である。それは、質問の内容やレベルに対応する対策である。
             その準備の上で、実践的には‖侈蔓調査→2鹽→ど床舛離廛蹈札垢魴侏海垢襦
             対面においては、インタビュー形式ですすめ、単なる利用者からオウム返しの言葉ではなく、共同作業で質問の本質・要点をつくることが大切な態度である。
             調査においては、「対面」で作成した質問を、テーマと領域の選定、入手する情報のレベル(入門的か、専門的か)と量(箇条書き程度か、詳細までか)の方針を決定したうえで検索にはいる。そして、検索方法を決定・実効し、入手した情報をもとに「回答の作成」に入る。その上で、この回答のアウトプットをどのような様態で行うのか、提供する情報のレベルと情報量を決定することが大切である。
             回答においては、 ↓△僚臀で積み上げられた回答を、かならず典拠となる情報源を提示する態度が重要である。その場合必ず複数の情報源を示しながら回答する。
             その後、この回答が利用者の情報ニーズに適応していたかどうかの客観的な評価をすることも次回の調査・回答のプロセスにつながるので重要である。(注9)


            2.レファレンス質問で回答できない、あるいは慎重にしなければならない場合について
             これは、各図書館や団体によって「参考事務」の条文などに規定されている。
            類型的に言うと、/綺欹鄒錙兵遡篌体を受け付けない)、⇔祿杏佞回答制限(専門家・専門機関を紹介する)、資料提供慎重、4袷寛鹽制限・禁止(回答を与えない)、な理的に回答できない、という場合に分類される。
            /綺欹鄒錙兵遡篌体を受け付けない)の例
            日本図書館協会参考事務分科会『参考事務規定』(1961年)によると、「他人の生命・名誉・財産等に侵害を与え、または社会に直接悪影響を及ぼすと見られる質問は受け付けない」(第7条)として、医療・健康相談、法律相談、身上相談、仮定または将来の予想に属する問題については、質問を受け付けないと規定している。
            ⇔祿杏佞回答制限(専門家・専門機関を紹介する)、資料提供慎重の例
            東京都立中央図書館資料部参考課『回答事務処理基準』(1984年)では、「古書、古文書、美術品等の鑑定及び市場価格調査」や「良書の推薦」、「学習課題の回答及び論文の作成」などについては、「解答を与えないとともに、資料の提供も慎重に行う」としている。
             完全回答制限・禁止(回答を与えない)の例
            『大阪府立図書館参考事務必携』(1971)では、「回答禁止事項」として、日本図書館協会『参考事務規定』の例に、「特許相談」を加えている。また、「電話及び文書による回答の制限」として、「統計、その他複雑な数字を含む説明」などをあげているが、これはたとえ内容が許容されたとしても、電話・文書の利用によるミスを防ごうという意図と読み取れる。(注10)
             物理的に回答できない例
            また、公共図書館の場合は、調査が長期間にわたる、または、経費がかかる質問、明らかに検索や調査の代行と思われる質問、当該図書館に探索手段がない質問については、断ることができる。調査の代行は公共図書館のレファレンスの主旨から外れるからである。一方、専門図書館や大学図書館においては、検索や調査の代行は重要なサービスの一つともなる(注11)。

            (注1)「社会教育主事、学芸員及び司書の養成、研修等の改善方策について(報告)」(平成8年(1996年)生涯学習審議会社会教育分科審議会)
            (注2)『情報サービス』志保田務ほか著、学芸図書、2009年、p13-p16及びp50-p55より
            (注3)同、p45
            (注4)『図書館情報学用語辞典 第3版』(丸善、2009年)
            (注5)『時代を創る図書館』神奈川県自治総合センター、2003年、p78-p133 ここにはニューヨーク、浦安市、市川市、TOKYO SPRingなどの経験を踏まえた、神奈川県でのビジネス支援、NPO支援への提言として、「時代を創る」とのタイトルにしてある。
            (注6)『図書及び図書館史』(小黒浩司編著、日本図書館協会、2010年、p109-p121)
            (注7)『われらの図書館』前川恒雄著、筑摩書房、1987年 p 56-p64,
            p236「二つの役割」より、「図書館の機能は資料・情報の提供であり、その方法は、貸出し、レファレンスと文化活動である」と述べている。
            (注8)『図書館情報学用語辞典 第3版』(丸善、2009年)
            (注9)『情報サービス』志保田務ほか著、学芸図書、2009年、p48-p49より
            (注10)同、p142-p143
            (注11)『改訂 レファレンスサービス演習』木本幸子ほか共著、樹村房、2005年、p9-p10

            図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

            図書館の児童サービス  ノート

            2010.10.31 Sunday
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              JUGEMテーマ:学問・学校

               私がいつも利用している図書館は鎌倉駅から徒歩7分の鎌倉中央図書館である。以下、この図書館を見学、利用した上で、『鎌倉市の図書館』(注1)、『児童サービス論』(注2)を活用しながらレポートする。

               図書館名
              鎌倉市中央図書館

               全体の蔵書数、児童書の蔵書数
              平成20年4月1日現在
              一般図書 333920点  児童図書  97356点  (児童/一般比率 29.2%)

               職員数(その内司書数)
              職員数24人(その内司書18人) 
              嘱託39人(その内、司書及び司書補有資格者29人)

               選書はどうしているのか 
              「鎌倉市図書館サービス計画」に明記し、市民に収集方法を明らかにして、パンフレットを受付で配布している(『鎌倉市の図書館』p53 図表参照)。それは、簡単に言うと市民のリクエストや各図書館員の書評リストから選定したものを「資料管理委員会」「館長」が相互にフィードバックをして、選書、資料収集・管理にあたることになっている。

               子どもと本を結びつけるために、どんなことをしているか(展示、おはなし会、ブックスタートなど)
              ○鎌倉市子ども読書活動推進計画(平成20年2月)(注3)
                平成13年( 2001年)の「子どもの読書活動の推進に関する法律」にもとづいた国と神奈川県の計画にもとに、鎌倉でも平成20年に推進計画が策定された。これは、これまでからの「第3次鎌倉市総合計画 第2期基本計画」、「鎌倉市次世代育成きらきらプラン」、「かまくら教育プラン」、「鎌倉市図書館サービス計画」との整合を図りつつ作られたもの。5カ年計画で4年目に進捗状況を勘案しつつ見直すとされている。
              内容は、(1) 本…本との出会いの場をつくる 、(2) 人…環境整備に取り組むための核となる専門性を持った「人」の配置、 (3) 情報のネットワーク…子どもの読書に関わる人の情報の共有化、である。
              ○「児童奉仕委員会」の組織
              0歳からの子どもと、子どもを取り巻く大人へのサービス全般を組織的に担当。具体的には、「おはなし会」、「おひざにだっこのおはなしかい」「一日図書館員」などの定例行事を開催している。
              年齢別におすすめする本のリストを作成、発行、配布。学校との連携をすすめ、おはなし会、ブックトークなど地域の子ども会への訪問サービスや調べ学習、施設見学を実施。教職員、PTAが主催する講座、研修会に講師を派遣。
                逆に、子どもを取り巻く大人へのサービスとして、講座・講演会を実施している。その一環として、共に協働し、子どもへのサービスをより充実させるため、ボランティアを養成している。
              ○ブックスタート事業
              鎌倉市では、平成17年7月から市民健康課との共催で開始。市民健康課主催の6ヶ月児育児教室の中で、読み聞かせや、わらべうたを一緒に楽しむことになっている。
              その後、絵本やブックリストなどを入れたブックスタートパックを配布している。
              2008年度は、6カ月児の1024人が参加し参加率は、81.8%である。パックの受取率は94.9%となっている。
               ○インターネットコーナー
                 平成14年から鎌倉中央図書館に、平成18年から各地域館にインターネットコーナーを設けられているが、利用人数で中学生以下は一般の10分の1、利用時間は1000分1に満たない状況で、子どもたちにとって図書館のインターネットはまだまだ調べ学習等に多くは役立っていないようだ(二階に設置されていることや、家庭でのインターネット接続普及が多いことにも起因している可能性がある)。子ども用の図書検索機も設置してある。   
               児童室で利用者に配慮していること
              明るく開放的な図書館の入口近くに児童スペース(10畳程度、ドアが無い、カーペット敷き)をセッティングしてある。児童用トイレがその近くにあり、靴を脱いでくつろげる空間になっている。これが親子ともども寝転んで、あるいは抱っこして本を読める空間になっている。ぬいぐるみなども置いてあり、アップルヤードの言う「遊ぶ読者」を想定していると考えられる(注4)。ただ、この場所が貸出デスクからは死角になっている。
               一方で、児童用の閲覧机と椅子も多数あり気軽に本を棚から取り出して閲覧できるようにし、返却ボックスも駅などに配置して返却しやすくするなど、様々な配慮が見られる。不審者への注意書きポスターで注意を喚起してある。逆に大人も利用しやすくしている。
                    絵本、創作児童文学、知識の本、昔話・伝説・神話、外国人用図書、点字など、インデックス&サインが「ひらがな」で案内してあり、大人用に近い読み物は上に、子ども用の本は、発達段階に応じて低い棚に配架されている。
              児童書で最多利用資料が平成20年度では「ハリー・ポッター」と「かいけつゾロリ」のシリーズであることが公開され、予約待ちの多いことも情報として知らせている。

               見学を終えての私見
              鎌倉市は人口17万都市という中規模の都市ではあるが、日本の四大古都(奈良、京都、鎌倉、江戸)の一つでもあり、世界遺産登録を推進している都市でもある。
              『鎌倉市の図書館』(平成20年度事業報告)でもJIS図書館パフォーマンス指標にもとづいて自己分析しているように、鎌倉市の図書館(分館含む)に特に目立つ特徴は、〇毀韻貸出登録をしている率は同規模都市(小田原、海老名、伊勢原など)と比べて2割近く高い(70.8%)こと、⇒縮鸞濬佝罅柄軋濬佚誠瑤砲靴瓩詬縮鷸駑疎濬个糧耄─砲蓮△笋呂蠧欝模都市に比して2倍の23.0%にものぼる(注5)。特に、人口の7割が図書館登録をしていることには驚きを隠せない。
              また、『日本の図書館2009』によると、1000人当りの登録者数は100万都市の古都、大学都市の京都市と比べても、京都市270.4に対して鎌倉市245.9と遜色がない(注6)。
              これらの意味は、様々な解釈があるとしても、私見としては、文化都市としての「鎌倉」の住民性やそれに比例しての計画的な学習意欲の高さを示すと考える。近接して小学校・中学校が存在していることも、その率をあげることに貢献していると言える。
              また、貸出不可ではあるが、歴史だけでなく現在の鎌倉関連の資料も一か所に並んでいて閲覧しやすいことが、鎌倉ファンに便宜を供している。
              さらに、幼児や児童に対する最大の配慮は児童幼児専用トイレの設置と場所に現れていると思う。私の行った少ない図書館では見当たらなかった(または目立つ所にないと思う)。
              ニューヨークの公共図書館、とくにブルックリン公共図書館では「健全な学びと遊びの場」として放課後の面倒をみたり、インターネットなどをフル活用して宿題支援をしているとの報告があるが(注7)、そのようなユース・ウイング(児童館的な役割)を持つスペースも必要かと思った。日本では塾や学童保育がそのような役割を一定もっているが、ならば公共図書館との連携をもっと探るべきである。
              「IFLA児童図書館サービスの指針」を読むと、メディア・リテラシーの行使やアクセス権をあげたうえに、「家族がコミュニティに参加できるように援助すること」「子どもたちに権利を与え、子どもたちの自由と安全のために擁護すること」「子どもたちが自信をもち有能な人間になれるように励ますこと」「平和な世界のため努力すること」なども目標にあげられている。公共図書館の児童サービスも一般的には言えるが、鎌倉図書館では、これらの目標の具体化はどこにあるのか、もっと調べないとわからないようにも思った。
              それにしても、悲しむべきは、椅子のきしみを防止するために脚にテニスボールをかぶせ、ペン立てにヨーグルトの空き瓶を使い、本棚の仕切りにクリアーケースを利用、正面入口のカギ付き雨具立てがほとんど使い物にならないことである。すでに3年間利用している図書館(来年100周年を迎える神奈川県で最古の近代図書館)ではあるが、世界遺産登録推進の裏で、涙ぐましい鎌倉市の施設整備費の節約に心痛んだ。

              (注1)『鎌倉市の図書館』(平成20年度事業報告)受付で無料配布されている。一部の資料はホームページから参照した。
              (注2)『児童サービス論』高鷲志子著、角川学芸出版、2008年、
              (注3)鎌倉市子ども読書活動推進計画(平成20年2月)ホームページより
              (注4)アップルヤード・・・  上記『児童サービス論』p20
              (注5)『鎌倉市の図書館』(平成20年度事業報告)資料編 p46
              (注6)『日本の図書館2009』p152、p194参照
              (注7)『未来をつくる図書館』菅谷明子著、岩波新書837、p117-p125

              図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

              図書館資料組織  ノート2

              2010.10.31 Sunday
              0
                評価:
                木原 通夫,志保田 務,井上 祐子,中村 靜子,向畑 久仁
                第一法規
                ¥ 2,100
                (2007-05)

                JUGEMテーマ:学問・学校

                 本来、目録は、特定の資料の所在を確認するときに利用されるものであり、各種の標目(タイトル、著者、件名、分類記号)を検索手段として、一定の順序で排列したものである。そういう目録をつくる作業を「目録作業」と呼び図書館の間接サービスとして位置づけられる。
                 歴史的には、図書館独自の作成方法があったが、図書館共同、省力化、ネットワーク化にともなって、集中目録作業と共同(分担)目録作業が生まれた(注1)。

                1. 集中目録作業の特徴と意義
                (1)図書館経営の意義
                集中目録作業は「限定された数の機関が、他の図書館等のために集中的に行う目録作
                業」(注2)である。
                  現在の図書館では、図書館独自でこの目録作業を行うことはほとんどなく、ヽ杏瑤
                作成された目録データ(書誌レコード)を利用するか、他の機関・図書館と協力してネッ
                トワークを形成し効率的に自館の図書館目録を構築するようになっている。
                すべての受け入れ資料について、個々の図書館がそれぞれ原稿を作り記入することは、
                人的・経済的・時間的に非常に無駄が多い。
                訓練の行き届いた職員と十分な参考資料を有する国立国会図書館や書誌作成機関など
                が、各資料についての詳細で正確な書誌記録を作成し、それを全国書誌、印刷カード、マイクロフィッシュ、磁気テープ、CD-ROM等の形態で提供すれば、各図書館は入手、整理能力、書誌記録の正確さ、費用などの点で利益を受ける。
                総合目録を、オンラインなどの手段でより円滑に作成することができ、図書館相互貸借が可能となる。
                (2)図書館員にとっての意味
                今日の図書館の目録作業は、上述のように自館での自前の目録作業(オリジナル・カタロギング)より、外部で作成された書誌記録に基づいて目録作業(コピー・カタロギング)を行うことが中心になっている。
                したがって、図書館員には、,海里茲Δ奮杏瑤量槝榛邏箸寮果をどのように把握し使いこなしていくか、⊆館の目録作業の質を常に高く維持する、そこで使用されている目録規則・分類表・件名標目表を理解し、その進展に気を配る、という能力が不可欠である。

                2. 共同目録作業の特徴と意義
                共同目録作業は、共同分担目録作業ともいい、集中目録作業の対語をなす。「複数の図
                書館等が作業の重複を避けるために協力し、分担して作業を行い、その責任と成果を分
                かち合う目録作業」(注2)である。
                 標準的な目録規則は、図書館間の目録情報の交換や共有・利用を可能する大きな意義がある。
                単にサービスを一方的にうけるのではなく、全国書誌のデータベースにヒットしなかった資料については、オリジナル・カタロギングを行い、その書誌レコードをオンラインで共同の利用に供する。この結果としてオンライン総合目録を築きあげることができる。その典型が、(1)OCLCのWorldCatとそれを通じた国立国会図書館作成書誌データ(JAPAN/MARC)(2)国立情報学研究所のWebcatである。
                (1)OCLCは、オンラインによる共同目録センターであり、2009年6月現在、所蔵レコード件数は1.45兆件、参加機関数は171カ国約72000機関ある。このような〔槝織轡好謄爐里曚に、∩蠍濛濕據蔽3)、A無敲儡后↓ぅ譽侫.譽鵐后Ε機璽咼垢覆匹システム化されている。
                (2)国立情報学研究所は、大学等の研究者が必要とする国内外の多種多様な学術情報を迅速かつ的確に提供するため、全国的・総合的な情報流通システムを整備している。総合目録データベースWWW検索サービス(NACSIS-Webcat)は、フリーワードで全国の大学図書館の総合目録データベースを検索できる。さらに、Webcat-Plusは連想検索、一致検索ができるよう発展的に開発された。

                3. その違い
                 特徴の違いは、集中目録作業が目録作業の外部専門委託であり、共同目録作業はそれを前提にしたネットワーク化である。
                 情報の流れは、集中目録作業は一方向であり、共同目録作業は双方向であると言える。

                (注1)『分類・目録法入門』木原道夫ほか著、第一法規、2007年、p141-p148
                (注2)『図書館情報学用語辞典 第3版』丸善
                (注3)『改訂 図書館資料論』平野英俊ほか著、樹村房、2009年、p84-p86
                      ファーミントン・プランを原点とした全米収書目録計画は分担収集や、日本の国立
                大学拠点校における外国雑誌の分担収集も、相互貸借や利用可能性を高めている。

                図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

                図書館資料組織 ノート

                2010.10.31 Sunday
                0
                  評価:
                  木原 通夫,高鷲 忠美,志保田 務
                  第一法規株式会社
                  ¥ 2,730
                  (2007-05-21)

                  JUGEMテーマ:学問・学校

                   資料の分類はなぜ必要か。
                   日本図書館協会は,1979年の総会において採択した「図書館の自由に関する宣言 1979年改訂」において,「すべての国民は,いつでもその必要とする資料を入手し利用する権利を有する」こと,そして「この権利を社会的に保障することに責任を負う機関」が図書館であると主張している(注1)。
                  ユネスコ公共図書館宣言1994には「いかなる年齢層の人々もその要求に応じた資料を見つけ出せなければならない。蔵書とサービスには、伝統的な資料とともに、あらゆる種類の適切なメディアと現代技術が含まれていなければならない」(注2)と宣言しているが、「蔵書とサービス」は、資料の分類方法を含めて「あらゆる種類の適切なメディアと現代技術」をもってするという意味でもある。利用者は、求める情報へアクセスする最新の手段として「分類」が必要なのである。

                   民主主義の要請としての「分類」の必要
                  このアクセスという概念は歴史的に見ると、国民の自発性・自主性を前提とした民主主義が要求している。日本国憲法上の基本的人権として、国や地方政府への給付「請求権」(注3)として位置づけてもよい。こう考えると、知る権利・アクセスの権利は、「国民の不断の努力によって、これ(自由及び権利)を保持しなければならない」(憲法12条)ものである。
                   それゆえ、自由な意思で資料・情報に対して容易にアクセスする手段としての「分類」とその発展は、民主主義の要請であり、国民とその政府(中央・地方)がそれを保持しなければならないのである。
                   このような憲法の要請にもとづいて作られた図書館について、 嵜渊餞柬 廖1950年制定)では「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設」(第2条)とし、学校図書館法(1953年制定)は、「図書、視覚聴覚教育の資料その他学校教育に必要な資料を収集し、整理し、及び保存し、これを児童又は生徒及び教員の利用に供する」(第2条)と書いている(注4)。
                   いずれも、「収集」、「整理」、「保存」、「利用に供する」という目的は同じであり、特にこの「整理」が、その後「資料組織化」と表現されるようになった(注5)。
                   この「整理」という業務の一つとして「資料分類」という作業ができたのである。この第回に到って、知る権利実現の具体的な簡易化手段を獲得したのである。

                   図書館サービスの円滑化のために「分類」が必要
                  以上のような崇高な目的への手段として、図書館利用者の要求に合うように、資料を選択・収集・分類・目録・装備・配架という図書館に並べる一連の作業の中で「分類」手法の科学性・客観性が求められる。
                  そのため、F・ベーコンの学問分類の手法を応用して欧米で分類法が考えだされ、その後、試行錯誤が繰り返され、日本では日本十進分類法(NDC9版)を公立図書館の99%が使用するようになった。NDCは、主題別の分類ができるため、「同一主題が一か所に集中し、利用者が探すのが容易になる。また前後に関連主題が集まるので、探索に便利」(注6)である。
                  また、2009年から新しい時代に対応した分類、たとえば、「らい病」を「ハンセン病」と読みかえなどが提案されている(注7)。これも深くは直近の情報へのアクセス権保障の国民の「不断の努力」(憲法12条)の一形態である。さらに、件名標目による分類は、コンピュータ検索にも有効である。
                  速度も競われる高度情報社会にあって、資料の「分類」は〕用者にとってはアクセスの正確さ・速さ・円滑さが求められるため不可欠であり、⊃渊餞朶愀玄圓砲箸辰討盪駑祖鷆,凌彗さから必要、また、図書館サービスの一環としての図書館ネットワークの互換性のためにも必要となっている。
                                                  (以上1583字)


                   
                  (注1)「公立図書館の任務と目標」まえがき(1989年1月 確定公表 2004年3月 改訂、日本図書館協会図書館政策特別委員会)日本図書館協会ホームページより
                  『図書館サービス論』高鷲忠美著、角川学芸出版、2010年、p13
                  (注2)ユネスコ公共図書館宣言 1994年 UNESCO Public Library Manifesto 1994(1994年11月採択 原文は英語)
                  (注3)給付「請求権」 本来、社会権、生存権に対する補助の給付を求める憲法学上のタームだが、あえてアクセス権に対して名づけてみた。
                  『憲法学 郷邑∩輜澄戞憤寡信喜著、有斐閣、1998年、p97-p99)参照。
                  ただし、アクセス権には、マスコミに対して受信者の反論権という意味もある(『図書館情報学用語辞典 第3版』丸善)。
                  (注4)図書館法、学校図書館法 http://www.e-gov.go.jp/
                  (注5)『資料組織法』第6版 志保田務・高鷲忠美著、第一法規、2010年、p2
                  (注6)『図書館サービス論』同上、p18
                  (注7)日本図書館協会ホームページ 分類委員会記録より

                  図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

                  図書及び図書館史 ノート

                  2010.10.31 Sunday
                  0
                    JUGEMテーマ:学問・学校

                     中小レポート」は、『中小都市における公共図書館の運営』の略である。
                    1950年代後半の「昭和の大合併」後、中小規模図書館の運営がいかにあるべきかという課題が、公共図書館に突き付けられた。日本図書館協会は、3カ年で全国71館の図書館のサンプリング調査をした結果、1963年に「具体的な図書館運営の指針」として最終報告『中小都市における公共図書館の運営』(以下、「中小レポート」)の完成を見た(注1)。その意義と影響を述べる。

                    1.「中小レポート」の意義
                     自治体を単位として図書館サービスのありかたとして「中小レポート」の到達した結論は、
                     「効果的かつ無料で資料を提供するとともに、住民の資料要求を増大させる」ことを優先させる。
                     住民目線の読書ガイド的目録作成に力を注ぐ。
                     貸出を重視する(分館、貸出文庫、移動図書館、PTA母親文庫など)。
                     上記の館外活動で高められた住民に対して、さらなる知識要求への受け皿としての図書館体制を構築する。
                    というものであった。具体的には、図書費の基準として、人口約5万の都市で1年間に5750冊、金額にして262万円の補填、12名の職員が必要と定量的に報告された
                    それまでの「静止・命令」ではなく、図書館の側から主体的に自治体住民に働きかける「運動・啓発」として図書館活動を捉え、定量的に図書館活動を捉えた点が、この「中小レポート」のコペルニクス的転換点であったといえる。

                    2.「中小レポート」の影響
                     この衝撃的な「中小レポート」については、その後の、この理論の実践でその正しさが証明された。それは、理論的にも発展し、自治体、国の政策、そして現在までも波及した。
                    (1)地方自治体への影響 1965年〜
                    ‘野市立図書館の実践
                    この図書館は、最終的に分館、移動図書館、中央館で構成され、市民のあらゆる情報要求に応えた。とくに、移動図書館(BM)は、市内全域に図書館サービスを行き渡らせ、その勢いは「書庫が空になる」と言われた。そうやって住民の知識要求を高めることで、最初ではなく、最後に中央図書館を完成させ(1973年)、高まるニーズに見事に応えたのである。
                     ◆愡毀韻凌渊餞曄戞1970年、図書館協会)
                       「中小レポート」の有効性を実証しつつあった日野市の実践を受け、日本図書館協会は、全国を調査研究。その報告書を手引きにして公刊したものが、『市民の図書館』だった。いわば「中小レポート」の理論的発展であった。
                       この“手引書”は「市立図書館は全市民に奉仕する」義務を負うことを明記して、年齢を問わないサービス、特に児童サービスが成人と同様に行われることを求め、また、サービス網の充実、レファレンス・サービス、インフォメーションセンターとしての機能のさらなる充実が必要と提言した。浦安市中央図書館は、「知識と情報の提供」で人を呼ぶ街づくりに貢献したが(注2)、これは『市民の図書館』の目的「図書の提供」の発展形態である。
                     K務て暫峺幼の実践
                       この『市民の図書館』の影響で、小規模町でも移動図書館や読書月間、貸出方法の改善をして、1976年には住民一人当たり貸出冊数が7.9冊となり、日野市を抜いた。 
                    1970年の東京都の図書館振興政策もシビル・ミニマムとしての図書館の在り方を実践しており、「中小レポート」の影響が見られる。

                    (2)国家政策への影響  1967年〜
                      1967年に文部省社会教育審議会施設分科会が、「公立図書館設置および運営の基準(案)」を承認したが、これは「中小レポート」、日野市の実践を受けたものと言える。また、2001年の「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(文部科学省 注3)には「必要に応じ分館等の設置や移動図書館の活用により,当該市町村の全域サービス網の整備に努めるものとする」となっている。
                                                 
                    (注1)『図書及び図書館史』(小黒浩司編著、日本図書館協会、2010年、p109-p121)
                    (注2)『浦安図書館にできること』(常世田良著、2004年、勁草書房)
                    (注3)文部科学省ホームページより

                    図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ

                    図書館概論

                    2010.04.09 Friday
                    0
                      「図書館」という言葉は明治10年、東京法理文学部の図書館を設置したとき使われたそうです。
                      江戸時代に「図書頭」(ずしょのかみ)という役職がありましたが、これとの関係はどうなんでしょうか?
                      英語ではライブラリー、ドイツ語、フランス語ではビブリオテクです。
                      リバーがラテン語の「樹皮」、それに文字を書いたところから、リウムと言う場所を表す接尾辞をつけて、ライブラリーになったらしいです。
                      また、パピルスという紙の原料となる植物を、ギリシャ語でビブロスと発音し、それにテークという場所を表す語をつけて、ビブリオテクになったということです。
                      面白いと思うのは、ラテン語系列のフランス語にギリシャ語系列が紛れこんでいることです。
                      ゲルマン語系列の英語にラテン語が紛れ、交差しています。
                      イギリスの知識人はラテン語が必須だったことから、ラテン語を取り入れのではないでしょうか。
                      フランシス・ベーコンの「ユートピア」もラテン語でかかれたらしいので、学問と言えばラテン文化だったのかもしれないのです。 言葉の魔術師、シェイクスピアも若いころはラテン語学校に通ったようです。 いずれにせよ、語感からして古代の図書館は、閉鎖的で書籍を保存するのが一番で、貸したり、情報を提供するのは二の次だったのです。
                      それは書籍が貴重だったこともあり、宝物に近い代物だったことも作用してます。そして、紙が原点であることも分かります。
                      現在とは、360度周り違う角度でしょう。
                      図書館学私論|-|-|-|-|by ネコスキイ
                       
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